【FP監修】個人年金保険に入るなといわれる理由は?メリット・デメリット、リスク、利率も解説

個人年金保険2022.03.15 公開 | 2022/03/15 更新

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個人年金保険について調べていると、個人年金保険には入るなという意見を見かけることがあり、加入を検討している方は判断に迷うことがあるでしょう。
この記事では、個人年金保険に入るなといわれる理由と、メリット・デメリット、リスクや利率などを解説します。

個人年金保険の基礎知識

人生100年時代といわれ老後の時間が増える中、国民年金や厚生年金だけで足りるのかと不安を感じる人も多いでしょう。

加えて、2019年に金融庁が発表した「老後の資金が2,000万円不足する」という報告書が話題になったのをきっかけに、私的年金に興味を持つ人が増えてきています。

個人年金保険は私的年金の一つで、公的年金にプラスして老後の資金を蓄えることができます。しかし一方で、個人年金保険はおすすめしないとか、入るなといった意見も見られます

まずこの章では個人年金保険の基本的な仕組みを解説し、次章以降で入るなといわれる理由や加入するメリットなどを解説していきます。

 

個人年金保険と国民年金の仕組み・相違点

個人年金保険とは、保険料を積み立てて老後に年金として受け取る保険商品のことです。若いうちにコツコツお金を積み立てて老後の備えにするという点は、国民年金や厚生年金と同じです。

個人年金保険と国民年金の大きな違いは、国民年金が強制加入であるのに対して、個人年金保険は任意加入であるという点です。老後の備えをより手厚くしたい人が、自主的に加入する保険となります。

国民年金は日本年金機構が運営しますが、個人年金保険は民間の保険会社が運営します。個人年金保険は種類が豊富で、受取額が決まっているローリスクな商品もあれば、元本割れリスクのあるハイリターンな商品もあります。

 

受取期間と運用方法の種類

個人年金保険の受取期間は商品によって異なり、確定年金・有期年金・終身年金・夫婦年金の4つに大別できます。加入を検討している個人年金保険がどのタイプかを理解して、プランに合った商品を選ぶことが大切です。

個人年金保険はさまざまな商品があり、運用方法もそれぞれ違います。定額個人年金保険・変額個人年金保険という分類があり、さらにどの通貨で運用するかによって、円建て・外貨建てに分類されます。

つまり運用方法の種類としては、定額か変額か、円建てか外貨建てかによって、4種類に分類されるということです。

【受取期間による個人年金保険の種類】

  1. 確定年金
  2. 有期年金
  3. 終身年金
  4. 夫婦年金

【運用方法による個人年金保険の種類】

  1. 円建て定額個人年金保険
  2. 円建て変額個人年金保険
  3. 外貨建て定額個人年金保険
  4. 外貨建て変額個人年金保険

確定年金

確定年金とは、決まった期間だけ給付される有期型年金の一種です。有期型年金は5年・10年など商品によって期間が決まっており、その期間が終わると受取人が生きていても年金の給付が終わります。

確定年金は、受取期間中に受取人が死亡しても、遺族が引き続き年金を受け取ることができます

確定年金は、被保険者が長生きするかどうかに関わらず、おおむね決まった額の年金を受け取れるのが特徴です。リターンがあらかじめはっきりしているので、将来設計を立てやすい年金だといえます。

有期年金

有期年金も確定年金と同じ有期型年金の一種ですが、被保険者が死亡すると給付が終わり、遺族が引き継ぐことはできません。そのためリターンの面では確定年金より不利ですが、その分保険料が安くなっています

有期年金には保障期間付きのものがあり、これなら保証期間内に限り、被保険者の死亡後も遺族が年金を受け取ることができます。

終身年金

終身年金は受給期間が決まっておらず、被保険者が生きている間ずっと年金が受け取れます。被保険者の死亡後遺族が年金を引き継ぐことはできないので、早く死亡すると元本割れすることがあります。

終身年金も有期年金と同様保障期間付きのものがあり、保障期間内なら被保険者の死亡後遺族が年金を受け取れます。

夫婦年金

夫婦年金では、夫婦のいずれかが生きている間年金を受け取ることができます。夫婦年金は一般に保障期間があり、保障期間内に夫婦共死亡した場合は遺族が年金を受け取ることができます。

定額個人年金保険

定額個人年金保険とは、予定利率が決まっており、最終的に受け取れる年金額が確定している年金保険のことです。利率が決まっているので、ローリスクで老後の備えができます。

変額個人年金保険

変額個人年金保険では、予定利率を定めずに、できるだけ高いリターンを目指して積極的な運用を行います。最終的にもらえる年金額は運用実績次第で、定額個人年金保険より大きなリターンを得られることもあれば、元本割れしてしまうこともあります。

円建て個人年金保険

円建て個人年金保険とは、集めた保険料を日本円建てで運用する個人年金保険のことです。外貨建てに比べて利率が低い傾向がありますが、為替リスクなどの不確定要素が少ないので手堅い運用に向いています

外貨建て個人年金保険

外貨建て個人年金保険とは、ドルやユーロなどの外貨で運用する個人年金保険です。円建てより高いリターンを望めるのがメリットですが、為替リスクや日本円に換金する時に手数料がかかることなどがデメリットです。

個人年金保険以外の私的年金一覧

個人年金保険以外の私的年金には以下のようなものがあります。

このうち、厚生年金基金・確定給付企業年金・企業型確定拠出年金はサラリーマンを対象としており、国民年金基金は自営業者を対象としています。個人型確定拠出年金(iDeCo)はサラリーマンでも自営業者でも利用可能です。

【個人年金保険以外の私的年金一覧】

  1. 国民年金基金
  2. 厚生年金基金
  3. 確定給付企業年金
  4. 企業型確定拠出年金
  5. 個人型確定拠出年金(iDeCo)

 

個人年金保険の利率を計算シミュレーション

この節では、支払った保険料に対してどれくらいの年金が受け取れるのかをシミュレーションします。このシミュレーションはあくまで一例なので、実際の利率は個々の商品によって変わります。

①円建て個人年金保険の利率

受取期間10年間の確定年金を例にとってシミュレーションします。30歳で加入して60歳までの30年間に月2万円の保険料を支払い、65歳から年金を受け取った場合、受け取れる年金額や返戻率は以下のようになります。

支払った保険料の総額720万円に対し、受け取る年金の総額は約762万円となり、返礼率は約106%となります。

円建てはローリスクなのがメリットですが、30年間積み立てて運用益は約40万円ほどしかなく、これが個人年金保険に入るなという意見が出てくる要因の一つとなっています。

払った保険料の総額 720万円
受け取る年金の総額 約762万円
返戻率 約106%

②外貨建て個人年金保険の利率

米ドル建ての個人年金保険のシミュレーションの例です。40歳から65歳まで25年間にわたり、毎月1万円の保険料を支払ったとします。この事例の加入期間は1994年から2018年で、この期間の為替レートが適用されます。

外貨建ては為替リスクなどがあり円建てよりハイリスクですが、返礼率は円建てよりかなり高くなる傾向があります。

支払った保険料の総額 300万円(約28,000ドル)
受け取る年金の総額 約552万円(約48,600ドル)
返戻率 約184%

③変額個人年金保険の利率

変額個人年金保険は運用成績次第でもらえる年金額が変わるので、最終的な年金額がどうなるか事前にシミュレーションすることはできません。

変額個人年金保険の資産は「特別勘定」という名前で、保険会社が投資信託などで運用しています。特別勘定の運用実績は各保険会社が公開しているので、これを参考に判断していくこともできます。

 

個人年金保険に入るなといわれる理由は?

個人年金保険は老後の備えとして有効な商品ですが、おすすめしない、入るなといった意見を目にすることもあります。

加入を検討している時に入るなという意見を見ると判断に迷いますが、個人年金保険はメリットとデメリットがあるので、デメリットもきちんと見ておくことが大切です。

そこでこの章では、個人年金保険をおすすめしない、入るなといわれる主な理由を5つ挙げて解説します。

 

①インフレにより年金額が目減りするおそれがある

受け取る年金額が決まっているタイプの個人年金保険の場合、受取時の円が今よりインフレになっていると、価値としては目減りすることになります

個人年金保険は数十年後に年金を受け取るので、たとえ受取額があらかじめ決まっていても、その額が今現在と同じ価値があるかどうかは分かりません。

特に日本は諸外国に比べてインフレ率の低い状態が続いているので、将来的に諸外国に追いついてインフレ率が上がる可能性もないとはいえません。

ただし、日本のような先進国で、年金額が大きく目減りするほどのインフレが起こることは非常にまれです。

さらに、数十年後のインフレ率を正確に予想して計画を立てるのは困難なので、個人年金保険の加入に際しては、インフレ率をあまり心配しすぎても仕方がない部分はあります。

 

②途中解約による元本割れのリスクがある

個人年金保険を途中で解約した場合は、解約返戻金を受け取ることができます。ただし、解約返戻金は100%を下回るのが一般的で、多くの場合元本割れとなってしまいます。

払った掛金に対する返戻金の割合(返戻率)は、加入期間が長いほど高くなります。具体的な返戻率は商品によって違いますが、一般に10年以上くらい加入するとほぼ100%に近くなり、逆に1,2年など非常に短い場合は50%以下になることもあります。

個人年金保険は数十年という非常に長い期間加入するので、年月が経つうちに加入当初は予期しなかった理由で解約したくなることもあります。

個人年金保険に加入する際は、今の仕事を失ったり転職したりしても掛金を払い続けられるか、他にもっと良い投資商品を見つけた時にどうするかなど、途中解約の可能性も考慮しておきましょう。

 

③死亡保障の面が手薄である

国民年金や厚生年金には遺族年金の制度があり、加入者本人の老後の資金だけでなく、加入者が亡くなった後の家族の生活費をまかなうという意味合いもあります。個人年金保険を、同じように死亡保障の一部として考えている方もいるかもしれません。

しかし、個人年金保険は公的年金と違って死亡保障の面では手薄な商品が多く、おすすめしないという意見もよく見られます。例えば確定年金でないタイプの個人年金保険では、一般に加入者が死亡すると年金の支払いも終了します。

 

④払込期間の割にリターンが少ない

個人年人保険のリターンは、せいぜい105%前後に収まるのが一般的です。数十年掛金を支払って105%ですから、年あたりにすると利率はかなり低くなります。

がんばって長年支払い続けても結局あまり得しないというのは、個人年金保険に入るなという意見が出てくる理由の一つです。ただし、それでも銀行預金に入れっぱなしにしておくよりかは良いリターンが得られます。

リターンにこだわるなら外貨建ての個人年金保険などを選ぶ手もありますが、その分リスクが高くなります。

個人年金保険はあくまで老後に備えるための商品であって、お金を増やすという面ではあまり期待しないのが正しい活用法だといえます。リターンにこだわるなら、個別株投資や投資信託といった他の金融商品を検討すべきです。

 

⑤保険会社が破綻すると損失を被る

個人年金保険は数十年後に年金を受け取るための商品ですが、その間に保険会社自体が破綻してしまった事例もあります

例えば、バブル崩壊後の2000年前後に千代田生命など数社が破綻しており、さらにリーマンショックが起こった2008年に大和生命が破綻しています。

保険会社が破綻する原因はそれぞれですが、不況や経済的混乱が起こった際に、ハイリスク・ハイリターンな商品が重荷になって破綻するケースが多いです。

保険会社が破綻しても、個人年金保険は他の会社が引き継ぐなどして維持されるので、個別株のように紙くずになるわけではありません。

しかし、運用方針の転換などにより、予定利率や返戻金といった保障内容は多かれ少なかれ削減されます。特に個人年金保険は貯蓄性が高く加入期間が長いので、その分破綻した時の損失が大きくなることがあります。

 

入るなといわれる個人年金保険のメリット

前章で解説したように、個人年金保険にはいくつかのデメリットがあり、これが個人年金保険をおすすめしない、入るなという意見が出る理由となっています。

しかし、個人年金保険にはもちろんメリットもあるので、メリット・デメリット両面を見て判断することが大切です。

この章では、所得控除や貯蓄性の観点から、個人年金保険のメリットを見ていきます。

 

①所得控除による節税効果が期待できる

個人年金保険は生命保険料控除の対象となるので、払い込んだ保険料に応じて節税することができます。ただし、保険料の全額が控除されるとは限らず、支払った年間の保険料によって、下の表に従って控除額が決められます。

支払った保険料が少ない場合は全額控除されますが、増えるにしたがって控除される割合が減っていきます。保険料が8万円を超えると控除額が合計6万8千円となり、これ以上控除額は増えません。

個人年金保険というと返戻率に目が行きがちですが、所得控除のメリットも意外に大きいことを理解しておきましょう。

【生命保険料控除の所得税の控除額】

保険料(年間) 控除額
2万円以下 全額
2万円超から4万円以下 1万円+保険料の半額
4万円超から8万円以下 2万円+保険料の4分の1
8万円超 4万円

【生命保険料控除の住民税の控除額】

保険料(年間) 控除額
1万2千円以下 全額
1万2千円超から3万2千円以下 6千円+保険料の半額
3万2千円超から5万6千円以下 1万4千円+保険料の4分の1
5万6千円超 2万8千円

税制適格特約を満たせばさらにお得

生命保険料控除には一般の生命保険料控除以外に、個人年金保険料控除というものがあります。個人年金保険料控除は一般の生命保険料控除とは別枠なので、他の保険料で生命保険料控除を使っている場合は控除額が増えます。

ただし、個人年金保険料控除を受けるためには税制適格特約という条件を満たす必要があり、必ずしも控除できるわけではないのが注意点です。

税制適格特約の条件は以下のとおりです。この条件によると、例えば一時払いで保険料を支払った場合などは、税制適格特約を満たせないことになります。

【税制適格特約の条件】

  1. 年金受取人が本人かその配偶者
  2. 年金受取人は被保険者と同一
  3. 保険料の払い込み期間が10年以上
  4. 年金の受け取り開始が60歳以上
  5. 年金の受け取り期間が10年以上

 

②貯蓄が苦手でも老後資金を貯められる

預金口座にお金があると、つい使ってしまってなかなか貯金ができない性格の方もいるのではないでしょうか。貯金が苦手な方は、個人年金保険を引き出せない預金口座のような感覚で活用するのも一つの手です。

個人年金保険は途中で解約するための手続きが煩雑で、しかも積み立てた額の全額は戻ってこないのが一般的です。これなら貯蓄が苦手な方でも、半ば強制的に老後資金を貯めることができます

ただし、個人年金保険はあくまで保険商品であって、掛金を貯金しているわけではないことは理解しておく必要があります。

分散貯蓄の検討もおすすめ

個人年金保険は貯蓄が苦手な人が老後資金を貯める手段としておすすめですが、途中で解約しづらいのはデメリットでもあります。また、資産を個人年金保険だけに集中投資するのもおすすめできません。

個人年金保険のリスクを減らしたい場合は、いくつかの投資商品に分散貯蓄してみるのもおすすめです。分散貯蓄なら、投資信託などの元本割れリスクのある商品も活用しやすくなります。

最近はつみたてNISAやiDeCoといった税制が優遇されている商品もあるので、こういったローリスクなものから始めてみるのもよいでしょう。

 

個人年金保険に向いている人・不向きな人

個人年金保険は保険料さえ支払えば予定利率にしたがって運用してくれるので、投資に詳しくない人でも手軽に資産運用できるメリットがあります。金融商品にあまり詳しくない人は、個人年金保険に向いているといえます。

また、個人年金保険は途中で解約しても解約返戻金を受け取れます。保険料が払えなくなったり、急にまとまったお金が必要になる可能性を考慮したい人は、個人年金保険が向いているといえます。

【個人年金保険に向いている人】

  1. 運用は保険会社に任せたい人
  2. 途中で解約する可能性がある人

 

iDeCoの活用も検討すべき

個人年金保険が向いていないタイプの方は、iDeCoを活用するという選択肢もあります。iDeCoは運用方法を自分で選べる年金なので、金融商品に詳しい人なら個人年金保険より高いリターンを得られる可能性があります。

iDeCoのメリット・デメリット

iDeCoは個人年金保険とは違う点があるので、メリットとデメリットを押さえておくことが重要です。以下で主なメリット・デメリットを解説します。

iDeCoのメリット

iDeCoは掛金と運用方法を自分で選べるのがメリットです。掛金の最低額は5千円なので、収入が多くない方でも手軽に老後の備えができます。

iDeCoは運用方法の選び方によって、ローリスクにもハイリスクにもできます。元本割れのリスクを負ってリターンを高めたい場合は投資信託を選べばよいですし、手堅く運用したい場合は定期預金を選ぶことができます。

節税効果が高いのも、iDeCoのメリットの一つです。掛金は全額控除で、売却益も運用期間中は非課税になります。さらに、受け取った年金には公的年金等控除や退職所得控除が適用されます。

【iDeCoのメリット】

  1. 自分に合った掛金・運用方法を選べる
  2. 節税効果が高い

iDeCoのデメリット

iDeCoは加入時に2,829円、加入後は毎月最低237円の手数料がかかります。個人年金保険にはこのような手数料はないので、それと比べるとこの手数料はデメリットだといえます。

iDeCoの掛金の上限額は、自営業者が月6万8千円なのに対して、会社員は2万円前後となっています。会社員の方は厚生年金が手厚いので、iDeCoはあくまで補助的に使うことになります。

また、掛金の変更は年1回なので、急な収入の減少に対応しにくい面もあります

【iDeCoのデメリット】

  1. 手数料がかかる
  2. 会社員は掛金の上限があまり高くない
  3. 掛金の変更は年1回しかできない

 

iDeCoに向いている人・不向きな人

下に示した4つの条件に当てはまる人は、個人年金保険よりiDeCoが向いている可能性があります。特に自営業者・フリーランスの方は掛金の上限が高いので、会社員より積極的に活用できます。

逆にこの条件に当てはまらない人は、iDeCoに向いていない可能性があります。

【iDeCoに向いている人】

  1. 金融商品に詳しい人
  2. 途中解約する予定がない人
  3. 節税効果を重視したい人
  4. 自営業者・フリーランスの人

個人年金保険の利率を高めるコツ

個人年金保険は老後の備えとして有効な商品ですが、利率が低く長年運用してもあまり増えないため、おすすめしない、入るなといった意見も出てきます。個人年金保険に入る際は、利率をできるだけ高める方法を知っておくことが重要です

もちろん、何のデメリットもなく利率だけを高める方法はないので、利率アップに対するリスクを考慮したうえで、総合的に判断することが大切になります。

 

外貨建て個人年金保険に加入する

金利の高い外貨建て個人年金保険に加入すると、円建て個人年金保険より利率を高められる場合があります。

ただし、外貨建ては為替手数料や円高による為替差損など、円建ての保険にないリスクもあります。外貨建て個人年金に加入する際は、これらのメリットとデメリットを考慮して判断しましょう。

 

変額個人年金保険に加入する

変額個人年金保険は運用実績によって利率が変わるので、うまくいけば定額個人年金保険より利率を上げられる場合があります

ただしこれはあくまで運用実績によるので、かえって利率が下がってしまうリスクがあることを理解しておく必要があります。

 

繰り下げ受給を行う

個人年金保険では、受給年齢を繰り下げることでもらえる年金額を増やすことができます

ただし、受け取る年金額が増えるとその分課税収入が増えるので、国民健康保険の支払い額などが増えることになります。また、終身年金や有期年金の場合、亡くなる時期によってはかえって受給額が減ることもあるので注意が必要です。

繰り下げ受給を行う場合は、こういったデメリットも考慮したうえで、最終的にどれくらい得になるのか考えて判断する必要があります。

個人年金保険の保険料を節約する方法

個人年金保険は長い年月に渡って積み立てるものなので、保険料がちゃんと支払えるか不安になる人もいるでしょう。

しかし、個人年金保険には解約せずに保険料を安くする方法がいくつかあり、これらの方法を知っておけば不安を軽減できます。

 

保険料を一時払いや全期前納で支払う

個人年金保険の保険料は毎月支払うのが一般的ですが、まとめて全額を一括払いする「一時払い」という支払い方法もあります。一時払いは毎月支払うよりトータルの保険料が安く済みます。

また、全額をまとめて保険会社に預けて、そこから毎月の保険料を支払う「全期前納」という方法もあります。全期前納は一括払いより保険料がやや高くなりますが、代わりに個人年金保険料控除を毎年受けられるメリットがあります。

一時払いや全期前納は、退職金などのまとまったお金で活用するのが効果的です。

保険料を一度に全額支払うことができない場合は、一年分や半年分をまとめて支払うこともできます。これだと一時払いほどの節約効果はありませんが、毎月支払うよりは少し得になります。

 

保険料をクレジットカード払いにする

個人年金保険の中には、保険料の支払いをクレジットカード払いにすることでポイントがたまるものもあります。ポイントは保険料自体の節約ではありませんが、もしカード払いにできる個人年金保険に加入するなら活用してみるのもよいでしょう。

一部解約する

個人年金保険を一部解約すれば、その分保険料を減らすことができます。一部解約とは、例えば年金が1,000万円受け取れる個人年金保険の受取額を700万円などに減らして、その代わりに月々支払う保険料を安くすることです。

一部解約しても契約は継続するので、ちゃんと老後に年金を受け取ることができます。ただし、もちろん受け取れる額は減るので、保険料を節約できるメリットと天秤にかけて判断する必要があります。

 

払済保険へ変更する

保障額を下げて保険料を減らす方法としては、一部解約以外に払済保険という方法もあります。

払済保険とは、解約返戻金を保険料に充てて、その後の保険料の支払いを止めることです。今後保険料を支払わなくて済むうえ、ちゃんと年金を受け取ることができます。

もちろん受け取れる年金額は減るので、メリットとデメリットを天秤にかけて判断することが大切です。

払済保険への変更は、基本的に告知や診査なしで行えるのがメリットです。ただし個人年金保険の場合は、税制適格特約があると払済保険に変更できないこともあるので、契約内容を確認しておく必要があります。

また、加入後一定の期間(例えば10年など)が経つまで、払済保険に変更できないといった条件がついている場合もあります。

 

自動振替貸付を利用する

自動振替貸付とは、保険料の支払いを滞納した時に、解約返戻金で保険料を立て替える制度のことです。保険料に充てた分だけ解約返戻金が減りますが、保険料の納付を猶予できます。

自動振替貸付には利息がつくので、普通に保険料を支払うより割高になります。また、貸付できる解約返戻金がない場合は利用できません。

自動振替貸付に充てた分は、最終的に支払われる年金額から差し引かれます。建て替えた保険料は後で返済することもできます。

 

外貨建て個人年金保険に加入する

外貨建て個人年金保険は円建てより予定利率が高いことが多く、その分保険料が安くなる傾向があります。

有期年金に加入する

有期年金は確定年金に比べて、被保険者が死亡すると年金の給付が終わるというデメリットがあり、その分保険料が安くなっています。確定年金に入っている場合は、有期年金に変えることで保険料を節約できる可能性があります。

まとめ

この記事では、個人年金保険のメリットとデメリット、入るなといわれる理由を解説しました。重要なポイントは以下のとおりです。
  • 確定年金・有期年金・終身年金・夫婦年金に分けられる
  • 円建てと外貨建てがある
  • 定額型と変額型がある
  • 外貨建てはハイリターンだが為替リスクに注意
  • 変額型は運用実績により年金額が変わる

個人年金保険に入るなといわれる理由

  1. インフレにより年金額が目減りするおそれがある
  2. 途中解約による元本割れのリスクがある
  3. 死亡保障の面が手薄である
  4. 払込期間の割にリターンが少ない
  5. 保険会社が破綻すると損失を被る

入るなといわれる個人年金保険のメリット

  1. 所得控除による節税効果が期待できる
  2. 貯蓄が苦手でも老後資金を貯められる

個人年金保険に向いている人

  1. 運用は保険会社に任せたい人
  2. 途中で解約する可能性がある人

iDeCoに向いている人

  1. 金融商品に詳しい人
  2. 途中解約する予定がない人
  3. 節税効果を重視したい人
  4. 自営業者・フリーランスの人

個人年金保険の利率を高めるコツ

  1. 外貨建て個人年金保険に加入する
  2. 変額個人年金保険に加入する
  3. 繰り下げ受給を行う

個人年金保険の保険料を節約する方法

  1. 保険料を一時払いや全期前納で支払う
  2. 保険料をクレジットカード払いにする
  3. 一部解約する
  4. 払済保険へ変更する
  5. 自動振替貸付を利用する
  6. 外貨建て個人年金保険に加入する
  7. 有期年金に加入する

個人年金保険に入るべきか迷っている方は、保険のプロに相談してみるのがおすすめです。入るなという情報を信用すべきかどうかも含めて、豊富な知識と経験に基づいたアドバイスがもらえます。

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