【FP監修】学資保険 vs つみたてNISA vs ジュニアNISAを比較!教育資金を貯めるなら併用あり?!
子供の教育資金の準備と言えば学資保険ですが、昨今はマイナス金利の影響もあり、つみたてnisaやジュニアnisaを検討している方も多いのではないでしょうか。この記事では学資保険、つみたてnisa、ジュニアnisa、それぞれの特徴や選び方をご紹介していきます。
記事監修者
SYN Group 株式会社
大塚 匠
学資保険、つみたてnisa、ジュニアnisaの違いを比較
学資保険とは
学資保険とは、保険会社が販売する教育資金を積み立てるための保険です。加入時に満期日を設定し、一定金額を積み立てていくことにより、子供の学校の入学や卒業などの節目にまとまった金額を受け取れる保険です。また、学資保険ならではの、契約者の万一に備える特約があり、保障という安心感が得られるのも特徴です。
学資保険のメリットやデメリット
学資保険をより深く知るために、メリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット |
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デメリット |
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学資保険のいちばんのメリットは、契約者に万一のことがあったときに、保険料の払込は免除されるけれど、保障は続くことです。契約者が収入を得られない状態になっても、時期が来れば教育資金を受け取ることができるのです。税制面でも生命保険料控除が使えるので、節税対策にも効果があります。
デメリットとして挙げられるのは、途中解約した場合に元本割れの可能性が高いということです。また、商品にもよりますが、マイナス金利の影響で返戻率は全体的に低めです。特約をつけることで、返戻率が100%を超えない商品もあります。
学資保険の運用例
学資保険に加入した場合の運用シミュレーションをご紹介します。
「契約者30歳男性、子供年齢0歳、月払い」の場合」
月額保険料 | 払込期間 | 払込総額 | 受取総額 | 返戻率 | |
A社 | 15,000円 | 15歳 | 2,700,000円 | 2,826,900円 | 104.7% |
B社 | 20,000円 | 10歳 | 2,400,000円 | 2,532,000円 | 105.5% |
A社の場合126,900円、B社の場合132,000円、プラスされたことになります。
つみたてnisaとは
つみたてnisaとは、年間40万円までの投資信託等で得た収益を20年間非課税にできる、積立投資制度のことです。つみたてnisaでは、国の一定基準を満たした商品だけを扱っています。また、投資金額も少額から可能なため、初心者でも失敗しにくいような制度になっているのが特徴です。現在は2037年までの期間限定の制度で、20歳以上の人が利用できます。
つみたてnisaのメリット・デメリット
つみたてnisaのメリット・デメリットはこちらです。
メリット |
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デメリット |
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つみたてnisaは投資初心者用に作られた制度です。そのため、初心者でも比較的投資による失敗が起こりづらい仕組みがとられているのがメリットです。また、多くの金融機関では月1,000円からと少額の積立が可能です。収益が非課税になる期間も20年間と長く、最大800万円(40万円×20年間)まで非課税で投資が可能です。
ただし、あくまでも投資なので元本割れのリスクはあります。また、年間40万円までの積立投資非課税枠を、翌年以降に繰り越すことはできません。
つみたてnisaの運用例
つみたてnisaでの運用シミュレーションをご紹介します。
「月額10,000円を10年間積立した場合」
積立金額 | 最終金額 | 差額 | 通常発生する 課税金額 |
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年率3% | 1,200,000円 | 1,397,919円 | 197,919円 | 40,207円 |
年率5% | 1,200,000円 | 1,549,921円 | 349,921円 | 71,086円 |
年率7% | 1,200,000円 | 1,720,189円 | 520,189円 | 105,676円 |
「月額10,000円を20年間積立した場合」
積立金額 | 最終金額 | 差額 | 通常発生する 課税金額 |
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年率3% | 2,400,000円 | 3,276,606円 | 876,606円 | 178,083円 |
年率5% | 2,400,000円 | 4,074,578円 | 1,674,578円 | 340,191円 |
年率7% | 2,400,000円 | 5,104,061円 | 2,704,061円 | 549,330円 |
利息は、毎月再投資した場合の複利で計算しています。「通常発生する課税金額」とは、他の投資方法の場合にかかる税金のこと(収益×20.315%)で、つみたてnisaなら非課税になる税金のことを表しています。
つみたてnisaのメリットでもある長期間投資できることで、複利計算により収益が上がることが期待できます。
ジュニアnisaとは
ジュニアnisaとは、年間80万円までの投資信託等で得た収益を5年間、非課税にできる投資制度のことです。2023年までの制度で、0~19歳までの未成年が対象ですが、実際の運用は親権者がするケースがほとんどです。贈与税の基礎控除が年間110万円までなので、その範囲内で贈与ができることでも人気です。
ジュニアnisaのメリットやデメリット
ジュニアnisaのメリット・デメリットはこちらです。
メリット |
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デメリット |
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ジュニアnisaは子供が名義なので、親から子供へお金が動くことになります。そのため、子供への贈与を考えている親や祖父母には向いている制度です。贈与税や収益による課税もありません。最大で400万円(80万円×5年間)投資が可能です。
一方デメリットは、金融機関の変更ができないことや、子供が18歳になるまでは引き出しができないことなど、制限があることが挙げられます。
ジュニアnisaの運用例
では、ジュニアnisaで運用した場合のシミュレーションを見てみましょう。
「月額40,000円を5年間積立した場合」
積立金額 | 最終金額 | 差額 | 通常発生する 課税金額 |
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年率3% | 2,400,000円 | 2,585,869円 | 185,869円 | 37,759円 |
年率5% | 2,400,000円 | 2,720,243円 | 320,243円 | 65,057円 |
年率7% | 2,400,000円 | 2,863,716円 | 463,716円 | 94,203円 |
利息は、毎月再投資した場合の複利で計算しています。「通常発生する課税金額」とは、他の投資方法の場合にかかる税金のこと(収益×20.315%)で、つみたてnisaなら非課税になる税金のことを表しています。
年率によって違いはありますが、比較的堅実な商品の目安の3%でも、収益が上がることがわかります。
学資保険、つみたてnisa、ジュニアnisaの比較表
学資保険、つみたてnisa、ジュニアnisaのそれぞれの特徴を比較するとこのようになります。
学資保険 | つみたてnisa | ジュニアnisa | |
収益性 | 低 | 中 | 高 |
安全性 | 高 | 中 | 低 |
お金の引き出し | 途中解約すれば可能 (元本割れの可能性が高い) |
可能 | 2023年までは不可 (解約した場合は譲渡益課税がかかる) |
譲渡益課税 (収益にかかる税金) |
50万円超の場合のみ課税 | 非課税 | 非課税 |
子供の教育資金を準備する方法は1つではないので、併用することもおすすめです。
学資保険、つみたてnisa、ジュニアnisaの選び方
それぞれの特徴を理解したところで、次は、どんな人がどの商品に向いているのかをお伝えしていきます。ご自身の考えと照らし合わせながら、お読みください。
学資保険はなるべくリスクを避けたい人におすすめ
学資保険は安定性があるため、収益を得ることよりも着実に貯蓄をしたい方におすすめです。また、親の万一に備えることもできるので、なによりもリスクを避けたい方におすすめの方法です。加入時に、子供が何歳のときにいくら受け取れるかが明確になるので、将来設計がたてやすいのもポイントです。
ただしマイナス金利の影響により、満期時まで継続した場合でも返戻率はそれほど高くないのが現状です。「増やす」ではなく「貯める」を目的にしている人におすすめです。
つみたてnisaは多少のリスクを許せる人におすすめ
つみたてnisaは、投資の中でも初心者向けのため、比較的リスクの少ない投資方法です。ただし、投資である限り、100%元本割れしないということはありません。そのため、多少のリスクがあっても精神的に負担にならない人におすすめです。
学資保険と違って、「いつ、いくら受け取れる」かは決まっていません。お金を引き出すタイミングは自由ですが、運用実績によっては、お金を引き出すときに元本割れをしている可能性もあるのです。
ただし、つみたてnisaの投資は少額から可能で、長期の運用に向いている商品に限定されているため、毎月一定額を長期間積み立てていくことができ「多少のリスクはあっても戻りの多さを期待したい」という人に向いています。
ジュニアnisaは貯金にゆとりがある人におすすめ
ジュニアnisaは貯金にゆとりのある人におすすめです。なぜなら、子供が18歳になるまでお金の引き出しができないからです。そのため生活資金ではなく余裕資金で運用をする必要があります。そして、非課税期間が5年と短いため、短期間で収益を挙げないとなりません。その結果、ある程度の投資額も必要になってきます。積極的に増やすことを目的とした人に向いています。
また制度上、親や祖父母から子供へのお金の流れが明確になるため、子供へ資産を贈与したい人にも適した商品です。
学資保険、つみたてnisa、ジュニアnisaは併用も得策
学資保険、つみたてnisa、ジュニアnisa、それぞれの特徴を知ったところで、どれにしようか迷ってしまう方もいるかもしれません。そのような方におすすめしたいのが併用です。例えば、もし月に3万円を教育資金に充てることができる場合、学資保険に月15,000円、つみたてnisaに15,000円、と併用して教育資金を準備することで、安定性と収益性の両方を手に入れることができます。
他にも、賞与がでた月にまとまったお金をジュニアnisaに投資し学資保険と併用する、という方法で併用している方も多くいます。教育資金の形成に併用がおすすめな理由を見ていきましょう。
学資保険のみでは教育資金の準備は不十分
すでに学資保険に加入し「教育資金の準備はしているから大丈夫」と思っている人も多いでしょう。しかし、学資保険だけでは教育資金の準備には不十分なケースが多いのです。学資保険の受取金額の平均は200~300万円前後です。それに対し、大学生活でかかる教育費は400万円前後です。私立の高校に通っていた場合はさらに300万円前後必要になります。
以前と比べても、特に大学にかかる教育資金は上昇を続けていますので、教育資金を作るためにはインフレリスクに備えなければなりません。それに適しているのが、学資保険と投資の併用です。学資保険は最低限の教育資金を確保するために準備し、つみたてnisaやジュニアnisaで足りない部分を補っていくようなイメージで教育資金を作ることができると安心です。
学資保険、つみたてnisa、ジュニアnisaを併用するポイント
学資保険とnisaは、併用するのが有効的ということがわかりました。ここでは、併用する際に気をつけるポイントをご紹介していきます。
学資保険をメインに教育資金を貯める
併用するポイントの1つ目は、安定性と収益性のバランスを考えることです。お金を貯める目的が子供の教育資金なので、まずは土台となる貯蓄は必ず作るべきです。そこで活用するのは学資保険です。収益性こそ低いものの、加入時に受取額が決まっているのがなによりの安心材料です。
余裕資金があれば、そこに収益性をプラスすると、不測の事態に対応できます。学資保険をメインに貯蓄をし、つみたてnisaやジュニアnisaで増やすことを目的にすると、効率よく教育資金を作ることができます。
nisaの運用が順調なら早期に利益確定する
nisaは投資なので、その都度運用実績が変わります。毎日、動きをチェックするのは大変ですが、時間があるときには運用実績をチェックしてみましょう。つみたてnisaは10年以上の長期に渡り運用することで収益が増えやすい仕組みになっていますが、もし短期間でも運用が順調なら、その時点で売却し、利益確定することも、大事なポイントです。その場合は全てではなく、一部を売却することをおすすめします。
ジュニアnisaは非課税期間が5年間と短いので、つみたてnisaより細かく運用実績を確認する必要がでてきます。
つみたてnisaの株式100%型とバランス型の選び方
つみたてnisaを始める際に、金融機関と共に検討する項目に、どの商品を買うかということがあります。つみたてnisaでは「スイッチング」と呼ばれる商品の入れ替えはできません。もし、違う商品に変えたい場合は、一旦最初の商品の積立を止めて、次の商品に新たに投資しなくてはなりません。今まで積立してきた金額を新しい商品に投資することはできないのです。そのため、慎重に商品を選ぶ必要があります。
金融商品には、投資対象が株式のみのタイプと株式や債券、不動産などにバランスよく投資するタイプがあります。この2つのどちらが良いかは、一概に言い切れません。長期的に見るとやはり株式は資産価値が上がりやすいとも言えますが、情勢によりいつどうなるかはわからないため、他の投資先でリスクを分散する方法も1つの方法だからです。
ただ、どちらを選ぶにしても全世界を対象にした商品をおすすめします。日本だけ、アメリカだけ、と限定すると、その国でなにか起きたときに大幅に元本割れしてしまう可能性があるからです。初心者の方が金融商品を選ぶ際は、リスクを細分化できる商品を選ぶのがおすすめです。
まとめ
本記事では学資保険やnisaなど、教育資金の貯め方について解説しました。
- つみたてnisaは年間40万円までの投資で得た収益を20年間非課税にできる制度
- ジュニアnisaは年間80万円までの投資で得た収益を5年間非課税にできる制度
- 確実に貯蓄ができる学資保険と、増やすことが目的のnisaを併用することがおすすめ
- 自分の家庭の教育資金の形成にどんな方法が合っているのかを確認するためには、専門家へ相談することが近道
- nisaでは金融商品選びが重要なので、投資初心者は専門家からアドバイスをもらうことがおすすめ
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