【FP監修】学資保険の全期前納(一括払い)で返戻率アップ!一時払いや月払いとの比較も紹介

子供の教育資金に備える学資保険は、保険料の支払い方法によって返戻率が変わります。
本記事では、全期前納と一時払いの違いや支払い方法ごとのメリット・デメリットを解説します。
また全期前納できる具体的な学資保険や、選ぶ際の注意点についても紹介します。
記事監修者

SYN Group 株式会社
白村 明弘
学資保険の支払い方法と返戻率
学資保険は、保険の一種なので生命保険料控除という所得税控除の対象になります。
そのため1年間の所得額から、支払った保険料を差し引くことで、所得税額を減らせるでしょう。つまり、節税対策の1つですね。
返戻率とは支払った保険料に対する、受け取った保険金の割合のことです。
返戻率が100%以上なら、支払った額よりも多くの保険金を受け取ったことになります。
しかし、返戻率が100%未満になると、元本割れしたことを示します。
返戻率は、保険料の支払い期間が短いほど高くなる傾向があります。
なぜなら、保険料は保険会社が運用するため、支払い期間が短い方がまとまった資金を長期間運用できるからです。
以下の表で、支払い方法の概要と返戻率の関係についてまとめます。
参考にしてみてください。
支払い方法 | 支払い方法の概要 | 返戻率 |
一括払い | 保険料の全額を、一括で支払う方法。 一括払いには全期前納と一時払いの2種類がある |
年払いや月払いに比べて高い返戻率になる |
年払い | 1年分の保険料を一括で支払う方法 | 月払いよりも高い返戻率になる |
月払い | 毎月決まった額の保険料を支払う方法 | 最も返戻率が低い |
全期前納と一時払いの違い
先ほど表で言及したように、一括払いには全期前納と一時払いの2種類があります。
どちらも、全期間分の保険料を一括で支払うことで共通しています。
保険料を支払う契約者からすると、同じような払い方に思えるでしょう。
しかし、全期前納と一時払いでは性質が異なります。
一時払いは、保険会社に保険料を一括で支払えば、支払いが完了します。
全ての保険料が支払い済みになるということです。
全期前納は、確かに全期分の保険料を保険会社に支払いますが、その保険料は保険会社に預けているというイメージです。
つまり、保険会社に預けたお金から、毎月の保険料が支払われるということです。
一時払いの方が、全ての保険料を支払っている分、返戻率が高くなるでしょう。
しかし、全期前納と一時払いの違いは、返戻率だけではありません。
払込免除特約や生命保険料控除、解約返戻金の扱いがそれぞれ異なるのです。
その違いを、以下で解説します。
保険料払込免除特約の扱いの違い
一時払いは、すでに全ての保険料を支払い終わっているので、保険料払込免除特約は使えません。
しかし全期前納は、保険料を保険会社に預けているだけなので、まだ支払いは完了していません。
そのため、全期前納の場合、保険料払込免除特約が適用されて、保険会社に預けていた保険料を返済してもらえます。
生命保険料控除の扱いの違い
一時払いは、1回で全ての保険料を支払ってしまうので、一般生命保険料控除を使えるのは、支払った年の1回のみとなります。
一方の全期前納は、保険会社に預けた保険料から支払いを続けているため、毎年一般生命保険料控除の対象になるのです。
解約返戻金の違い
一時払いなら、すでに全ての支払いが終わっているので、支払った保険料が解約返戻金として返済されます。
ただし、解約返戻金は時期によって支払った保険料よりも多い場合もあれば、少ない場合もあります。
加入期間が長くなるほど、解約返戻金の額も多くなる傾向にあるので、解約の時期は慎重に選びましょう。
全期前納は、まだ保険料の支払いをしていない部分については、そのまま返還されます。
またすでに保険料として支払ったものも、解約返戻金として受け取れます。
ただし、その解約返戻金は一時払いと同じように支払った保険料よりも多かったり、少なかったりするでしょう。

学資保険の全期前納と一時払い、月払いを比較
学資保険を全期前納するメリット・デメリット
- 月払いに比べて総額保険料が少ない
- 月払いよりも返戻率が高くなる
- 毎年生命保険料控除の利用ができる
- 契約者に万が一のことがあった場合に保険料の未払い分の返還が受けられる
全期前納は、保険会社に預ける支払い方法とはいえ、保険料の割り引きが適用されます。
その分、返戻率も高くなるでしょう。
また、一時払いとは違って、毎月の保険料を支払うため、生命保険料控除の利用ができます。
学資保険は15年以上の長期に渡る保険契約なので、生命保険料控除を利用できると大きな節税効果を期待できるでしょう。
また、一時払いにはない保険料払込免除特約の適用を受け、保険会社に預けていた保険料の返還を受け取れます。
一方のデメリットは、次の2点です。
- 一時払いよりも保険料が高くなる
- 一時払いよりも返戻率は低い
全期前納は一時払いと同じように、全期間分の保険料を支払いますが、支払う金額は一時払いよりも高くなります。
また、その分返戻率も低くなってしまうでしょう。
理由としては、保険会社にとって、預かった保険料は使う自由度が少ないからです。
全期前納の場合、預かった保険料はいつでも返還できるようにしなければなりません。
すると、自由に使えませんよね。
一方の一時払いは保険料としてすでに受け取っているので、保険会社は運用などのために、その保険料を比較的自由に活用できます。
以上から、全期前納は一時払いに比べて保険料が高く返戻率が低いのです。
学資保険を一時払いするメリット・デメリット
一方のデメリットは、次の2つです。
- 保険料払込免除特約が適用されない
- 生命保険料控除が一度しか利用できない
すでに全ての保険料を支払っているため、契約者に万が一のことがあっても保険料払込免除特約は適用されません。
そのため、リスクが実際に発生した場合に、結果的に損をしてしまうことがあるでしょう。
また生命保険料控除が、保険料を一括で支払った年度でしか利用できません。
学資保険は、長期間に渡る契約なので、失う節税効果は数万円以上にのぼるでしょう。
学資保険を月払いするメリット・デメリット
その点、月払いは数百万円を使う機会を確保しながら、学資金に備えられます。
学資保険の代わりにまとまったお金で資産運用をすることもできますし、その他の意味ある消費に回すこともできるはずです。
月払いの他のメリットは全期前納と同じように保険料払込免除特約が適用され、生命保険料控除が利用できることでしょう。
一方の月払いのデメリットは、総額保険料が高くなることと、返戻率が低いことです。
総額保険料は、一括払いに比べて数十万円以上も高くなる可能性があります。
また、保険料が高いので、返戻率も下がってしまいます。

学資保険の全期前納が向いている人
- 低リスクで返戻率をアップさせたい
- 生命保険料控除を毎年受けたい
それぞれ、解説していきます。
低リスクで返戻率をアップさせたい人
一時払いでは、保険料払込免除特約が適用されず、万が一のときになっても支払った保険料は返還されません。
しかし、全期前納であれば、返還されます。全期前納の方が、経済的な支えを維持できるのです。
そのため全期前納は、一時払いに比べ低リスクで、他よりも返戻率の高い支払い方法と言えるでしょう。
生命保険控除を毎年受けたい人
一方の一時払いは、支払った年の1回しか受けられません。
生命保険料控除は月払いや年払いでも受けられます。
しかし、全期前納に比べて保険料が高く、返戻率が低くなってしまいます。
つまり、生命保険料控除を使える支払い方法の中で、全期前納が最もお得ということです。

返戻率の高い学資保険おすすめ3選!全期前納できる保険は?
返戻率が高い、おすすめの学資保険は次の3つです。
- 明治安田生命つみたて学資
- 日本生命ニッセイ学資保険
- ソニー生命学資金準備スクエア
それぞれ、どのような特徴を持った保険なのかを解説していきます。
おすすめ学資保険①明治安田生命つみたて学資
明治安田生命つみたて学資では、保険金の受け取りが大学入学直前から始まります。
その後、在学中の4年間、毎年保険金を受け取れるようになっています。
払込期間は子供の年齢が10歳や15歳になるまでを選択できるようです。
そしてつみたて学資は、全期前納ができる学資保険です。
全期前納と、月払いの返戻率の違いを比較していきましょう。
全期前納の返戻率
ここでは、加入時の子供の年齢を0歳で契約者が男性とした場合に、300万円の高額割引が適用されたときの契約者加入年齢ごとの返戻率をまとめます。
契約者年齢 | 返戻率 |
20歳 | 109.0% |
25歳 | 109.0% |
30歳 | 109.0% |
35歳 | 108.8% |
40歳 | 108.4% |
45歳 | 107.8% |
30歳までなら、返戻率が109%で変わりません。
30歳以降、返戻率は下がるものの、45歳にして107.8%の返戻率はかなり高い水準と言えるでしょう。
また全期前納なので、保険料払込免除特約が適用されます。
ちなみに契約者が女性の場合は、返戻率が109%を超える可能性もありますよ。
月払いの返戻率
では、続いて月払いの返戻率を確認しましょう。
条件は、全期前納と同じく、加入時の子供の年齢を0歳で契約者が男性とした場合に、300万円の高額割引が適用されたときの契約者加入年齢ごとの返戻率とします。
すると、次の表のような結果になります。
契約者年齢 | 返戻率 |
20歳 | 104.4% |
25歳 | 104.3% |
30歳 | 104.1% |
35歳 | 103.8% |
40歳 | 103.2% |
45歳 | 102.1% |
全期前納に比べて、返戻率が5%ほど落ちてしまうようですね。
ただ、返戻率が100%を切る学資保険が増えてきている中で、月払いで100%以上を保っているのは、珍しいと言えるでしょう。
また、契約者が女性であれば、返戻率を上げられる余地もあります。
つみたて学資の加入を検討する際の支払い方法の参考にしてみてください。

おすすめ学資保険②日本生命ニッセイ学資保険
一方の「祝金あり型」は、小・中・高の入学直前に祝金を受け取れるようになっています。
総額保険料は、「祝金なし型」よりも多いですが、総額保険金も多く受け取れますよ。
ただし保険料が高いということは、返戻率が下がるということなので、返戻率は「祝金なし」の方が高くなっています。
ちなみに、日本生命ニッセイ学資保険にあるユニークな特徴として、「育児相談ほっとライン」というサービスがあります。
そのサービスを利用することで、子供に急な体調不良が起こったりアレルギー症状が出たりした場合などに、専門の小児科医に無料電話相談できるのです。
利用は24時間、365日間無料です。
日本生命ニッセイ学資保険の支払い方法と返戻率
ここでは、次の2つの支払い方法による返戻率の違いを紹介します。
- 払込期間18年の毎月払い
- 払込期間5年の年払い
条件としては契約者が30歳男性で、子供の年齢は0歳の祝金なしプランとします。
すると、1の返戻率は104.0%、2の返戻率は108.9%になります。
やはり、払込期間が短く、払込回数が少ない方が返戻率が高くなりましたね。
無理のない範囲で積極的に払込期間を短くし、払込回数を少なくしていけば、返戻率は高くなるでしょう。
日本生命ニッセイ学資保険は、支払い方法の選択肢が多いことも特徴なので、確認してみてください。

おすすめ学資保険③ソニー生命学資金準備スクエア
そして、学資保険の満期を17・18歳か20・22歳から選べますよ。
早生まれでも、大学資金を確実に受け取れます。
また保険の満期を22歳で設定すれば、大学院進学や留学への資金的な対応もできるようになるのです。
さらに、最も柔軟な選択肢があるのが、保険金の受け取り方です。
ソニー生命学資金準備スクエアは次の3つから保険金の受け取り方を選べます。
- 中・高・大の進学直前に受け取る
- 大学入学直前に、一括で受け取る
- 学資年金として大学入学から22歳まで毎年受けとる
子供の進学プランに合わせて、最も資金が必要なときに保険金を受け取れるでしょう。
返戻率は、保険金の受け取りを先延ばしにすると、高くなる傾向にあります。
そのため、上記の3つの中では、1のプランが最も返戻率が低く、3のプランが高くなるのです。
保険料の支払い方法は、月払いや年払い、半年払いがあります。
現在、ソニー生命学資金準備スクエアにも一括払いの取り扱いはありません。
しかし以上のように、払込期間や保険料の支払い方法、保険金の受け取りプランを柔軟に選べるのです。
そのため、学資保険の中でも自分の意思で返戻率を高める工夫が多い学資保険と言えるでしょう。
ソニー生命学資金準備スクエアのプランと返戻率
比較するのは、保険料の払込期間が18年の月払いと、保険料の払込期間が10年の年払いの2つです。
保険への加入条件は、契約者が30歳男性で子供が0歳、保険金の受け取りプランを先ほど紹介した3とします。
保険料の払込期間が18年で月払いなら、返戻率が103.4%となります。
一方の保険料の払込期間が10年で年払いでは、返戻率は106.3%にもなります。
保険料の支払い方法は、半年払いもある上に、保険金の受け取り方は3つもあります。
保険料払込免除特約も使えます。返戻率や子供の将来、現時点の家庭の経済状況に応じて、最も柔軟にプランを選べる学資保険と言えるでしょう。
学資金準備スクエアのプランは、ソニー生命の他にソニー損保からも確認できますよ。

学資保険で全期前納を選ぶ注意点
本記事の最後に、学資保険の保険料を全期前納で支払う際の注意点を紹介します。
全期前納(一括払い)に対応していない保険もある
保険会社のホームページを確認しても、取り扱いの有無がわからない場合は、問い合わせなどで直接聞くのがおすすめです。
保険によっては親と子供の年齢制限が設けられている
また、同じ学資保険でもプランによって年齢制限が変わることがあります。
例えば、保険金の受け取りが小学校の入学直前などの早い時期から始まる場合は、加入できる子供の年齢が2歳までであることがあります。
ただ、全期前納に特別な年齢制限はないでしょう。
資金提供を受けて支払うと贈与税が問題となる
税金として支払う金額は数十万円になる恐れがあります。
資金提供を受ける際は、結果として年払いや半年払いなどを利用する方が、お得な場合があることに気をつけてください。
必要な保障を付け忘れないようにする
家庭の経済状況に悪影響を与えないか確認する
契約後に支払い方法を変更するときは問い合わせる
返戻率にこだわるなら一時払いを検討する
全期前納も十分に返戻率が高いのですが、さらにこだわりたい方は、一時払いという選択肢もあります。
一時払いの方が、全期前納に比べて、高い返戻率になっています。
どちらも一括支払う事に変わりはありません。
ただ、保険料払込免除特約や生命保険料控除の扱いに違いがあるので、総合的な視点での選択をおすすめします。
返戻率の高さなら外貨建ての保険も優秀

まとめ
最後に、本記事の内容をまとめます。今後の学資保険の検討に、お役立てください。
- 学資保険の保険料の支払い方法には月払や年払い、一括払いなどがある。
- 返戻率とは支払った保険料に対する、受け取った保険金の割合のこと。
- 一時払いは、保険会社に保険料を一括で支払えば全ての支払いが完了する。
- 全期前納は、全期分の保険料を保険会社に預けているというイメージ。
- 一時払いと全期前納は解約返戻金や生命保険料控除、保険料払込免除特約などの取り扱いが異なる。
- 全期前納に向いているのは、「低リスクで返戻率をあげたい人」と「生命保険料控除を毎年受けたい人」。
- 返戻率の高い学資保険は、「明治安田生命つみたて学資」、「日本生命ニッセイ学資保険」、「ソニー生命学資金準備スクエア」など。
- 資金提供を受けるなら、贈与税の適用に注意する。
- 返戻率にこだわるなら、外貨建て保険の利用も検討する。
「まずは気軽に保険のことを相談してみたい!」という方にお勧めなのが、Moneypediaのオンライン保険相談サービスです。
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