【FP監修】老後資金の貯め方3選|老後に必要になる資金も紹介
老後資金を貯めるには、現状から見直すことが大切です。
「老後2000万円問題」が話題になり、老後生活に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、老後に必要な資金と貯め方について紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
記事監修者
マネーペディア株式会社
大塚 匠
老後の生活資金は年金だけでは足りない!
老後、働かなくなり収入が年金のみになった場合、生活費はいくらあれば足りるのでしょうか。
総務省の2023年「家計調査年報」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出の平均は250,959円/月となっています。
支出に対し、可処分所得(収入)の平均は244,580円であり、不足分(赤字)6,379円が発生していることが分かっています。
総務省の統計はあくまで平均値であるため、全ての高齢者で夫婦のみの無職世帯に言えるわけではありません。
しかし、年金だけでは生活資金は足りなくなり、リタイア後も働いて生活資金を稼ぐか、貯金を切り崩して生活することになるかもしれません。
参考:家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支
生活資金以外にもお金が必要
子育てやマイホームの購入など、ライフステージによって準備する資金は異なります。
老後生活も同様で、生活資金以外に発生する出費に備えて、生活費とは別に資金の準備が必要です。
たとえば、以下に挙げる費用は生活費以外に必要になる可能性があります。
- 通院や入院、手術など病院に関わる費用
- 住居のリフォーム、修理費用
- 介護費用
- お葬式やお墓などを準備する費用
健全に日常生活を送れるうちはよいですが、万が一に備えるという意味でも老後資金を貯めておくことは大切です。
生活資金以外に発生する可能性のある資金のうち、病院代や介護代は、各種保険に加入することでも賄えます。
ただし、現状の収支を見直してから、自分に合う方法で老後生活の備えを検討するのをおすすめします。
老後資金の貯め方3選
老後資金を貯める方法を3つ紹介します。
- 現在の生活費を見直す
- 貯金方法を見直す
- 資産運用を始める
まずは、現在の生活費から収支を見直し、貯金や資産運用できるお金を準備することが大切です。
具体的に何を見直したらよいか、資産運用にはどのような方法があるのか紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
老後資金の貯め方1|現在の生活費を見直す
老後資金を貯めるために節約をして、心身を壊してしまっては意味がありません。
老後の生活資金を準備するために現在の収支を把握し、生活費で不要な出費があれば定期的に見直すようにしましょう。
- 住宅や車
- 通信費
- 保険
主に、以上の3つの生活費の見直せるポイントを紹介します。
1-1.住宅や車
住宅ローンや車のローンを支払っている方は、現在の生活費に占めるローン返済の割合を把握することをおすすめします。
ご存じの通り、ローンは利息が発生しているため、先に返済してしまったほうがお得とも言えます。
しかし、借り入れの状況やローンのタイプによっても異なるため一度専門家に相談してみるのもよいでしょう。
車は、税金やガソリン代、車検代、駐車場代などの維持費がかかります。
車の維持費も毎月把握するようにし、乗る頻度が少なくなったり維持費が膨らんできたりしたら車以外の移動手段を検討するのもおすすめします。
1-2.通信費
スマートフォンを大手キャリアで契約しているのであれば、格安SIMや格安スマホへの乗り換えも検討しましょう。
契約するプランや会社によって異なりますが、現在の通信費より安く済ませられる可能性があります。
店頭は混んでいて待ちたくないという方や、乗り換えのために行くのが面倒という方はスマートフォンから申し込みできる携帯・モバイル会社もあるため複数の会社を比較してみてください。
1-3.保険
見落としがちなのが、保険の見直しです。
保険は、自分自身のライフステージに合った必要保障額にすることが大切です。
生命保険やガン保険だけではなく、車の保険や火災保険なども定期的に見直すようにしましょう。
とくに、見直さずに契約したままの生命保険や、年齢や免許の色で保険料が変わる車の保険は、早めの見直しがおすすめです。
保険を見直し、不必要だと感じたら解約することにより、今まで保険料に充てていたお金を貯蓄に回すことも可能になります。
老後資金の貯め方2|貯金方法を見直す
貯金は手元に残ったお金を貯めるよりも、あらかじめ貯蓄用のお金をわけて貯める方が、貯金が習慣化され資金が溜まりやすくなります。
貯蓄用の口座をつくり、定期預金で貯金をする方法と、給与天引きできる財形貯蓄制度について紹介します。
定期預金と財形貯蓄制度のメリットとデメリットも併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
2-1.定期預金
定期預金は、はじめに預け入れ期間を決めて利用する預金のことで、普通預金と異なり満期日まで基本的には引き出しができません。
はじめに預け入れた時の金利が満期日まで適用される「固定金利定期預金」と、適用金利が一定期間ごとに変更になる「変動金利定期預金」があります。
定期預金のメリット・デメリットを紹介します。
定期預金のメリット | 定期預金のデメリット |
---|---|
・普通預金より金利が高い
・元本が保証されている ・預け入れる期間を目的に合わせて選べる ・安定している |
・投資よりはお金が増えにくい
・満期までお金は引き出せない ・長期間預けておけるわけではない(期間を決めて利用するため) |
投資に比べ高いリターンは望めませんが、ほぼリスクがないことから貯蓄方法としては堅実な方法といえます。
「いつでも引き出しできる状態だと使ってしまいそう」
という方におすすめの貯蓄方法です。
以下の記事は30代の平均貯蓄額を紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
2-2.財形貯蓄制度
財形貯蓄制度とは、給与からの天引き(賃金控除)で行う貯蓄ができる制度です。
財形貯蓄を始めるためには、勤務先で財形貯蓄制度が導入されていることが必要です。
事業主に雇用される方であれば利用でき、勤労者財産形成促進法上、雇用形態・就業形態による限定はありません。
財形貯蓄制度には
- 一般財形貯蓄
- 財形年金貯蓄
- 財形住宅貯蓄
の3種類があり、財形貯蓄制度のメリット・デメリットは以下の通りです。
財形貯蓄制度のメリット | 財形貯蓄制度のデメリット |
---|---|
・給与天引き
・税制の優遇がある(財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄) ・目的別に貯蓄できる ・住宅ローン融資が利用できる |
・目的別の貯蓄制度である
・運用益が期待できない ・お金の引き出しに時間がかかる ・自営業は対象外 ・転職や退職時に手続きが必要 |
参考:財形貯蓄制度
給与天引きであらかじめ蓄える分を差し引けるため、勤務先に財形貯蓄制度があれば利用したい貯蓄方法です。
老後資金の貯め方3|資産運用をはじめる
資産運用とは、自分の持っているお金を預貯金や投資に配分(運用)し、効率的に増やすことをいいます。
資産運用は基本的に「投資」となるので、元本割れを起こして損をする可能性もあります。
まずは、初心者でもはじめやすい非課税で資産を運用できるNISA(つみたてNISA)やiDecoを検討するのがおすすめです。
今回は、以下の資産運用方法を紹介します。
- NISA/つみたてNISA
- iDeco
- 投資信託
3-1.NISA/つみたてNISA
NISAとは「NISA口座」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した株式や投資信託などの金融商品から得られる利益に、税金がかからなくなる制度のことです。
NISAは、20歳以上が利用できる「一般NISA」「つみたてNISA」未成年が利用できる「ジュニアNISA」の3種類があります。
2024年以降にNISA制度が見直しされる予定ですので、2024年以降のNISA制度についてはこちらを参考にしてみてください。
関連サイト:金融庁 新しいNISA
3-2.iDeco
iDeCoとは、公的年金とは別に、給付を受けられる私的年金制度のひとつです。
加入は任意となっていて、自分で決めた額を積み立てて運用し、60歳以降に受け取れる年金のことです。
条件はあるものの、国民年金第1号被保険者である自営業の方から第3号被保険者である専業主婦/主夫の方も加入できます。
掛金を拠出する際や運用中は税金は非課税で、給付時も控除が受けられるため、税制面でも優遇されている制度です。
3-3.投資信託
投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品のことです。
運用の専門家が運用した成果が、投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品となっています。
投資信託のメリットは、以下の通りです。
- 投資の専門家が運用する
- 少額から投資ができる
- 分散投資によってリスクが低減する
とはいえ、銀行の預金と異なり投資信託は元本が保証されている金融商品ではないため、損をする可能性もあるので、慎重に検討しましょう。
まとめ|現状を見直してから老後資金を貯めよう
今回は、老後に必要になる資金と老後資金の貯め方を紹介しました。
焦って貯金を始めるのではなく、現状貯蓄に回せる資金はあるのか、見直せる出費がないか確認することが大切です。
また、ご自身の年齢や年収、家族構成などによって必要な老後資金は異なります。
老後資金のシミュレーションや、ライフステージに合った資金設計のために一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
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まずは一度、ご相談されてみてはいかがでしょうか。