【FP監修】住宅ローンの目安を年収別でシミュレーション|共働き世帯の注意点も
この記事では住宅ローンについて、年収別の目安から共働き世帯における注意点まで、プロがわかりやすく解説していきます。
「想定していた金額を超えないか心配…」
「自分の年収で妥当な住宅ローンはいくらなんだろう…」
という方は、ぜひ参考にしてください。
記事監修者
ファイナンシャルプランナー
綾目脩志
住宅購入にかかる費用の内訳
住宅を購入する際には、主に2つの費用がかかります。
- 頭金
- 住宅ローン
それぞれ解説します。
頭金
住宅購入における頭金とは、住宅購入価格の一部を自己資金で支払うことを指します。
具体的には、住宅ローンを組む前に支払う必要のある金額で、物件価格の10〜20%程度が一般的な目安です。
頭金を支払うことで、住宅ローンの借入額を抑えることができ、返済負担の軽減につながります。
また頭金が多ければ、住宅ローンの金利が低くなる場合があり、返済総額を減らすこともできるというメリットもあります。
ただし住宅資金に余裕がない場合は、頭金を抑えて住宅ローンの割合を増やす方が良いでしょう。
住宅ローン
住宅ローンとは、住宅を購入するために銀行や信用金庫、住宅金融公庫などの金融機関から融資を受けることです。
つまり、住宅を購入するための資金を借りることができる仕組みで、借りた資金は一定期間ごとに返済する必要があります。
住宅ローンは返済期間が長く、月々の返済額を抑えられるため、多くの人が住宅を購入する際に利用しています。
三井住友信託銀行によると、日本の約78.9%の世帯が住宅購入の際に住宅ローンを利用しているとのことです。
このように住宅ローンを利用することで、自己資金が少なくても住宅を購入できるため、
「一括では買うお金はないけど、マイホームが欲しい」
という方は住宅ローンを有効活用しましょう。
参考:三井住友信託銀行|住まいと資産形成に関する意識と実態調査
住宅ローンの目安は年収の5倍
住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローンの返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)は15〜20%がもっとも多く、年収の5倍程度で住宅ローンを組む人が多いです。
また住宅購入価格の目安は、年収の6〜7倍程度です。
具体的には年収300万円の場合、住宅購入価格の目安は1800万〜2100万円で、住宅ローンの目安は約1500万円になります。
ただし、「年収の5倍が住宅ローンの目安」というのはあくまで目安であり、必ずしも正しいとは限りません。
年収が低く、将来的にも収入が増えない見込みがある場合は、年収の5倍以下が適切な場合もあるため、注意してください。
参考:住宅金融支援機構|住宅ローン利用者の実態調査、フラット35利用者調査
住宅ローンの借入額を年収別でシミュレーション
住宅ローンの借入額と毎月の返済額、返済総額を年収別で表にまとめたため、参考にしてください。
条件は以下のとおりです。
- 借入額:年収の5倍
- 金利:固定金利1.5%
- 返済期間:35年ローン
年収 | 借入額 | 毎月の返済額 | 返済総額 |
---|---|---|---|
500万円 | 25,000,000円 | 約76,000円 | 約32,100,000円 |
600万円 | 30,000,000円 | 約91,000円 | 約38,500,000円 |
700万円 | 35,000,000円 | 約107,000円 | 約45,000,000円 |
800万円 | 40,000,000円 | 約122,000円 | 約51,400,000円 |
900万円 | 45,000,000円 | 約137,000円 | 約57,800,000円 |
1000万円 | 50,000,000円 | 約152,000円 | 約64,200,000円 |
ただし上記の金額はあくまで目安であり、実際に住宅ローンを借りる場合には、将来の収入や家計状況なども考える必要があります。
収入が減少した場合にも返済が可能な状況になっているか、失業や病気などに備えた資金があるかなど、慎重に計画を立てるようにしましょう。
共働き世帯で住宅ローンを組むときの注意点
近年は共働き世帯が増えており、
「借入額を増やして良い物件を購入したい!」
という理由から、夫婦で住宅ローン(ペアローン)を組むケースも増えています。
実際にリクルートの「2021年首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、住宅ローンを組んだ世帯の29.4%がペアローンでした。
しかし共働き世帯では、出産や育児などのライフイベントによって収入や支出が変化することで、住宅ローンの返済が大きな負担になってしまう場合があります。
例えば、出産後は育児休暇を取得する女性が多く、その間は世帯収入が減少することが考えられます。
また、保育園や幼稚園に入園する際には、子ども1人あたりの費用がかかるため、支出が増加するでしょう。
そのため共働き世帯で住宅ローンを組む場合は、事前に想定されるライフイベントに備えて資金を準備したり、余裕のある返済計画を立てたりすることが大切です。
参考:リクルート|2021年首都圏新築マンション契約者動向調査
適正な住宅ローンを組むための3つのポイント
適正な住宅ローンを組むためのポイントは、以下の3つです。
- 中古物件も検討する
- 返済可能額を計算する
- 若いうちにローンを組む
それぞれ解説します。
中古物件も検討する
住宅を購入する際には、新築物件だけでなく中古物件も検討するべきです。
なぜなら中古物件は新築物件に比べて価格が安く、住宅ローンの負担も軽くなるからです。
新築物件は建設費がかかりますが、中古物件は建設費がかからないため、同じ条件の物件であれば、新築物件よりも価格が安くなる傾向があります。
住宅金融支援機構の調査によると、新築マンションの所要資金は4528万円なのに対して、中古マンションは3026万円のため、新築物件の方が約1.5倍価格が高いです。
ただし中古物件には、建物の状態や老朽化、修繕費用の問題などのリスクも存在します。
そのため自分の予算、希望条件に合わせて、新築物件と中古物件をしっかりと比較検討して、最適な物件を見つけることが大切です。
毎月の返済額を計算する
適正な住宅ローンを組むためには、返済可能額を事前に計算するようにしましょう。
なぜなら住宅ローンの返済ができなくなってしまうと、滞納や遅延損害金が発生し、返済がますます困難になるからです。
毎月の返済額を計算するには、金融機関のウェブサイトにあるシミュレーターを使用するのがおすすめです。
年収や金利、他の借入金、返済方法などを入力すれば、借入可能額を計算できます。
ただし住宅ローンの返済には、修繕費、保険料、税金などさまざまな費用がかかることがあります。
また、将来の不測の事態に備えるためにも、返済可能額を少し余裕をもって設定すると良いでしょう。
若いうちにローンを組む
住宅ローンの負担を軽くしたいという方には、若いうちにローンを組むのがおすすめです。
なぜなら住宅ローンを若いうちに組むと、返済期間が長くなり、毎月の返済額を抑えることができるからです。
例えば20代で住宅ローンを組む場合は、30〜40年の返済期間が一般的ですが、40代では返済期間が25年になってしまう場合があります。
さらに若いうちにローンを組めば、収入の伸びも期待できるでしょう。
もし年収500万円のときに住宅ローンを組んだとして、その後年収1000万円になった場合、住宅ローンの負担は実質半分になります。
ただし若いうちに住宅ローンを組むと、結婚や子育て、引っ越しなど、ライフスタイルが変化する場合もあり、返済負担が増えることもあります。
そのため住宅ローンを若いうちに組みたい方は、事前に想定されるライフイベントに備えて資金を準備したり、余裕のある返済計画を立てたりしましょう。
まとめ 住宅ローンの目安はいくら?
住宅ローンとは、住宅を購入するための資金を借りることができる仕組みで、目安は年収の5倍程度と言われています。
具体的には、年収500万円の方は2500万円、年収1000万円の方は5000万円程度が住宅ローンの目安です。
ただし「年収の5倍が住宅ローンの目安」というのはあくまで目安であり、必ずしも正しいとは限りません。
また共働き世帯でペアローンを組む場合は、出産や育児によって収入が減ることで、住宅ローンの負担が大きくなる場合があります。
そのため適正な住宅ローンを組むために、中古物件も検討したり、返済可能額をしっかりと計算したりする必要があります。
しかし、自分1人でライフプランを立てて住宅ローンの計算もするのは難しい人も多いでしょう。
そのような際は、一度専門家と面談してみてはいかがでしょうか?
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