【FP監修】生命保険料控除ってなに?専門家が書き方やいくら節税できるかをわかりやすく解説!

保険の基本を知る2022.07.27 公開 | 2022/07/28 更新

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生命保険に加入している方には毎年秋頃に「生命保険料控除証明書」という書類が郵送で届きますよね。
また勤務先から「年末調整に使うので持ってきてください!」という案内を受けたこともあるのではないでしょうか。
この記事では、生命保険料控除の概要と実際の書き方について、専門家がわかりやすく解説していきます!

生命保険料控除とは

生命保険に契約している方は、払い込んだ保険料の金額に応じて、一定の金額を所得から控除することができます。

この制度を生命保険料控除と呼びます。

みなさんが毎年納めている所得税や住民税は、所得に対して税率を掛けることで計算されるため、生命保険料控除を活用して課税所得額を少なくすることにより、税負担も軽減させることが可能となります。

 

類似する制度

例えばですが、任意で加入することが出来る国民年金基金や、2001年に創設されたiDeCo(個人型確定拠出年金)なども、それぞれ社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除の対象となります。

所得控除の種類はいくつか存在するため、適用となるものを活用していけば毎年の税負担を軽減していくことが可能です。

参考:所得控除に関する資料:財務省

 

生命保険料控除の対象者について

対象となる人は、「保険料を支払っている人」となります。

注意して頂きたい点は、保険契約者ではないということです。

 

対象とならない例① 配偶者が保険料を支払っている

  • 契約者:妻
  • 被保険者:妻
  • 受取人:夫
  • 保険料負担者:夫

このような契約形態であった場合、保険料控除証明書は契約者である妻宛てに届きますが、保険料控除の対象となるのは保険料負担者である夫となります。

国税庁HP(No.1140 生命保険料控除)

 

対象とならない例② 子供に保険料の原資を贈与している

  • 契約者:子供
  • 被保険者:父親
  • 受取人:子供
  • 保険料負担者:子供

このような契約形態で、保険料の振替口座が子供名義の銀行口座であったとしても、保険料の原資を父親が子供に対して贈与していた場合、贈与者(父親)を控除の対象とすることは出来ません

生命保険文化センター 税金に関するQ&A

 

不安な場合は控除の対象者を確認する

このように、生命保険料控除の対象者は、一概に契約者というわけではありません。

本記事では2022年現在の法令をもとに執筆していますが、個別税務につきましては、所轄の税務署や税理士に一度確認することをお勧めします。

 

対象となる契約について

対象となる保険契約は

  • 生命保険契約等
  • 介護医療保険契約等
  • 個人年金保険契約等

となっています。

また、契約時期によって取扱いが異なり、

  • 平成24年1月1日以後に締結:新生命保険料控除
  • 平成23年12月31日以前に締結:旧生命保険料控除

となるため注意が必要です。

 

対象とならない契約の例

一例ですが、

  • 保険期間が5年未満の貯蓄保険
  • 団体信用生命保険
  • 保険料の払込期間が10年未満の個人年金保険

などは対象となりません。

対象となる保険契約は細かく定められているため、加入時にしっかりと確認をすることや、毎年保険会社などから送られてくる保険料控除証明書の記載をしっかりと確認することが重要です。

参考:国税庁「生命保険料控除の対象となる保険契約等」

いくらくらい節税できる?

前提として、前述したように契約時期によって控除の取扱が異なります。

今回は、平成24年1月1日以後に締結された契約を対象とする、新生命保険料控除制度をもとに解説していきます。

 

所得税の取扱

控除の対象となる保険契約は3種類あり

  1. 一般生命保険料
  2. 介護医療保険料
  3. 個人年金保険料

です。

所得から控除できる限度額は、それぞれの枠で40,000円が限度であり、合計120,000円が最大で控除可能です。

仮にあなたの所得税率を20%として控除枠を最大限活用した場合には、毎年24,000円の所得税軽減が期待できます。

控除金額の一覧は下記のとおりです。

所得税の新生命保険料控除 (出典:国税庁)

年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超、40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超、80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

※一般、介護医療、個人年金それぞれに適用

 

住民税の取扱

控除の対象となる保険契約は、所得税と同様の3種類ですが、限度額はそれぞれの枠で28,000円、合計70,000円が最大で控除可能です。

仮にあなたの住民税率を10%として控除枠を最大限活用した場合には、毎年7,000円の住民税減税が期待できます。

控除金額の一覧は下記のとおりです。

住民税の新生命保険料控除 (出典:国税庁)

年間の支払保険料等 控除額
12,000円以下 支払保険料等の全額
12,000円超、32,000円以下 支払保険料等×1/2+6,000円
32,000円超、56,000円以下 支払保険料等×1/4+14,000円
56,000円超 一律28,000円

※一般・介護医療・個人年金それぞれに適用

 

年間保険料20万円での具体例を解説

生命保険料控除の具体的な効果をイメージするために、下記の例で試算してみます。

今回のケースでは新制度適用としています。

  • 所得税率:20%
  • 住民税率:10%
  • 保険契約①:終身保険 年間保険料10万円
  • 保険契約②:個人年金 年間保険料10万円

 

所得税の軽減効果

保険契約①と②のそれぞれで40,000円ずつ、合計80,000円が控除されるため、16,000円の所得税軽減が期待できます。

 

住民税の軽減効果

保険契約①と②のそれぞれで28,000円ずつ、合計56,000円が控除されるため、5,600円の住民税軽減が期待できます。

 

これらを合計すると、

年間200,000円の保険料に対して年間21,600円の税軽減が可能となるため、生命保険料控除の効果の大きさを感じて頂けると思います。

生命保険の中には、貯蓄型で資産性のある保険種類もあるため、効果的に活用することにより上手に資産形成をしていくことが出来るでしょう。

※本記事は2022年7月現在の法令をもとに執筆しております。また個別税務につきましては所轄の税務署や税理士に確認して頂くようご留意願います。

 

生命保険料控除の書き方と申告方法

年末調整の場合(会社員など)

勤務先から年末に案内を受ける年末調整で申告を行います。

勤務先のシステムによって、控除証明書を添える必要があったり、WEB上で入力するだけで完結する場合など様々です。

基本的には毎年10月頃に保険会社などから送付される控除証明書をもとに

  • 契約時期
  • 新制度か旧制度か
  • 年間保険料
  • 控除枠(一般・介護医療・個人年金)
  • 適用額

を記載していくことで申告が完了します。

申告の方法は勤務先によって異なることもあるため、申告が難しい場合は保険契約の担当者や勤務先の担当者に確認することでスムーズに進めることが出来るでしょう。

 

確定申告の場合(自営業者など)

申告を自身で行う場合には、控除欄に適用金額を記載すると共に、別紙に契約の詳細を記入して控除証明書を添付します。

税理士等に代行してもらう場合には、控除証明書を渡すだけで基本的には控除を受けることが可能です。

 

まとめ

ここまで、生命保険料控除の概要から対象者と対象契約、適用金額、申告方法に渡って解説をしてきました。

生命保険料控除は、国が制度として準備してくれている税軽減の仕組みであり、90%近い方が活用をしていますが、3つの枠を最大限活用している方は20%に満たないという調査結果も出ています。

実際に

「毎年送られてくるけど実際はよくわかっていない」

「いくら税金が減っているのかわからない」

という方も多いです。

 

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まずは一度、ご相談されてみてはいかがでしょうか。

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