【FP監修】傷病手当金とは|申請方法や支給条件を解説!【もらわない方がいい?】

働けない時への備え2023.03.04 公開 | 2023/12/12 更新

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この記事では傷病手当金について、仕組みから申請方法までプロが分かりやすく解説していきます。
「病気で休業するから、傷病手当金について知りたい」
「傷病手当金はもらわない方がいいって本当かな…」
という方は、ぜひ参考にしてください。

傷病手当金とは?仕組みを解説

傷病手当金とは、労働者が病気やケガによって休業する場合に、その期間中に失う収入の一部を補填するための給付金です。

傷病手当金には2つのメリットがあります。

  1. 早期に治療や休養に専念できる
  2. 心理的な安心感が得られる

病気やケガを放置したままで働き続けると、症状が悪化して長期間の治療が必要になる可能性があります。

しかし傷病手当金を受け取りながら治療を受けることで、早期に健康状態を回復させることができます。

さらに病気やケガによって休業する期間中でも、一定の収入が得られるため、経済的・心理的な安心感も得られるでしょう。

ただし、受給期間中には所得が通常よりも減少するため、生活が苦しくなる可能性もあります。

そのため、労働者自身が健康管理に努め、病気やケガを予防することが大切と言えるでしょう。

参考:協会けんぽ|傷病手当金

傷病手当金の受給条件

協会けんぽによると、傷病手当金を受給するためには、以下の4つの条件を満たす必要があります。

  1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  2. 仕事に就くことができないこと
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  4. 休業した期間について給与の支払いがないこと

業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

業務外の事由による病気やケガ、精神疾患によって、入院または自宅療養しなければなりません。

ちなみに、通勤中や業務上での病気やケガで休業する場合は、「労働災害保険」の休業補償給付を受給できます。

仕事に就くことができないこと

それまで担当していた仕事に就けない状態の必要があります。

仕事に就けるかどうかは、自分ではなく、医師の意見や業務内容を踏まえて協会けんぽが判断します。

連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

それまで担当していた仕事を、3日以上連続で休む必要があります。

ただし、傷病手当金が支給されるのは仕事を休んでから4日目以降で、最初の3日間は支給されないため注意してください。

休業した期間について給与の支払いがないこと

傷病手当金は、休業期間中に失う給与の一部を補填する給付金のため、休業した期間に給与が支払われる場合は支給されません。

ただし、給与が支払われても傷病手当金よりも少ない場合は、その差額が支給されます。

そのため休業期間中に給与が支払われる勤務先でも、一度は傷病手当金の支給額を計算して、どちらが多いか比較すると良いでしょう。

傷病手当金の申請方法を紹介

傷病手当金を申請するには、以下の3つの手順を踏む必要があります。

  1. 勤務先に長期欠勤の相談をする
  2. 申請書類を取り寄せて記入する
  3. 申請書類を窓口に提出する

それぞれ解説します。

1.勤務先に長期欠勤の相談をする

医師から仕事に就けないと判断され、傷病手当金を受給したい際は、まず勤務先に長期欠勤の相談をしましょう。

なぜなら傷病手当金の申請には、休業期間中に給与支払いがないことについて勤務先からの証明が必要だからです。

具体的な相談内容としては、傷病手当金と有給休暇のどちらを使うのか、休業期間中に給与支払いがないか、などが挙げられます。

もし会社との交渉がうまくいかない場合や、法的な問題が生じた場合は、専門家であるファイナンシャルプランナーに相談すると良いでしょう。

2.申請書類を取り寄せて記入する

休業期間中に給与支払いがないことについて勤務先から証明を得た後に、「傷病手当金支給申請書」を取り寄せます。

傷病手当金支給申請書は、健康保険証に記載されている協会けんぽの支部に連絡をすれば取り寄せられます。

この申請書には、勤務先と担当医師の記入項目や、身元確認書類の添付欄があるため、全て忘れずに記入してください。

また傷病手当金の申請期限は、受給可能になった日の翌日から2年と決まっているため、なるべく早く記入しましょう。

3.申請書類を窓口に提出する

傷病手当金支給申請書の記入が完了した後は、所定の窓口に提出しましょう。

健康保険証に記載されている協会けんぽの支部に申請書を郵送、または窓口へ直接持参してください。

提出を完了した後に、協会けんぽによって申請書の審査が行われ、無事に通過すれば傷病手当金が支給されます。

ただし、申請書の審査から傷病手当金の受給まで、通常2週間〜3ヵ月ほどかかるため、注意してください。

参考:協会けんぽ|申請書の提出先

傷病手当金を会社が嫌がる原因と対処法

読者の方の中には、

「傷病手当金を申請したいけど会社が嫌がる…」

とお困りの方もいるでしょう。

会社が傷病手当金を支払うことを嫌がる原因としては、以下の3つが考えられます。

  1. 人員不足
  2. 仕事の継続性
  3. 傷病手当金を知らない

従業員が傷病手当金を受け取って休職すると、その期間中の業務を他の従業員がカバーしなければなりません。

また傷病手当金を利用すると、一定の収入が得られる安心感から、従業員が仕事に復帰するまでの期間が長引く可能性があります。

そして中小企業の中には、申請書類に証明したことがなかったり、そもそも傷病手当金を知らなかったりする企業も多いです。

もし上記のような原因で会社との交渉がうまくいかない場合は、ファイナンシャルプランナーに一度相談してみると良いでしょう。

ファイナンシャルプランナーは、労働法や社会保険法、傷病手当金などの専門知識を持っており、アドバイスや助言をもらうことができます。

ファイナンシャルプランナーの選び方を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

傷病手当金のよくある質問

傷病手当金に関してよくある質問は、以下の3つです。

  1. 傷病手当金をもらえないケースは?
  2. 傷病手当金は収入に含まれる?
  3. 傷病手当はもらわない方がいいって本当?

それぞれ解説します。

傷病手当金をもらえないケースは?

傷病手当金は会社員や公務員が加入する健康保険から支給される給付金のため、国民健康保険に加入している方は支給対象外です。

具体的には、自営業者や個人事業主は国民健康保険に加入するため、傷病手当金が給付されません。

そのため自営業者や個人事業主の方は、病気やケガによって休業しなければならないリスクに備えて、「就業不能保険」に加入することをおすすめします。

就業不能保険とは、労働者が病気やケガなどの理由で働けなくなった場合に、一定の給付金が支給される保険です。

補償内容は保険会社によって異なるため、就業不能保険に興味がある方はファイナンシャルプランナーに一度相談すると良いでしょう。

傷病手当金は収入に含まれる?

傷病手当金は、収入には含まれません。

なぜなら、傷病手当金は労働者が休業期間中に失う収入の一部を補填するための給付金で、給料とは性質が異なるからです。

つまり傷病手当金に所得税は課されないため、年末調整で申告をする必要もありません。

さらに傷病手当金を受給する場合は、医療費控除も高額で受けられる可能性が高いです。

医療費控除とは、医療費を支払った場合にその金額を所得控除することで、納税額を減らせる制度です。

医療費控除の金額は(医療費の合計額-保険金などの金額-10万円)で、通常は保険金などを差し引く必要がありますが、傷病手当金の場合は差し引く必要がありません。

このように傷病手当金は収入に含まれないだけでなく、医療費控除も高額で受けられるため、ぜひ有効活用してください。

参考:国税庁|医療費控除

傷病手当金はもらわない方がいいって本当?

傷病手当金はもらわない方がいいと聞くこともありますが、全くの誤解です。

なぜなら健康保険法等が改正されたことで、以前までデメリットだった傷病手当金の支給期間が改善されたからです。

具体的には、これまでの支給期間は「最長1年6ヶ月」でしたが、傷病手当金の支給開始日から「通算して1年6ヶ月」に変更されました。

この変更により、入退院を繰り返す病気や、再発の可能性がある病気でも、繰り越して傷病手当金を受給可能になりました。

このように傷病手当金は、早期に治療や休養に専念できたり、心理的な安心感が得られたりする制度のため、病気やケガで休業する方はぜひ活用してください。

参考:厚生労働省|令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます

まとめ 傷病手当金とは

傷病手当金とは、労働者が病気やケガによって休業する場合に、その期間中に失う収入の一部を補填するための給付金です。

傷病手当金を受給することで、早期に治療や休養に専念できたり、

経済的・心理的な安心感が得られたりするメリットがあります。

また傷病手当金を受給するには、休業期間中に給与の支払いがないことや、仕事に就くことができないことなどの条件を満たす必要があるため、注意してください。

ただし、会社から傷病手当金の申請書に証明をもらおうとすると、嫌がられる場合もあるでしょう。

なぜなら、従業員の休職期間中は人材不足になったり、そもそも傷病手当金を知らなかったりするからです。

そのため、会社との交渉がうまくいかない場合は、ファイナンシャルプランナーに相談すると良いでしょう。

ファイナンシャルプランナーは、労働法や社会保険法、傷病手当金などの専門知識を持っており、アドバイスや助言をもらえます。

会社との関係を悪化させることにならないように、ぜひ相談してみてください。

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