【FP監修】学資保険の全期前納(一括払い)で返戻率アップ!一時払いや月払いとの比較も紹介

学資保険2022.03.16 公開 | 2024/08/13 更新

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子供の教育資金に備える学資保険は、保険料の支払い方法によって返戻率が変わります。
本記事では、全期前納と一時払いの違いや支払い方法ごとのメリット・デメリットを解説します。
また全期前納できる具体的な学資保険や、選ぶ際の注意点についても紹介します。

学資保険の支払い方法と返戻率

学資保険とは、子供の教育資金に備えるための貯蓄型の保険です。
基本的には、毎月決まった額の保険料を支払うことで祝金や満期保険金を受け取ることができます。
ただ、支払い方法には月払いの他に、年払いや一括払いなどもあります
そして保険料の支払い方法が変わると、生命保険料控除の扱いや返戻率も変わるのです。

学資保険は、保険の一種なので生命保険料控除という所得税控除の対象になります。

そのため1年間の所得額から、支払った保険料を差し引くことで、所得税額を減らせるでしょう。つまり、節税対策の1つですね。

返戻率とは支払った保険料に対する、受け取った保険金の割合のことです

返戻率が100%以上なら、支払った額よりも多くの保険金を受け取ったことになります。

しかし、返戻率が100%未満になると、元本割れしたことを示します。

返戻率は、保険料の支払い期間が短いほど高くなる傾向があります。

なぜなら、保険料は保険会社が運用するため、支払い期間が短い方がまとまった資金を長期間運用できるからです。

以下の表で、支払い方法の概要と返戻率の関係についてまとめます。

参考にしてみてください。

支払い方法 支払い方法の概要 返戻率
一括払い 保険料の全額を、一括で支払う方法。
一括払いには全期前納と一時払いの2種類がある
年払いや月払いに比べて高い返戻率になる
年払い 1年分の保険料を一括で支払う方法 月払いよりも高い返戻率になる
月払い 毎月決まった額の保険料を支払う方法 最も返戻率が低い

 

全期前納と一時払いの違い

先ほど表で言及したように、一括払いには全期前納と一時払いの2種類があります。

どちらも、全期間分の保険料を一括で支払うことで共通しています。

保険料を支払う契約者からすると、同じような払い方に思えるでしょう。

しかし、全期前納と一時払いでは性質が異なります。

一時払いは、保険会社に保険料を一括で支払えば、支払いが完了します。

全ての保険料が支払い済みになるということです。

全期前納は、確かに全期分の保険料を保険会社に支払いますが、その保険料は保険会社に預けているというイメージです。

つまり、保険会社に預けたお金から、毎月の保険料が支払われるということです。

一時払いの方が、全ての保険料を支払っている分、返戻率が高くなるでしょう。

しかし、全期前納と一時払いの違いは、返戻率だけではありません。

払込免除特約や生命保険料控除、解約返戻金の扱いがそれぞれ異なるのです。

その違いを、以下で解説します。

 

保険料払込免除特約の扱いの違い

全期前納と一時払いでは、保険料払込免除特約の扱いが異なります。
保険料払込免除特約とは、契約者(親権者など)が亡くなったり高度障害になったりした場合に、以降の保険料の支払いが免除になる特約です。
ちなみに保険料払込免除特約は、学資保険ならではの特徴です。
貯蓄や資産運用には、このような保障はありませんよね。

一時払いは、すでに全ての保険料を支払い終わっているので、保険料払込免除特約は使えません

しかし全期前納は、保険料を保険会社に預けているだけなので、まだ支払いは完了していません。

そのため、全期前納の場合、保険料払込免除特約が適用されて、保険会社に預けていた保険料を返済してもらえます。

 

生命保険料控除の扱いの違い

学資保険の保険料は、生命保険料控除の中でも一般生命保険料控除の対象になります。
一般生命保険料控除は、毎年の所得から、その年に支払った保険料の総額を差し引ける控除です。
控除額は、保険料を年間8万円よりも多く支払った場合に、最大4万円と決まっています。

一時払いは、1回で全ての保険料を支払ってしまうので、一般生命保険料控除を使えるのは、支払った年の1回のみとなります。

一方の全期前納は、保険会社に預けた保険料から支払いを続けているため、毎年一般生命保険料控除の対象になるのです

 

解約返戻金の違い

学資保険を解約すると、保険会社から解約返戻金を受け取ることになります。
解約返戻金とは、保険を解約したときに、支払った保険料に応じて返済されるお金のことです。

一時払いなら、すでに全ての支払いが終わっているので、支払った保険料が解約返戻金として返済されます

ただし、解約返戻金は時期によって支払った保険料よりも多い場合もあれば、少ない場合もあります。

加入期間が長くなるほど、解約返戻金の額も多くなる傾向にあるので、解約の時期は慎重に選びましょう。

全期前納は、まだ保険料の支払いをしていない部分については、そのまま返還されます。

またすでに保険料として支払ったものも、解約返戻金として受け取れます。

ただし、その解約返戻金は一時払いと同じように支払った保険料よりも多かったり、少なかったりするでしょう。

 

学資保険の全期前納と一時払い、月払いを比較

全期前納と一時払いの違いを、詳しく見てきました。
ここでは、両者の具体的なメリット・デメリットをまとめていきます。
また、学資保険に加入した多くの方が、月払いで保険料を支払っていることでしょう。
そこで、月払いのメリット・デメリットも同じようにまとめます。支払い方法の比較に、お役立てください。

 

学資保険を全期前納するメリット・デメリット

全期前納のメリットをまとめると、次のようになります。
  • 月払いに比べて総額保険料が少ない
  • 月払いよりも返戻率が高くなる
  • 毎年生命保険料控除の利用ができる
  • 契約者に万が一のことがあった場合に保険料の未払い分の返還が受けられる

全期前納は、保険会社に預ける支払い方法とはいえ、保険料の割り引きが適用されます。

その分、返戻率も高くなるでしょう。

また、一時払いとは違って、毎月の保険料を支払うため、生命保険料控除の利用ができます。

学資保険は15年以上の長期に渡る保険契約なので、生命保険料控除を利用できると大きな節税効果を期待できるでしょう

また、一時払いにはない保険料払込免除特約の適用を受け、保険会社に預けていた保険料の返還を受け取れます。

一方のデメリットは、次の2点です。

  • 一時払いよりも保険料が高くなる
  • 一時払いよりも返戻率は低い

全期前納は一時払いと同じように、全期間分の保険料を支払いますが、支払う金額は一時払いよりも高くなります。

また、その分返戻率も低くなってしまうでしょう。

理由としては、保険会社にとって、預かった保険料は使う自由度が少ないからです

全期前納の場合、預かった保険料はいつでも返還できるようにしなければなりません。

すると、自由に使えませんよね。

一方の一時払いは保険料としてすでに受け取っているので、保険会社は運用などのために、その保険料を比較的自由に活用できます。

以上から、全期前納は一時払いに比べて保険料が高く返戻率が低いのです。

 

学資保険を一時払いするメリット・デメリット

学資保険を一時払いにするメリットは、他の支払い方法よりも支払い保険料が少なく、返戻率を高くできることでしょう
保険会社からすると、自由に使える資金を即時受け取れるので、一時払いの保険料は安く設定されます。
さらに、保険会社による運用期間も長くなるので、返戻率も高くなるでしょう。

一方のデメリットは、次の2つです。

  • 保険料払込免除特約が適用されない
  • 生命保険料控除が一度しか利用できない

すでに全ての保険料を支払っているため、契約者に万が一のことがあっても保険料払込免除特約は適用されません。

そのため、リスクが実際に発生した場合に、結果的に損をしてしまうことがあるでしょう

また生命保険料控除が、保険料を一括で支払った年度でしか利用できません。

学資保険は、長期間に渡る契約なので、失う節税効果は数万円以上にのぼるでしょう。

 

学資保険を月払いするメリット・デメリット

月払いの最大のメリットは、一時的にかかる経済的負担が少ないことでしょう
一括払いは、数百万円にも及ぶ金額を一度に支払います。余裕資金が十分にある方なら問題ありません。
しかし、一括払いのメリットだけを見るのは危険です。
数百万円の活用機会を一瞬で失ってしまうからです。

その点、月払いは数百万円を使う機会を確保しながら、学資金に備えられます。

学資保険の代わりにまとまったお金で資産運用をすることもできますし、その他の意味ある消費に回すこともできるはずです。

月払いの他のメリットは全期前納と同じように保険料払込免除特約が適用され、生命保険料控除が利用できることでしょう。

一方の月払いのデメリットは、総額保険料が高くなることと、返戻率が低いことです。

総額保険料は、一括払いに比べて数十万円以上も高くなる可能性があります

また、保険料が高いので、返戻率も下がってしまいます。

 

学資保険の全期前納が向いている人

学資保険の保険料の支払いごとによるメリット・デメリットをまとめてきました。
では、具体的にどのような方が全期前納の利用に向いているのでしょうか。全期前納に向いているのは、次のような考え方の人です。
  • 低リスクで返戻率をアップさせたい
  • 生命保険料控除を毎年受けたい

それぞれ、解説していきます。

 

低リスクで返戻率をアップさせたい人

低リスクで、返戻率をアップさせたい人には、全期前納がおすすめです
なぜなら、全期前納は、保険料の支払い方法の中でも返戻率が高く、保険料払込免除特約の適用や解約返戻金の返還を受けられるからです。
全期前納の返戻率は、一時払いより低いものの、全額の保険料を保険会社に預けるため他の支払い方法に比べて、高くなっています。
一括で支払う分、保険料も割引が適用されて安くなるでしょう。

一時払いでは、保険料払込免除特約が適用されず、万が一のときになっても支払った保険料は返還されません。

しかし、全期前納であれば、返還されます。全期前納の方が、経済的な支えを維持できるのです。

そのため全期前納は、一時払いに比べ低リスクで、他よりも返戻率の高い支払い方法と言えるでしょう。

 

生命保険控除を毎年受けたい人

全期前納は、一括で保険料を支払っていながら毎年生命保険料控除を受けられますね。
理由は、保険料を保険会社に一括で預け、その預けたお金から毎月の保険料支払いに当てられるからでした。

一方の一時払いは、支払った年の1回しか受けられません。

生命保険料控除は月払いや年払いでも受けられます。

しかし、全期前納に比べて保険料が高く、返戻率が低くなってしまいます。

つまり、生命保険料控除を使える支払い方法の中で、全期前納が最もお得ということです

 

 

学資保険で全期前納を選ぶ注意点

全期前納は返戻率を上げるだけでなく、保険料払込免除特約が使えたり、生命保険料控除を受けられたりするメリットの多い支払い方法です。
しかし、全期前納は一般的によく使われている支払い方法ではないため、多くの注意点があることも忘れてはいけません。

本記事の最後に、学資保険の保険料を全期前納で支払う際の注意点を紹介します。

 

全期前納(一括払い)に対応していない保険もある

現在販売されている学資保険には、全期前納の取り扱いがないものもあります。
むしろ、取り扱いを明言していない学資保険がほとんどです
そのため、全期前納を検討しているなら、取り扱いの有無を必ず確認しなければなりません。

保険会社のホームページを確認しても、取り扱いの有無がわからない場合は、問い合わせなどで直接聞くのがおすすめです。

 

保険によっては親と子供の年齢制限が設けられている

学資保険には、基本的に親や子供の年齢制限が設けられています。
多くの保険会社では、親の年齢は18〜45歳、子供の年齢は0〜6歳という範囲で加入制限が設けられています。
その期間を過ぎてしまうと、学資保険に加入できません。

また、同じ学資保険でもプランによって年齢制限が変わることがあります。

例えば、保険金の受け取りが小学校の入学直前などの早い時期から始まる場合は、加入できる子供の年齢が2歳までであることがあります。

ただ、全期前納に特別な年齢制限はないでしょう

 

資金提供を受けて支払うと贈与税が問題となる

全期前納は、一括で数百万円の資金を支払う方法なので、資金提供を受けることも想定されますね。
その際、贈与税の課税対象になる可能性に注意しなければなりません
例えば、契約者である親が祖父母から資金提供を受けて学資保険に申し込んだ場合、贈与税の対象になります。

税金として支払う金額は数十万円になる恐れがあります。

資金提供を受ける際は、結果として年払いや半年払いなどを利用する方が、お得な場合があることに気をつけてください。

 

必要な保障を付け忘れないようにする

学資保険は、家族や子供の病気やケガに備えるための特約があります。
特約に加入するとその分の保険料もかかります。全期前納は、まとまった資金が必要になる支払い方法です。
したがって、特約を付加すると、一括払いの負担も増えてしまうのです。
その負担を恐れて、必要な保障をつけ忘れないようにするのが重要です

 

家庭の経済状況に悪影響を与えないか確認する

全期前納は、多くの資金を一括で支払う方法なので、家庭の経済状況を慎重に確認してから行うのが得策です。
まとまったお金を支払ってしまうと、万が一のときに現金を用意できなかったり、資産運用の機会損失になったりします
学資保険に全期前納するメリットと、家庭の経済状況から見たデメリットは、必ずまとめましょう。

 

契約後に支払い方法を変更するときは問い合わせる

契約後に、支払い方法を変えたい場合は、保険会社に問い合わせましょう。
クーリングオフが利用できる期間なら、保険料を支払っていても資金を返還してもらえる可能性はあります。
しかし、必ずしも返還してもらえるわけではありません。
契約前に、支払い方法の変更の可否や返還の有無は必ず聞いておくのがおすすめです

 

返戻率にこだわるなら一時払いを検討する

全期前納も十分に返戻率が高いのですが、さらにこだわりたい方は、一時払いという選択肢もあります。

一時払いの方が、全期前納に比べて、高い返戻率になっています。

どちらも一括支払う事に変わりはありません。

ただ、保険料払込免除特約や生命保険料控除の扱いに違いがあるので、総合的な視点での選択をおすすめします。

返戻率の高さなら外貨建ての保険も優秀

日本よりも金利の高い、外貨建ての保険も返戻率が高いでしょう。
返戻率にこだわるなら、そのような選択肢もあります。
ただし為替によっては、最終的に損する恐れもあるので注意が必要です
円高か円安かによって、保険料や保険金が変わります。
また、為替相場を予測することは難しいでしょう。リスクを承知の上で、活用しなければなりません。

 

まとめ

全期前納を含めた、学資保険の保険料の支払い方法には、返戻率や生命保険料控除、保険料払込免除特約など、注意すべき点がたくさんあります。
また、全期前納が利用できる学資保険も多くはありません。
そこで、全期前納できる学資保険を賢く選ぶためにもプロに相談することをおすすめします
あなたの家庭の経済状況や子供の教育プランに合わせた保険を検討してくれるでしょう。

最後に、本記事の内容をまとめます。今後の学資保険の検討に、お役立てください。

  • 学資保険の保険料の支払い方法には月払や年払い、一括払いなどがある。
  • 返戻率とは支払った保険料に対する、受け取った保険金の割合のこと。
  • 一時払いは、保険会社に保険料を一括で支払えば全ての支払いが完了する。
  • 全期前納は、全期分の保険料を保険会社に預けているというイメージ。
  • 一時払いと全期前納は解約返戻金や生命保険料控除、保険料払込免除特約などの取り扱いが異なる。
  • 全期前納に向いているのは、「低リスクで返戻率をあげたい人」と「生命保険料控除を毎年受けたい人」。
  • 資金提供を受けるなら、贈与税の適用に注意する。
  • 返戻率にこだわるなら、外貨建て保険の利用も検討する。

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