【FP監修】賃貸と持ち家はどちらがお得?プロが生涯コストをシミュレーション!
この記事では賃貸と持ち家を比較して、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
「周りには持ち家派が多いけど、自分は向いているのかな?」
「どちらの方がお得なのかな?」
という方にとって、検討の一助となるでしょう。
記事監修者
ファイナンシャルプランナー
綾目脩志
世間では持ち家派が80%、賃貸派は20%
全宅連と全宅保証が2024年に実施した「不動産に関する意識調査」によると、持ち家派が79.6%で全体の約8割を占めています。
持ち家派 | 賃貸派 |
---|---|
67.5% | 17.4% |
持ち家派と賃貸派の理由TOP3は、以下のとおりです。
持ち家派の理由 TOP3 | 賃貸派の理由 TOP3 |
---|---|
家賃を払い続けることが無駄に思えるから(56.8%) | 住宅ローンに縛られたくないから(45.3%) |
落ち着きたいから(37.4%) | 税金や維持管理費にコストがかかるから(34.3%) |
老後の住まいが心配だから(35.3%) | 不動産を所有しない身軽さが良いから (29.4%) |
このように世間では、家賃を払い続けることが無駄と考える方が多いため、持ち家が人気だと分かります。
賃貸と持ち家にはそれぞれメリット・デメリットが存在するため、周りに流されることなく、自分のライフプランに合う方を選択しましょう。
賃貸のメリット
賃貸のメリットは以下の3つです。
- 気軽に引越しができる
- 修繕する必要がない
- 税金や保険料が不要
それぞれ解説します。
気軽に引越しができる
賃貸の最大のメリットは、気軽に引越しができる点です。
なぜなら、あなたのライフプランに合わせて、簡単に家を変えることができるからです。
例えば「転職先の近くに住みたい」や「子供が一人暮らしを始めるから狭い家に住みたい」と考えたときに、すぐに引っ越すことができます。
このように賃貸の場合は、あなたやご家族の状況に合わせて簡単に住み替えできるため、ライフプランが定まっていない方におすすめです。
修繕する必要がない
賃貸は大家さんの所有物であるため、あなたが修繕をする必要がありません。
もし備え付けのエアコンが壊れたり、屋根が破損したりしても、重大な過失がなければ、大家さんに修繕費を負担してもらえます。
- 屋根や外壁の修繕費:50〜300万円
- 水回り設備の場合:100〜200万円
がおおよその相場のため、これらを負担する必要がないのは賃貸の大きなメリットと言えるでしょう。
税金や保険料が不要
賃貸に住む場合は不動産を購入するわけではないため、固定資産税や都市計画税、火災保険料、地震保険料を払う必要がありません。
固定資産税は、不動産を所有している人に課税される税金で、年に8〜15万円ほど納める必要があります。
また都市計画税は、都市計画法で定められた区域にある不動産を所有している人に課税される税金で、年間3〜5万円ほどが相場です。
そして火災保険と地震保険はセットで加入する人がほとんどで、年に1〜2万円ほど支払います。
賃貸ではこれらの税金や保険料を納める必要が一切ないため、メリットと言えるでしょう。
賃貸のデメリット
賃貸のデメリットは以下の3つです。
- 資産にならない
- 自由にリフォームできない
- 老後は賃貸を借りにくい場合がある
それぞれ解説します。
資産にならない
賃貸物件は大家さんの所有物のため、いくら家賃を支払っても物件は自分の資産になりません。
例えば、毎月15万円の家賃を払って賃貸物件に住むと仮定すると、1年間で180万円を支払います。
この生活を5年間続けると、合計900万円を支払います。
そのため家賃を払い続けることを無駄に思う方にとって、資産にならない点はデメリットでしょう。
自由にリフォームできない
賃貸の設備は大家さん次第のため、自由にリフォームできません。
もし
「子供が大きくなったら1人部屋を作ってあげたい」
と考えても、あとから間取りは変更できません。
持ち家と比べて自由度が低く、自分好みの家にできない点は、賃貸ならではのデメリットです。
老後は賃貸を借りにくい場合がある
老後になると、新たな賃貸契約を断られてしまう場合があります。
なぜなら退職後の高齢者は、収入が年金だけになるため、家賃支払い能力に不安を感じる大家さんが多いからです。
さらに独身の高齢者の場合は、孤独死によって物件の価値が下がるリスクが高いとみなされて、大家さんから敬遠されがちです。
このように老後は賃貸を借りにくい場合があるため、一生賃貸に住みたいと考えている方にとってはデメリットでしょう。
持ち家のメリット
持ち家のメリットは、以下の3つです。
- 自分の資産になる
- 自由にリフォームができる
- 住宅ローン完済後は支出が減る
それぞれ解説します。
自分の資産になる
持ち家の最大のメリットは、自分の資産になることです。
例えば、将来的にお金が必要になったときに売却したり、融資を受ける際の担保にしたりできます。
さらに、住宅ローンが残っている状態でも、住宅ローン残債を上回る金額で売れたり、賃貸として貸し出すことで収益源になったりすることもあります。
一方で賃貸物件は大家さんの所有物のため、いくら家賃を支払っても物件は自分の資産になりません。
そのため家賃を払い続けることを無駄に思う方にとって、持ち家が資産になることは大きなメリットと言えます。
自由にリフォームができる
リフォームが自由にできる点も、持ち家の魅力でしょう。
なぜなら、物件の購入後にライフスタイルが変化しても、場所を変えることなく理想に近い家に住めるからです。
例えば
「今は子供が小さいけど、大きくなったら1人部屋を与えたい」
という場合は、1部屋を2つに区切れる間取りに設計するなど、家庭状況に合った家にできます。
このように、賃貸と比べて自由度が圧倒的に高く、自分好みの家にできる点は、持ち家ならではのメリットです。
住宅ローン完済後は支出が減る
持ち家の場合、住宅ローンを完済してしまえば、その後の住居費の負担をかなり減らすことができます。
仮に30歳で35年ローンを組んで持ち家を購入した場合、65歳には住宅ローンの返済が完了するため、定年後の住居費の負担を大幅に抑えることができます。
退職して収入が減る時期に住宅ローンの完済時期を合わせれば、固定資産税や火災保険料の支払いだけで家に住めるため、老後資産を取り崩さなくて済むでしょう。
持ち家のデメリット
持ち家のデメリットは以下の3つです。
- 簡単に引っ越しができない
- 固定資産税や火災保険料が発生する
- 修繕費が発生する
それぞれ解説します。
簡単に引っ越しができない
持ち家の最大のデメリットは、簡単に引っ越しができないことです。
なぜならライフスタイルが変化しても、同じ家に住み続ける必要があるからです。
例えば転勤で地方に異動になっても、気軽に引っ越しはできないため、夫は単身赴任をして家族は家に残ることになります。
もちろん持ち家を売却することはできます。
しかし、売却する手続きに時間がかかったり、希望する売却価格に届かなかったりすることが多く、賃貸と比べると引っ越しのハードルはかなり高いです。
そのためライフスタイルが変化する可能性が高い方にとっては、大きなデメリットになるでしょう。
固定資産税や火災保険料が発生する
持ち家を維持するためには、以下の税金や保険料を支払い続ける必要があります。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 火災保険
- 地震保険
固定資産税は年に8〜15万円、都市計画税は3〜5万円を納めます。
そして火災保険と地震保険はセットで加入する人がほとんどで、年に1〜2万円を支払います。
また火災保険と地震保険に関しては、自然災害の増加に伴っては値上げが続いており、今後負担が増える可能性もあるでしょう。
このように、持ち家を維持するためには、税金や保険料を支払い続ける必要があります。
収入が安定していない人にとっては、大きなデメリットです。
修繕費が発生する
持ち家に一定期間住み続けると、設備のメンテナンスが必要になるため、修繕費が発生します。
修繕費のおおよその相場は以下のとおりです。
水回り設備 | 100~200万円 |
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外壁修理・塗装 | 50~300万円 |
屋根修理・塗装 | 50~200万円 |
シロアリ駆除 | 10~20万円 |
フローリング・畳張替え(1畳あたり) | 1~5万円 |
上記の表から分かるように、修繕費は決して安くはないため、計画的に貯金をしておく必要があります。
収入が安定していない人にとっては、大きなデメリットと言えるでしょう。
賃貸と持ち家の生涯コストをシミュレーション
賃貸と持ち家を比べると、持ち家の方が生涯コストを抑えられる傾向があります。
実際にどれくらい費用が異なるのか、以下の条件でしてみましょう。
- 職業:会社員
- 家族構成:30歳男性、妻、子ども1人
- 世帯年収:800万円
月15万円の賃貸マンションに50年住む場合
初期費用(賃料3ヵ月分) | 45万円 |
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賃料(50年分) | 9,000万円 |
契約更新料(2年ごとに1ヵ月分の賃料を払う) | 360万円 |
合計 | 9,405万円 |
5,000万円のマンションを購入する場合
初期費用(頭金+諸費用) | 800万円 |
---|---|
住宅ローン支払い(金利1.5%、支払期間35年) | 5,430万円 |
修繕費 | 750万円 |
税金(固定資産税+都市計画税) | 560万円 |
合計 | 7,540万円 |
このように、シミュレーションでは持ち家の方が賃貸よりも、約2,000万円ほど生涯コストが低いという結果になりました。
しかし、持ち家にはメリット・デメリットがあるため、全ての人が持ち家に向いているという訳ではありません。
賃貸と持ち家をしっかりと比較した上で、自分のライフスタイルに合う方を選択しましょう。
まとめ
ここまで賃貸と持ち家を比較してきましたが、どちらにもメリットとデメリットが存在します。
まず賃貸では、気軽に引越しができたり、修繕費や固定資産税が不要だったりしますが、どれほど家賃を払っても資産になりません。
一方持ち家の場合は資産になったり、改築やリフォームが自由にできたりしますが、気軽に他の土地に移動できません。
そのため賃貸に住むか持ち家に住むか悩んでいる方は、両方を比較した上で、自分のライフプランに合う方を選択しましょう。
しかし、自分のライフプランを完璧に整理しながら、自分だけで住居について考えるのは非常に困難です。
そのような際には、一度専門家と面談して、相談してみてはいかがでしょうか。
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まずは一度、ご相談されてみてはいかがでしょうか。