【FP監修】個人年金保険のメリット・デメリットを徹底解説!仕組み、種類、選び方も!
安心した老後生活を送るために必要なのが十分な貯蓄です。
公的年金の減額や受給時期の先延ばしが検討されている今、老後資金の必要性は無視できません。
そこで今回は個人年金保険のメリット・デメリットから、仕組み、種類、選び方まで徹底解説していきます。
記事監修者
マネーペディア株式会社
菅原 慎
個人年金保険とは
個人年金保険と言われれば、いまいちピンとこない人もいるでしょうが、民間保険会社等の保険商品である任意加入保険を指します。
個人年金保険は、基本的には老後資金の積立を目的とした保険商品です。
公的年金だけでは、老後の生活が心配だという人は少なくありません。
そんな中、その老後資金を貯蓄する手段として注目されているのがこの個人年金保険です。
それではその個人年金保険とはどんな保険なのかを、わかりやすく解説していきます。
国民年金との相違点
日本の年金制度を語る上で忘れてはならないのが、国民年金と厚生年金の2つです。
- 国民年金:日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人すべてが加入
- 厚生年金:会社員や公務員が加入(*国民年金に加えて加入)
これら2つは加入が義務付けられた国の制度であるため、総称して公的年金と呼ばれます。
つまり、個人年金保険と公的年金の最も大きな相違点は、加入が強制であるか任意であるかという点です。
日本の年金制度は国民年金と厚生年金がベースとなり、そこに個人年金保険等の任意保険による給付保障が上乗せ部分となって確立されていると考えればいいでしょう。
生命保険(終身保険)との相違点
「個人年金保険は生命保険(終身保険)とどう違うの?」こう思っている人は多いことでしょう。
個人年金保険は「貯蓄性を備えた生命保険」とも呼ばれるように、保障を確保できる点において違いはありません。
ですが、そもそも両者の商品目的は異なるため、保険の概要や特徴には下記の違いが見られます。
個人年金保険 | 生命保険 | |
商品目的 | 老後資金の貯蓄保障 | 死亡時や病気・怪我時の費用保障 |
保険金の受取方法 | 分割(年金方式) | 一括 |
保険金の受取時期 | 支給開始時期 | 死亡時や病気・怪我時 |
貯蓄性 | 高い | 低い |
また、これらに加えてもう1点、注目してほしいけ大きな違いがあります。
それは、死亡時の保障額の大きさです。
個人年金保険は老後資金を積み立てることが目的の保険商品になります。
そのため、払込期間中に被保険者が死亡した場合、受け取れるのはそれまでに支払った保険料相当額です。
加入した保険によっては、元本割れすることもあります。
しかし、生命保険は被保険者が死亡した時の死亡保険金受取を主な目的とした保険商品です。
そのため、払込期間中に被保険者が死亡した場合でも契約時の保障額を満額受け取れます。
支払った保険料よりも高額な保障を受けることができるというわけです。
個人年金保険と生命保険は商品目的が異なります。両者に同じ保障を求めることはできません。
個人年金保険、もしくは生命保険の加入時には、専門家の意見も取り入れて慎重に検討するようにしてください。
個人年金保険の種類
個人年金保険と一口に言っても、その種類は1つではありません。
まず、個人年金保険は下記の2つに分類されます。
- 定額個人年金保険
- 変額個人年金保険
個人年金保険は積立金と、その運用利息が受取金額になります。
予め契約時に決めた予定利率に基づき受取金額が確定されるのが定額個人年金保険です。
これに対して、複数種類の投資信託等から契約者が運用先を選択し、変動利率に基づき受取金額が確定されるのが変額個人年金保険になります。
そのため、どちらを選択するかで、得られるメリットは異なります。
メリット | デメリット | |
定額個人年金保険 | 将来受け取れる金額が確定されている | 予定利率が低い |
元本割れの心配がない | インフレリスクに弱い | |
変額個人年金保険 | 運用実績が良ければ受取金額が増える | 運用実績が悪ければ元本割れする心配がある |
将来のインフレリスクへの対応力がある | 個人年金保険料税制適格特約の対象外 |
安定した年金受取りを求めるか、運用益を期待して投資性のある年金受取を求めるかによって、選ぶ個人年金保険の種類は違ってくるというわけです。
そして、これら個人年金保険は受取方法に応じて、さらに下記のタイプに分類されます。
保険タイプ | 受取方法 |
有期年金 | 決めた一定期間内受け取りできるが、被保険者が死亡した場合、遺族が受け取りを引き継ぐことができない。 |
確定年金 | 決めた一定期間内受け取りでき、被保険者が死亡後は遺族が受け取りを引き継げる |
終身年金 | 被保険者が死亡するまで受け取りを維持できるが、死亡後は遺族が受け取りを引き継げない |
保証期間付有期年金 | 決めた一定期間内受け取りでき、保証期間中に被保険者が死亡した場合、遺族が受け取りを引き継げる |
保証期間付終身年金 | 保証期間中に被保険者が死亡した場合、遺族が受け取りを引き継げる |
夫婦年金 | 夫婦2人を被保険者とした保険で、夫婦どちらかが死亡しても、残された配偶者が受け取りを引き継げる |
以上のように個人年金保険は契約者の希望にそえるように、多くの選択肢が用意されています。
それぞれのメリット・デメリットを慎重に吟味した上で、希望に合った個人年金保険を選ぶようにしてください。
個人年金保険の仕組み
今紹介したように個人年金保険にはさまざまなタイプがあります。
しかし、個人年金保険の仕組みはどのタイプでも同じです。
契約で定められた振込期間が終了するまで保険料を支払い、年金の受取開始に伴い支払った保険料とその運用益に基づく年金が支払われます。
そのため、どの個人年金保険タイプでも、下記と同じ流れになります。
- 振込期間の開始
- 振込期間の終了
- 受取期間の開始
- 年金給付の終了
個人年金保険のタイプによって、下記のように年金給付の終了時期は異なりますが、それ以外は全く同じです。
- 被保険者の死亡
- 保証期間の終了(*被保険者死亡により遺族が受け取りを引き継ぎ)
個人年金保険に加入する理由
それでは次は個人年金保険に加入する理由について考えてみましょう。
個人年金保険への加入を検討する主な理由は下記の2つが挙げられます。
- 公的年金の不足分を補足するため
- 公的年金の受給開始までの生活資金を用意するため
それではこれら2つがなぜ個人年金保険に加入する理由になるのかを、順追って紐解いていきましょう。
公的年金の不足分を補足するため
個人年金保険に加入する人の最大の目的は、公的年金の不足分の補足でしょう。
厚生労働省が公表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況(2017年度版)」によると、公的年金の平均受給額は下記のとおり十分なものとはいえません。
- 厚生年金受給額:約147,000円/月
- 国民年金受給額:約65,000円/月
両方合わせても20万円ほどの年金しか支給されないのです。
こんな額では到底安心して老後を送ることはできません。
筆者がこう断言するのには、ちゃんとした理由があります。
公益財団法人 生命保険文化センターの調査によれば、老後に夫婦2人が最低限の生活を維持するために必要な生活資金は221,000円/月、ゆとりある生活を維持するには361,000円/月としています。
夫婦ともに厚生年金と国民年金が受給されるなら問題はありません。
しかし、それ以外のケースでは安定した老後生活を送れない夫婦が多くなるのは明らかです。
- 夫婦ともに国民年金と厚生年金の受給:約420,000円/月
- 夫婦ともに国民年金の受給:約130,000円/月
- 夫婦の一方が国民年金と厚生年金、もう一方が国民年金の受給:約270,000円/月
あなたが2・3に該当するならば、個人年金保険は将来の老後資金として重要な役割を担うことになるでしょう。
公的年金の受給開始までの生活資金を用意するため
2021年5月現在、公的年金の受給開始年齢は65歳です。
これに対して一般的な定年年齢が60歳ですから、受給開始までの5年間は退職金や貯蓄を生活資金に充てるしかありません。
また、受給開始年齢が70歳に引き上げられるという話も出ています。
将来的には10年間無収入状態が続く可能性もあるのです。
となれば、給付開始年齢を柔軟に設定できる個人年金保険の存在は無視できません。
個人年金保険を公的年金の受給開始までの生活資金充てることができるのは、十分な公的年金を受けられる夫婦にとっても大きなメリットです。
これだけでも、個人年金保険に加入する意味は十分あるでしょう。
個人年金保険の選び方
個人年金保険にはさまざまなタイプがありますが、選択時には下記の4つを選択ポイントとして検討するのが一般的です。
- 受取年金額
- 保険料
- 給付開始年齢
- 給付期間
個人年金保険契約を検討する場合は、これら4つの条件を総合的に判断して、加入する個人年金保険タイプや契約内容を決定することをおすすめします。
受取年金額
まず考えてほしいのが希望する受取年金額です。
公益財団法人 生命保険文化センターが2018年に発表した「生命保険に関する全国実態調査」によると、1世帯の個人年金保険の受取年金額の平均は1,025,000円です。
月額に直せば約85,000円の年金を受け取っていることになります。
しかし、先に紹介した個人年金保険に加入する理由を鑑みれば、希望する受取年金額は個人によって異なるのは明らかです。
- 公的年金の不足分を補足するため ⇒ 公的年金の不足額
- 公的年金の受給開始までの生活資金を用意するため ⇒ 受給開始までに必要な生活資金
そのため、個人年金保険契約を検討する人は誰もが、希望する受取年金額は明確にしているはずです。
ゆとりある老後資金にいくら足りないのか、公的年金受給開始までに生活資金としていくら必要なのかによって、希望する受取年金額は個人によって違ってきます。
まずは個人年金保険契約を検討する理由に基づき、希望する受取年金額を明確にしてみましょう。
保険料
希望する受取年金額が決まれば、次に決めなければならないのが保険料です。
その金額を受け取るために、いくらの保険料が必要になるかがポイントになります。保険料の支払い方法は一括払いもしくは分割払いがありますが、大半の人は分割払いを選ぶのが一般的です。
そこで分割払いを選択した際に、保険料の決め方としておすすめしたいのが下記の2つです。
- 年金建て:いくらの年金を何歳から何歳まで受け取りたいかで保険料を決める方法
- 保険料建て:いくらの保険料を何歳から何歳まで支払えるかで受取年金額を決める方法
希望する受取年金額が決まっていても、受け取るために必要な保険料が支払えなくては、希望する保険契約を締結できません。
まずは年金建てで保険料をシミュレーションしてください。
その上で支払えない場合は、保険料建てで受取年金額をシミュレーションする流れがおすすめでしょう。
給付開始年齢
個人年金保険の給付開始年齢は任意で設定可能です。
しかし、先程の公益財団法人 生命保険文化センターが2018年に発表した「生命保険に関する全国実態調査」によれば、60歳開始が最も多い数値を示しています。
給付開始年齢 | 割合(%) |
59歳以下 | 3.5 |
60歳 | 28.7 |
61歳~64歳 | 5.0 |
65歳 | 26.7 |
66歳~69歳 | 5.3 |
70歳以上 | 10.7 |
不明 | 25.4 |
*被保険者が世帯主の場合
次に多いのが公的年金の受給開始となる65歳ですから、個人年金保険の給付開始年齢は下記どちらを希望するかで決定する人が大半を占めているようです。
- 公的年金の不足分を補足したい
- 公的年金の受給開始までの生活資金を用意したい
この2つは適正な受給開始年齢を決める上で、大きなヒントになります。
上記条件に該当する人は参考にするといいでしょう。
給付期間
次は給付期間ですが、これも公益財団法人 生命保険文化センターが2018年に発表した「生命保険に関する全国実態調査」によれば、10年間に設定している人が大半です。
給付期間 | 割合(%) |
5年間 | 7.7 |
10年間 | 43.1 |
15年間 | 8.4 |
終身 | 17.5 |
その他 | 3.4 |
*被保険者が世帯主の場合
この結果と先程の給付開始年齢を考慮すれば、給付期間を下記いずれかに設定している人が大半を占めていることがうかがえます。
- 60歳から70歳までの10年間
- 65歳から75歳までの10年間
これは先に紹介した給付開始年齢を決定する理由も影響しているでしょうが、65歳から75歳までの10年間を選んだ人は、繰り下げ受給による年金額の増額を目論んでいる人もいるでしょう。
公的年金の受給開始年齢は65歳ですが、繰り上げて60歳の受給開始もできますし、繰り下げて66歳から70歳までの間に受給開始することもできます。
この際、繰り上げ受給では受取年金額は減額されますが、逆に繰り下げ受給では受給開始年齢に応じて受取年金額が増額されるのです。
定年退職後も再就職できた人や、公的年金に頼らなくても生活できる人は、繰り上げ受給で受取年金額の増額を狙うのもおすすめな方法ですね。
個人年金保険のメリット・デメリット
それでは引き続き個人年金保険のメリット・デメリットを紹介しましょう。
個人年金保険は加入するだけの高いメリットがある保険商品です。
しかし、押さえておくべきいくつものデメリットもある保険商品なのです。
契約時にはメリットだけでなく、デメリットもしっかり踏まえた上で加入することをおすすめします。
個人年金保険のメリット3選
個人年金保険の最大のメリットは加入理由となる公的年金の補足、もしくは公的年金受給開始までの生活資金に充当できる点です。
しかし、それ以外にも個人年金保険には下記3つのメリットが挙げられます。
- 個人年金保険料控除により節税効果が期待できる
- 老後資金を着実に備えられる
- 死亡給付金が受けられる
それではこれらメリットを順追って見ていくことにしましょう。
①個人年金保険料控除により節税効果が期待できる
個人年金保険は所得控除(所得税・住民税)が受けられる生命保険控除の対象です。
契約締結日によって受けられる控除額は異なりますが、下記のように所得控除の適用により節税効果が期待できます。
(新契約の所得税控除額)
年間の保険料支払額 | 控除額 |
20,000円以下 | 全額 |
20,000円超え~40,000円以下 | 保険料支払額×1/2+10,000円 |
40,000円超え~80,000円以下 | 保険料支払額×1/4+20,000円 |
80,000円超え | 一律40,000円 |
合計控除額の限度額 | 120,000円 |
(新契約の住民税控除額)
年間の保険料支払額 | 控除額 |
12,000円以下 | 全額 |
12,000円超え~32,000円以下 | 保険料支払額×1/2+6,000円 |
32,000円超え~56,000円以下 | 保険料支払額×1/4+14,000円 |
56,000円超え | 一律28,000円 |
合計控除額の限度額 | 70,000円 |
(旧契約の所得税控除額)
年間の保険料支払額 | 控除額 |
25,000円以下 | 全額 |
25,000円超え~50,000円以下 | 保険料支払額×1/2+12,500円 |
50,000円超え~100,000円以下 | 保険料支払額×1/4+25,000円 |
100,000円超え | 一律50,000円 |
合計控除額の限度額 | 100,000円 |
(旧契約の住民税控除額)
年間の保険料支払額 | 控除額 |
15,000円以下 | 全額 |
15,000円超え~40,000円以下 | 保険料支払額×1/2+7,500円 |
40,000円超え~70,000円以下 | 保険料支払額×1/4+17,500円 |
70,000円超え | 一律35,000円 |
合計控除額の限度額 | 70,000円 |
原則、個人年金保険は一般生命保険料控除に区分されます。
しかし、一般生命保険料控除には80%を超える加入率を誇る生命保険(終身保険)が区分されるため、これだけで控除の限度額がいっぱいになり、個人年金保険としての控除が受けられない世帯が大半です。
ですが、個人年金保険は「個人年金保険料税制適格特約」を付加することで、個人年金保険控除に区分され単独で控除を受けることができます。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(2016年度版)」によれば、個人年金保険料に当てられている1世帯当たりの平均年間支払額は約20万円です。
よって、個人年金保険料税制適格特約を付加すれば、一般生命保険料控除に加えてさらに下記の所得控除が受けられます。
- 新契約:68,000円
- 旧契約:85,000円
これは個人年金保険だけに認められた控除方法です。
生命保険(終身保険)と個人年金保険の双方に加入している人は、個人年金保険料税制適格特約付加による節税対策をおすすめします。
②老後資金を着実に備えられる
公的年金だけで安定した老後を送れる人もいますが、実際のところ公的年金だけでは不十分だという人が多いのが実情です。
そのため、安定した老後を送るためには、老後に向けて不足分を貯蓄しておく必要があります。
ですが、わかっていても老後資金の貯蓄は後回しにされがちです。
そうなると気づいた時には目前に老後が迫り、十分な貯蓄ができていなかったことになってしまいます。
その点、保険料支払いが口座振替やクレジットカード払いの個人年金保険に加入しておけば、着実に老後資金を貯蓄することが可能です。また解約返戻金が少ないため、途中解約は確実に損となります。
そのため、途中解約をためらう人も多いでしょう。
つまり、個人年金保険控除は毎月、余剰金を貯蓄に回すよりも計画的に貯蓄ができる上、解約ハードルが高いため継続しやすい保険商品というわけです。これなら、積み立てが苦手な人でも、着実に老後資金を貯蓄することができるでしょう。
③死亡給付金が受けられる
個人年金保険は年金給付を目的とした保険商品ですが、給付開始年齢以前に被保険者が死亡した場合は支払総額に応じて死亡給付金が受けられます。
しかし、受け取れる死亡給付金の算出方法はいくつかあり、契約内容によっては支払総額を下回る場合もあるので注意が必要です。
被保険者が払込期間中に死亡しないとは限りません。
個人年金保険申込の選定時には、いくらの死亡給付金が受けられるかも選択肢の1つに加えるようにしてください。
個人年金保険のデメリット5選
次はメリットよりも気になるデメリットですが、主なものとしては下記の5つが挙げられます。
- インフレリスクがある
- 途中解約により損をする
- 変額型では返戻率が下回るリスクがある
- 年金に税金が課税されるおそれがある
- 保険会社の破綻により損する可能性がある
個人年金保険のデメリット数はメリット数よりも格段多くなります。
加入した場合どのようなリスクを被る可能性があるのかをしっかり理解しておきましょう。
①インフレリスクがある
先に紹介しましたが定額個人年金保険を選んだ場合、インフレリスクを被る可能性があります。
インフレによって物価が上昇し、今まで1万円で購入できた商品が2万円になったとしましょう。
この場合、貨幣価値が下がった状況にあるのですが、定額個人年金保険は固定金利のため受取年金額は変わりません。
ですが、貨幣価値は以前の半分になっているため、実際は老後資金の半分しか得ていないことになるのです。
先ほどと同じ条件で、加入時に月額10万円給付を求めて保険契約したとしましょう。
この場合、受け取る金額が同じ10万円でも、その金銭価値は5万円にしか値しないというわけです。
これではせっかく老後資金にと個人年金保険に入っていても十分な効果は得られませんよね。
定額個人年金保険はインフレ率が上まれば、希望していた受取年金額とならない可能性が出てきます。
この点はよく理解しておきましょう。
②途中解約により損をする
個人年金保険は中途解約した場合、元本割れとなる可能性が高い保険商品です。
個人年金保険を中途解約した場合の解約返戻金は、保険商品の中でも低い部類に入るため、中途解約により損をする可能性が高くなります。
保険商品によって解約返戻金の支払割合を決定する返戻率が設定されていますが、個人年金保険の返戻率は決して高くありません。
特に短期解約ではその傾向が顕著に見られます。
支払総額が100万円で、返戻率が80%としましょう。
この場合の解約返戻金は80万円です。しかし、個人年金保険は長期契約を前提とした保険商品のため、契約期間が短期の中途解約となれば50%を切ることも珍しくありません。
解約返戻金が50万円を切る可能性は高いでしょう。
個人年金保険の返戻率は加入期間によって異なります。
中途解約を検討する時はまず契約している保険会社に、返戻率を問い合わせるようにしてください。
③変額型では返戻率が下回るリスクがある
変額個人年金保険は運用実績に応じて、受取年金額が変動する商品です。
そのため、運用実績が良ければ受取年金額が増えますが、悪ければ元本割れする可能性があります。
そして、この変額個人年金保険で注意してほしいのは、この解約返戻金にも運用実績が影響する上、最低保証がないものが大半を占める点です。
運用実績が悪い時期に中途解約すれば、通常よりも返戻率は確実に下回ります。
変額個人年金保険の中途解約は、定額個人年金保険よりも慎重な対応が必要です。
どうしてもという場合は仕方ありませんが、時間が許すなら返戻率が高い状態で中途解約するようにしてください。
④年金に税金が課税されるおそれがある
知らない人も多いでしょうが、個人年金保険の受取年金は課税対象です。
しかも、契約者と受取人の関係性によって、下記のように課税される税金が異なります。
- 契約者と受取人が同一 ⇒ 所得税(雑所得)
- 契約者と受取人が異なる ⇒ 贈与税
ここで注意してほしいのは所得税と贈与税の税率です。
贈与税率は所得税率を大きく上回ります。
無駄に税金を支払わないためにも、よほどの事情がない限り契約者と受取人は同じにすることをおすすめします。
⑤保険会社の破綻により損する可能性がある
「契約先の保険会社が破綻すると契約や保障はどうなるの?」こう心配する人はいるでしょう。
これは個人年金保険に限らず、全ての保険商品の契約者に降りかかる問題です。
しかし、心配はいりません。
保険会社が破綻しても、生命保険契約者保護機構によって、一定の契約者保護が図られます。
保険契約の継続も可能ですし、途中解約して解約返戻金を受けることも可能です。
ですが、契約への影響がまったくないわけではありません。
全く同じ契約条件が適用されることはまれでしょう。
下記のような影響が出るため、保険会社が破綻すれば損する可能性は否定できません。
- 貯蓄性が高く契約期間の長い個人年金保険は受取年金額の減少幅が大きくなる
- 支払期間が長いほど受取年金額の減少幅が大きくなる
- 予定利率が高い契約ほど受取年金額の減少幅が大きくなる
こんなリスクを避けるためにも、契約する保険会社は破綻の可能性が低く、信頼性の高い大手保険会社を選ぶようにしてください。
個人年金保険のメリット・デメリットから読み解く必要性
今紹介した個人年金保険のメリット・デメリットを見れば、個人年金保険への加入が向いている人が自ずと絞られます。
下記2つのメリット・デメリットを読み解けば、個人年金の加入に向いている人は簡単に特定できるでしょう。
- 老後資金を着実に備えられる
- 途中解約により損をする
それではこの2つのメリット・デメリットから、個人年金保険が向いている人を紐解いていきましょう。
個人年金保険が向いている人
断言します。個人年金保険への加入が向いているのは、積み立てが苦手な人です。
老後年金は他の貯蓄方法でも積み立てられますが、いざ積み立てを始めたとしても貯めたお金を途中で使ったり、途中解約してしまう人は少なくないでしょう。
しかし、個人年金保険は毎月確実に決めた金額が貯蓄に回されますし、途中で貯めたお金を使うことはできません。
また、途中解約しようにも返戻率が低いため、解約返戻金は確実に元本割れしてしまいます。
そのため、積み立てが苦手な人でも途中解約しにくく、最後まで保険料を積み立てられる貯蓄方法なのです。
下記のような積み立てベタな人には、まさにおすすめの老後資金貯蓄法と言えるでしょう。
- 積み立てているお金を途中で使ったことがある
- 積み立てを計画しても長続きしない
個人年金保険のデメリットは分散貯蓄で解消
そんな人におすすめしたいのが他の金融商品と組み合わせた分散貯蓄です。
分散貯蓄に適している金融商品一覧
当サイトが分散貯蓄におすすめしたい金融商品は下記の2つです。
- 短期定期預金
- 個人向け国債
1年から2年ほどの定期預金なら、満期のたびに預け直しすればその時点の金利が適用されます。
そのため、その時点の景気が反映された金利適用となるので、インフレリスクをもろにくらうことがありません。
また、個人向け国債の変動10年は、半年ごとに適用金利が見直されるインフレリスクに強い金融商品です。
しかも、定期預金よりも金利が高いので貯蓄性の面でもおすすめです。
まとめ
しかし、今回の情報だけで個人年金保険のすべてを理解してもらえたとは思っていません。
個人年金保険のメリット・デメリットで不明な点や心配な点も出てくることでしょう。
そんな時は自分で判断せず、専門家の知識に頼ることをおすすめします。
後で後悔する加入とならないためにも、早急に保険のプロに相談するようにしてください。
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