【FP監修】医療保険の女性疾病特約は原則不要!不要な理由と必要な人の特徴を解説
女性疾病特約は、医療保険の特約(オプション)のひとつで、女性が抱える特定の病気や出産に関する医療費に対して、医療保険に上乗せで給付される特約です。
「医療保険があれば女性疾病特約はいらないの?」
「女性疾病特約はどんなときに保障されるの?」
こんな悩みを解決できる記事になっています。
記事監修者
ファイナンシャルプランナー
森野夏美
女性疾病特約とは
医療保険の特約(オプション)である女性疾病特約とはどんな特約なのか解説します。
- 保障内容
- 女性疾病特約で対象となる病気の種類
- 保険金の受け取り方の例
各社の医療保険によって、細かい保障内容や対象となる病気の種類は変わってきますので、具体的な検討をするときは必ず保障内容を確認してください。
1.保障内容
女性疾病特約の主な保障内容は、入院日額保障の上乗せと手術費用の上乗せです。
医療保険の主契約は「入院したら1日いくら」「手術をしたらいくら」という、契約で決めた保険金を支払う内容になっています。
女性疾病特約は、女性特有の病気で入院・手術をしたら「主契約+女性疾病特約でつけた保障」を受け取れます。
女性特有の病気になったときのみ上乗せ保障ができるため、ケガや女性特有の病気以外での入院手術は保障の対象外です。
「女性疾病特約をつけなければ女性特有の病気に備えられない」と思っている方もいますが、そんなことはありません。
女性疾病特約をつけなくても、医療保険の主契約で入院手術は保障されています。
手術費には乳房再建術の手術をしたらプラスで受け取りができる保険商品もあります。
2.保障の受け取り方の例
女性疾病特約は、主契約の保障内容に上乗せされる保障です。
具体的にいくら保障が受けられるのか確認してみましょう。
30歳女性が出産時に帝王切開となり10日間の入院手術が発生したとき
【契約内容】
主契約:5,000円/日
手術:10万円
女性疾病特約:5,000円/日
【保険金受取額】
5,000円/日(主契約)×10日間=5万円
帝王切開の手術=10万円
5,000円/日(女性疾病特約)×10日間=5万円
合計:20万円の給付金受け取り
女性特有の子宮や卵巣の病気で、一部摘出や全摘出するような手術をしたときに手術代を上乗せする商品もあります。
3.女性疾病特約で対象となる病気の種類
以下の表はあくまでも一例です。
商品ごとで対象疾病が変わるため、各商品の「ご契約のしおり・約款」を確認してください。
女性特有の病気 | 女性に多い病気 |
---|---|
・妊娠出産の合併症や流産
・乳がん ・子宮がん ・子宮頸がん ・卵巣がん ・子宮筋腫 ・卵巣のう腫 ・乳腺症 など |
・甲状腺障害(バセドウ病や橋本病など)
・鉄欠乏性貧血等の貧血 ・胆石症や胆のう炎 >・関節リウマチ など |
例えば、がんは女性特有のがんのみを対象としている商品もあれば、3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)も3大疾病の保障範囲にしている商品もあります。
女性疾病特約をつけたいと考えている場合は、対象となる病気が幅広い医療保険を選ぶことをおすすめします。
女性疾病特約は必要なのか?不要といわれる3つの理由
ほとんどの医療保険には女性疾病特約が付帯できるようになっています。
女性であれば医療保険を検討するときに「なんなくつけたほうがいいのかな」と考えてしまうかもしれません。
しかし結論から言うと、女性疾病特約を付帯する必要はありません。
不要な理由は以下の3つです。
- 公的保険制度でまかなえるから
- 医療保険で十分な保障が得られるから
- 女性特有の病気に限定されているから
より詳しく解説するとともに、知っておいたほうがいい内容も一緒に説明します。
1.公的保険制度でまかなえるから
女性疾病特約で保障が受けられる疾病は、原則3割負担のきく健康保険で対応が可能です。
さらに、高額な治療費がかかったとしても高額療養費制度で一定の自己負担上限が決められているため大きな負担になることはありません。
例えば、100万円の治療費がかかったときに3割負担の30万円を窓口で支払います。
高額療養費制度の申請をすれば、約9万円が自己負担の上限額になるので、支払った30万円の差額である約21万円は戻ってくるしくみになります。
※高額療養費制度は年齢と所得で自己負担額が変わります。
参照:生命保険文化センター:高額療養費制度について知りたい
日本の公的保険制度は、そもそも医療費自体が高額にならないように作られています。
女性特有の病気や妊娠出産だけが高額になることはないのです。※普通分娩の出産は対象外です。
2.医療保険で十分な保障が得られるから
女性疾病特約はあくまでもオプションであることから、女性特有の病気で入院したら保障を手厚くしておきたい人以外は主契約の保障で十分と言えます。
医療保険の保障をしっかり持っていれば、女性疾病特約はつけなくても保障が確保できます。
例)30歳の女性が10日入院した場合
女性疾病特約をつけたときとつけなかったときの受け取れる保険金と保険料のイメージを見てみましょう※例としてメディケア生命の医療保険でシミュレーションしています。
【女性疾病特約の対象となる病気で入院したとき】
主契約:5,000円+女性疾病特約:5,000円×10日間=10万円
受取額 | 保険料 | |
---|---|---|
5,000円(主契約)+5,000円(女性疾病特約)×10日間入院 | 10万円 | 2,050円/月 |
10,000円(主契約)×10日間入院 | 10万円 | 2,560円/月 |
【女性疾病特約の対象とならない病気のとき】
受取額 | 保険料 | |
---|---|---|
5,000円(主契約)×10日間入院 | 5万円 | 2,050円/月 |
10,000円(主契約)×10日間入院 | 10万円 | 2,560円/月 |
もちろん保険会社や年齢によって保険料は変わります。
しかし女性疾病特約をつけずに、主契約を手厚くすればすべての病気けがが対象となり、保険金もしっかり受け取れます。
保険料とのバランスを見て、主契約を手厚くするか女性疾病特約で備えるか考えてみましょう。
3.女性特有の病気に限定されているから
女性疾病特約が支払われるのは、対象となっている病気の入院・手術のみです。
よって、対象外の病気やケガでは保険金の支払いができません。
ポイントは女性疾病特約の病気に罹患してしまっても、入院や手術をしないと保険が支払われないということです。
入院して治療が必要なものや治療費が高額になるものは、主に3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)です。
例えば、乳がんや子宮がんなど女性特有のがんが心配であれば、女性疾病特約ではなくがん保険やがんの特約に重きをおいたほうが保障は手厚くなります。
どんな病気に不安があるのか、女性疾病特約以外に備える手段がないのかを考えると女性疾病特約にこだわる理由はないと考えられます。
女性疾病特約が必要な人の特徴2選
女性疾病特約が必要な人は以下の考えがある人です。
- 差額ベッド代や保険適用外の費用を備えたい人
- 保険料をおさえて医療保障を持ちたい人
最後まで読んで、本当に女性疾病特約が自分に不要なのか確認してみましょう。
差額ベッド代や保険適用外の費用を備えたい人
女性特有の病気で入院しているときは、身体的にも精神的にもつらい状況であると考えられます。
入院するときは基本的に大部屋であるため、様々な女性と何日も同じ空間で生活しなければいけません。
治療や療養に専念するために、少人数の部屋や個室に入りたいと考えることも想定されます。
厚生労働省のデータによると、差額ベッド代の平均額は約6000円です。
数日の入院であれば自己負担でも対応できるかもしれませんが、差額ベッド代が長期的にかかる場合、高額な治療費がかかります。
毎日の食事代や家族のお見舞い・交通費の負担もあるため、仕事ができなくて収入が下がる可能性もあるでしょう。
治療費以外にかかる自己負担額や収入減を女性疾病特約で補いたい人におすすめです。
保険料をおさえて医療保障を持ちたい人
女性疾病特約はあくまでもオプションであることから、比較的保険料をおさえて加入ができます。
希望する主契約の日額だと保険料が高すぎてしまう場合などは、女性疾病特約で対象疾病を制限して保障を手厚くしましょう。
例えば、日額1万円の医療保険にしたかったけど保険料が予算オーバーのため、日額を7,000円にして女性疾病特約を3,000円つける。
上記のような契約方法も可能です。
対象疾病に制限があることから、ケガや女性特有の病気以外の入院は日額7,000円になり、女性特有の病気であれば、合計で日額1万円受け取れます。
女性疾病特約のデメリットである、対象疾病に制限があることを理解して特約付帯を検討しましょう。
まとめ:女性疾病特約は原則不要と考えてよい
結論、女性疾病特約は原則不要です。
理由は以下の3つです。
公的保険制度でまかなえるから
医療保険で十分な保証が得られるから
女性特有の病気に限定されているから
「女性疾病特約がないと女性特有の病気には備えられない」と思っている方もいますが、正しくありません。
医療保険の主契約があれば女性特有の病気も対象です。
必ずしも必要な特約とは言えませんが、差額ベッド代などの公的保険制度の対象外である費用負担も保険で備えたい人は検討しましょう。
保険料を抑えて医療保険に加入したい人にもおすすめの特約です。
自分が女性疾病特約を必要とするかどうか判断ができない場合や、どの医療保険にすればいいか判断できないときは一度FPに相談してみましょう。
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