【FP監修】学資保険の頭金払いってなに?必要性やメリット・デメリットについて徹底解説!
子どもの将来の教育費へ備えるために有効な学資保険。
その保険料の支払い方法には、あまり聞きなじみのない【頭金払い】と呼ばれるものががあります。
本記事ではその頭金払いのメリット・デメリットを中心に、学資保険の保険料の支払い方法について解説します。
記事監修者
マネーペディア株式会社
白村 明弘
学資保険の頭金払いとは「一時払い」のこと!
頭金払いとは、保険契約時にまとまった資金を活用して、保険料の一部を一時払いする制度のことです。
活用することで、毎月の保険料負担を減らすことができます。
たとえば、360万円の保険料を10年間(120ヶ月)で支払う学資保険に加入した場合、毎月の保険料は3万円になります。
一方で頭金払いを活用して、120万円を頭金として支払った場合には、残りの保険料は240万円になるので、月々の支払いを2万円にすることができます。
頭金制度は、うまく活用することで契約者の負担を軽減させられる制度と言えるでしょう。
また「頭金払い」という名称ではなくても、前納や一時払いという支払方法で代替することが可能です。
学資保険で頭金払いをする必要性ってなに?
うまく活用することで学資保険の契約者の負担を減らせられる頭金払いですが、その必要性はどこにあるのでしょうか。
というのも、学資保険の保険料の支払い方法には、他にも違う特徴を持ったものがあるのです。
ここでは、頭金制度を活用できる学資保険や、学資保険の保険料の他の支払い方法について確認していきましょう。
頭金払いできる学資保険は少ない
実は頭金制度を活用できる学資保険は、多くありません。
- ソニー生命の「学資金準備スクエア」
- かんぽ生命の「はじめのかんぽ」
で頭金制度が使えると言われていますが、実際にはその他の支払方法を活用した場合を指しています。
頭金払い以外の学資保険料の支払い方法
頭金払いを利用できる学資保険は少なく、その制度を必ず使えるとは限りません。
そのため支払方法選択肢を増やすために、学資保険の他の支払い方法を把握しておくことがおすすめです。
学資保険の支払い方法には、頭金制度以外にも次のような支払い方法があります。
- 一時払い
- 全期前納払い
- 月払い
一時払い
一時払いとは一括払いのひとつで、学資保険にかかるすべての保険料を、契約時に支払ってしまう方法です。
すべての保険料を支払うので、以降の保険料の支払いはもちろんありません。
一時払いにすると、総額保険料が最も少なくなります。
なぜなら将来受け取るはずだった保険料を、契約時に受け取れれば、保険会社はそこから得られる保険料を事業に活用できるからです。
たとえば月払いであれば、保険会社がすべての保険料を受け取るのに数年かかります。
一方の一時払いでは、契約時にすべての保険料を受け取れます。そのため保険会社は、一時払いの保険料を安くして、多くの人に一時払いをしてもらおうとするのです。
ただし一度支払った保険料は、返還されません。
さらに生命保険料控除(ある年に支払った保険料を、その年の所得から差し引く制度)は、保険料を支払った年にしか活用できないので、節税効果が低くなるというデメリットもあります。
全期前納払い
全期前納払いも一時払いと同じく、一括払いのひとつです。
契約時に、学資保険にかかる総額保険料を保険会社に支払います。
ただ一時払いと違うのは、総額保険料を一時的に保険会社に預けているところです。
保険会社に預けたお金から、定期的に学資保険の保険料を支払うといったイメージとなります。
一時払いでは、契約時に保険会社への保険料支払いがすべて完了します。
そのため、解約しても解約返戻金(支払った保険料や加入期間に応じて、保険を解約したときに受け取れる資金)しか受け取れません。
全期前納払いでは、保険会社に保険料相当分の資金を預けているだけなので、解約すると解約返戻金と、まだ支払っていない分の保険料が返還されるのです。
また全期前納払いは、保険料免除特約が適用され、契約者が保険料を支払えなくなると預けていた資金が返還されます。
定期的に保険料を支払っているので、生命保険料控除も活用できます。
月払い
月払いとは、毎月一定の保険料を支払う方法です。
おそらく、学資保険の保険料の支払い方法として、ほとんどの方がイメージしている方法でしょう。
月払いは、何年もかけて保険料を支払っていくので、1回あたりに支払う保険料が少なくなります。
ところが、支払う総額保険料は最も多くなります。
その理由は一時払いと反対で、保険会社にとってはすぐに保険料を確保できないからです。
月払いの他にも、半年払いや年払いができる学資保険があります。
支払う回数が少なければ少ないほど総額保険料は少なくなるので、無理のない範囲で検討してみてください。
学資保険で頭金払いを利用するメリット
頭金制度以外の支払い方法について、ご理解いただけたこでしょうか。
それでも、頭金制度の活用を検討したい方もいるはずです。
そこで学資保険の保険料を、頭金制度を活用することで得られる次の2つのメリットを紹介します。
- 返戻率を高められる
- 払込期間を短縮できる
①返戻率を高められる
学資保険の保険料の支払いに頭金制度を活用することで、返戻率を高めることができます。
返戻率とは、支払った総額保険料に対する、満期保険金や祝金など受け取った総額保険金の割合のことです。
計算式にすると、次のようになります。
返戻率(%)=受け取った総額保険金(円)÷支払った総額保険料(円)×100
そのため、返戻率が100%を超えると支払った保険料よりも受け取った保険金が多くすることができます。
先ほどの「一時払い」の解説のところで、まとまった保険料を支払う方が保険会社にメリットになるので保険料が安くなるということをお伝えしました。
頭金払いでも同じことが言えて、一部でもまとまった保険料を支払うことで、総額保険料が少なくなります。
すると返戻率の分母が小さくなるので、返戻率が高くなるのです。
②払込期間を短縮できる
頭金制度で、まとまった保険料を支払えば、保険料の払込期間を短縮できます。
たとえば、総額保険料200万円が必要な学資保険に加入するときに、頭金として100万円を支払ったとしましょう。すると、残り100万円を支払うのに、200万円のときほど長い期間を必要としなくなりますよね。
また払込期間を短縮できるということは、子どもの年齢が高くても学資保険に加入できるということです。
多くの学資保険は子どもの年齢が0〜6歳の間に加入しなければならない上に、保険料の支払い期限が子どもの年齢をもとに決められます。
しかし頭金制度を使って払込期間を短縮できれば、加入時期が遅れても支払い期限に間に合う可能性が高まるのです。
学資保険で頭金払いを利用するデメリット
頭金制度には、メリットがある一方でデメリットもあります。
学資保険の保険料を頭金制度を活用して支払うのには、次の3つのデメリットがあります。
- 途中で解約すると返金されない
- 死亡給付金の額は増えない
- 節税効果が薄まる
①途中で解約すると返金されない
全期前納払いと違って、頭金制度は保険料を支払っています。
そのため途中解約すると支払った分の保険料が、必ずしも返還されないことに注意しましょう。
つまり解約した場合は、一時払いと同じように解約返戻金しか支払われません。
解約返戻金は支払った保険料や加入期間に応じて、支払われる金額が異なります。
加入期間が短いと、契約返戻金は少ない傾向にあります。そのため頭金制度を活用するときは、将来的に解約する可能性があるかないかを検討しておいてください。
②死亡給付金の額は増えない
頭金制度を活用して、まとまった保険料を支払ったからといって死亡給付金は増えません。
つまり頭金制度で多くの保険料を支払っていようが、毎月払いでコツコツ保険料を支払っていようが、受け取れる死亡給付金は同じということです。
先に多くの保険料を支払っているのに、給付金の額が上がらないことに不公平感を感じるかもしれません。
その点については、注意してください。
③節税効果が減る
頭金制度は、一時払いと同じように保険料の支払いをあらかじめ完了させることになります。
そのため、保険料の支払い回数が減少して、生命保険料控除を利用する機会も減ります。
生命保険料控除は、保険料を支払った年にしか利用できません。
その上、控除できる金額には制限があります。
したがって一時払いの場合は、学資保険を契約したときにしか生命保険料控除を利用できない上に、控除の上限によって効果も制限されるのです。
頭金制度もまとまった金額を契約時に支払って、保険料の支払い回数が減る支払い方法です。
一時払いよりかはましですが、節税効果が薄くなるのはさけられません。
まとめ
本記事では頭金制度を中心に、学資保険の保険料の支払い方法について解説してきました。
一方で、まだまだ自分に適した支払い方法は何か、悩みを抱えている方もいるでしょう。
そこで頭金制度を含めて、自分に適した支払い方法が知りたい場合にはに専門家に相談をしてみてください。
家計状況や学資保険の商品の特徴など、総合的な観点から適切なアドバイスを受けられますよ。
最後に、本記事の内容を簡潔にまとめましたので参考にしてください!
- 学資保険とは、子どもの将来の教育費に備えるための貯蓄型の保険。
- 頭金払いとは、保険契約においてまとまった資金がある場合に、保険料の一部を一時払いする制度のこと。
- 一時払いとは、学資保険にかかるすべての保険料を契約時に支払ってしまう方法。
- 全期前納払いは契約時に、学資保険にかかる総額保険料を保険会社に支払うが、一時払いと違うのは、総額保険料を一時的に保険会社に預けていること。
- 月払いとは、毎月一定の保険料を支払う方法。
- 頭金制度を活用するメリットは「返戻率を高められる」、「払込期間を短縮できる」こと。
- 頭金制度を活用するデメリットは「途中で解約すると返金されない」、「死亡給付金の額は増えない」、「節税効果が薄まる」こと。
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