【FP監修】学資保険とは?必要性からメリット・デメリットまでわかりやすく解説

学資保険2022.03.16 公開 | 2022/03/16 更新

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学資保険とは、子どもの教育資金を貯めながら、万が一に備えられる保険です。本記事では、学資保険とは何かをテーマに、学資保険の特徴やメリット・デメリット、代表的な学資保険を紹介します。また、学資保険が必要な理由や、学資保険を使うときの注意点についても解説します。

学資保険とは?

学資保険とは、子供の教育資金を計画的に準備できる貯蓄型の保険です。毎月決まった金額の保険料を支払うことで、契約者(親権者など)に万が一のことがあっても、教育資金の確保ができます。保険料を支払うことで、万が一のリスクに対する補償を持ちながら、教育費の助けとなる将来の祝金や満期保険金を受け取れるのです。

以下で、学資保険の特徴やメリット・デメリットを、わかりやすく解説します。

 

学資保険の特徴とは

学資保険は生命保険の種類の1つです。そのため、保険ならではの特徴があります。主な特徴は、次の3点です。

  1. 万が一があっても教育資金を準備できる
  2. 受け取るタイミングを決められる
  3. 生命保険料控除を受けられる

1つずつ、解説していきます。

 

万が一があっても教育資金を準備できる

学資保険は、契約者(親権者など)に万が一のことが起きても、教育資金を準備できます。なぜなら、契約者が死亡したり、高度障害になったりしたときに、保険料の支払いが免除されるからです。免除になっても、祝金や満期保険金をきちんと受け取れるので、心配はありません。予測できない不幸が起きても、教育資金を安定的に貯められるのが、学資保険なのです。

 

受け取るタイミングを決められる

学資保険は、祝金・満期保険金を受け取る年齢や、保険料を支払う期間を決めることができます。大学入学時に一括で受け取ったり、幼稚園から大学までの入学や卒業の節目に合わせて祝金をもらったりできます。また、支払い期間も10年間や18年間のように選べるのです。学資保険は、ご家庭の状況に合わせて柔軟に子供の成長に合わせた資金の準備ができる保険です。

 

所得控除を受けられる

生命保険の1つである学資保険は、生命保険料控除の対象になっています。控除とは、課税される金額から、一定の金額を差し引くことです。控除をすることで、支払う税金を少なくすることができます。

学資保険のために支払った保険料の額によって、その年の所得から一定金額が差し引かれ、所得税・住民税の負担を少なくできます。控除を上手く活用することで、家計への負担をやわらげながら教育資金を貯められるのです

 

学資保険のメリットとは

学資保険のメリットの1つは、無理なくコツコツ備えていけることです。保険料の支払い期間や支払い回数を、あらかじめ決めることができます。支払い期間が長い方が、毎月の支払いの負担を減らすことができるでしょう。支払い回数も、まとめて払いたい場合は、年払いや半年払いなどを選べます。自分の無理のないペースで、長い期間を活かして教育資金を準備できるのが、学資保険です。

学資保険のもう1つのメリットは、ただ銀行で貯金するよりもお金が増えるということです。現在の低金利下では、銀行預金の利率が低く、利息を期待できません。一方で学資保険で支払った保険料は、保険会社によって運用されるので、お金が増える可能性があります。支払った保険料に対して、いくらの金額が受け取れるのかを表す指標を返戻率と言います。返戻率を高めることができるのも、学資保険のメリットです。

 

学資保険のデメリットとは

学資保険は、支払った保険料を自由に引き出すことができません。急に現金が必要になった場合は、解約をすることはできます。ただし解約すると、支払った保険料よりも少ない金額しか、返って来ない恐れがあります。必要なときに、すぐに現金に換えられないのが、学資保険のデメリットの1つです。つまり、家計の状況を考慮しながら、すぐに使える現金としての銀行預金と、効率的に教育資金を準備していく手段としての学資保険の割合をしっかりと決める必要があります。

他にも、学資保険にはインフレに弱いというデメリットがあります。学資保険は長い場合では、子供が0歳から大学卒業まで加入する保険です。その間に物価上昇していても、将来的に受け取れる金額は変わりません。そのため、インフレが起きている場合は、受け取れるお金の価値が落ちている恐れがあるのです。

一方で、低金利で利率の低い銀行預金で預けるのも、インフレに弱いのは同じです。学資保険は、保険会社による運用が期待できるので、貯蓄に比べるとメリットが大きいです。
また、一部の保険会社では株価と返戻金が連動するタイプの学資保険も存在するため、そのような商品は非常にインフレに強いと言えるでしょう。

 

学資保険の保障内容は?

学資保険の、主な保障内容には、次のようなものがあります。

  • 満期保険金・満期祝金

契約の満期時に受け取れる保険金で、子供の成長に合わせて受け取るタイミングを選べます。

  • 入学祝い金

幼稚園から大学まで、進学ごとにもらえる保険金で、子供の成長に合わせて金額が増えるものもあります。

次に、学資保険に付けられる特約を紹介します。保険会社によって、内容は異なります。

  • 保険料免除

契約者が亡くなったときや高度障害になったときに、保険料支払いが免除される特約です。免除になっても、保障内容に変更はありません。

  • 死亡保障

契約者が死亡したときに、死亡給付金を受け取れる特約です。

  • 医療保障

ケガや病気をしたときに、入院費や手術費、治療費を保障してくれる特約です。

特約は、付加すると保険料が上がるので、必要なものを選ぶようにしてください

 

学資保険はなぜ必要なの?

学資保険の必要性は、常に議論されているテーマです。確かに、学資保険がないと子供の教育資金を準備できない、というわけではありません。しかし子供の教育資金は、とても高額です。学資保険は、子供の将来を予測して計画的に準備するのに活躍します

ここでは、子供の教育費の相場を紹介し、学資保険の必要性を解説していきます。

 

子供の教育費の相場は?

子供の教育費と言っても、様々なものがあります。学校で必要な道具や給食費、学校以外の塾や習い事など、全てを考慮すると予測が立ちません。ただ、学校にかかる金額であれば、目安を出すことができます。国公立と私立では費用が異なるので、それぞれの教育費を紹介します。

 

国公立に必要な教育費の目安

まず、国公立の場合から見ていきます。なお、以下で紹介する数字は文部科学省による、平成30年度の「子供の学習費調査」を元にしています。

幼稚園から高校まで全て国公立に通った場合は、15年間で約540万円の資金が必要になります。内訳は、幼稚園で約65万円、小学校で約192万円、中学高では約146万円、高校では約137万円です。

さらに現在は、大学進学率が50%以上で、大学までの資金を想定する必要があります。平成30年の独立行政法人日本学生支援機構の「学生生活調査」によると、国立大学の4年間の費用は約600万円で、公立だと約570万円です。幼稚園から大学までにかかる資金の目安は、約1,100万円となります

 

私立に必要な教育費の目安

次に、私立の場合を解説します。国公立と同じように、幼稚園から高校までは平成30年度の文部科学省による「子供の学費調査」を参考にします。また、大学は独立行政法人日本学生支援機構の平成30年度「学生生活調査」を元に紹介します。

幼稚園から高校まで私立に通うとすると、15年間の総額は約1,830万円になります。国公立の場合より約3.39倍、多い計算です。内訳は幼稚園で約158万円、小学校は約960万円、中学校が約421万円、高校で約290万円です。

さらに大学4年間の総額は約800万円で、幼稚園から大学までを合計すると2,630万円にのぼります

全ての資金を自力で準備するとなると、不安になる金額だと言えます。

 

①学資保険とは教育費を準備するための保険

学資保険の最大の目的は、子供の教育費を準備することです。毎月一定額の保険料を支払うことで、子供が入学・卒業をするタイミングに合った、祝金や満期保険金を受け取れます。

教育費は、国公立・私立関係なく、とても高額になります。個人の力だけで、簡単に備えられるような額ではありません。教育費が増えていけば、家計の負担も重くなるはずです。

学資保険は長い時間をかけてお金を蓄え、満期時に支払った保険料よりも多くのお金が返ってくる可能性のある保険です。計画的に、無理なく子供の教育費を準備するのに適した商品と言えます。

 

②学資保険とは足りない教育費を補うための保険

学資保険は、教育費の足りない部分を補填するのにも適しています。教育費を準備する方法には、様々なものがあります。もちろん、自分で預金をして蓄えることもできます。

また、奨学金や国・地方自治体の教育ローンを活用することもできます。しかし、自分で蓄えられる金額には限度がありますし、借金にもできれば頼りたくないはずです。そもそも、教育費が予想以上に多くなることもあるのです。

そのような教育費の不足を補うのに役立つのが、学資保険です。教育費が必要になったタイミングで祝金や満期保険金を受け取ることで、経済的な余裕を持てます。貯金だけでは不安な方や、借金に頼りたくない方にとって、心強い保険なのです。

 

③学資保険とは子供を守るための保険

学資保険は、子供の人生と生活を守る役割も果たしてくれます。学資保険には、いろいろな特約を付与することができるのです。具体的には、保険料免除や医療保障、死亡保障などがあります。

もし子供の親が亡くなってしまったら、子供の教育費どころか、生活もままならなくなります。学資保険の特約は、契約者である親が亡くなってしまった場合に、保険料を免除しながら、満額の保障をしてくれるのです。さらに親の死亡に対し、死亡保険金を受け取れるものもあります。

他にも、子供自身がケガや病気をしてしまったときに、入院費や治療費を保険でまかなうこともできます。学資保険は、子供の人生や生活が困らないようにするための保障で充実しているのです。

 

④学資保険とは貯蓄性も期待できる保険

学資保険を活用することで、計画的に資金を蓄えることができます。学資保険は、毎月一定の保険料を支払い、教育資金を積み立てていきます。その上、固定金利で利率は変わりません。将来的にいくら準備できるのかを、把握しやすくなっています。

保険は、支払いが止まって効力を失ったり、途中解約で損したりする恐れがあります。貯蓄が苦手な方にとって、強制力を持って教育資金を準備できるのは魅力です。さらに返戻率が高いものだと、支払った金額よりも多くのお金が受け取れます

学資保険よりも、高い利率の商品もありますが、そのような商品は損するリスクもあります。学資保険は、預金よりも増える可能性があり、他の商品よりも安定していると言えるのです。

 

⑤学資保険は控除による節税効果も期待できる保険

生命保険料控除の対象になるため、節税効果が期待できます。学資保険のために支払った保険料は、「一般保険料控除」が適用されて、支払った金額に応じて所得から差し引くことができます

課税対象になる所得額を減らせるので、所得税・住民税の支払い額を少なくできるのです。控除できる額は、所得税で最大4万円、住民税は最大2.8万円となっています。

受け取った祝金や満期保険金は一時所得の対象になり、税金を払わなければなりません。しかし、学資保険は、保険料を払っているため、一時所得税を払う必要がなくなる可能性があります

仮に、貯蓄で教育資金を準備したなら、節税効果は見込めません。学資保険だからこそ、節税できるのです。

 

代表的な学資保険とは

これまで、学資保険の特徴やメリット・デメリット、学資保険のを必要性について解説してきました。ここでは、学資保険の特徴を踏まえて、具体的な学資保険の商品を紹介していきます。ぜひ、学資保険を選ぶ際の参考にしてみてください。

 

日本郵政グループ・ゆうちょの学資保険

日本郵政グループ・ゆうちょにも、学資保険があります。グループ会社の1つである、かんぽ生命の「はじめのかんぽ」です。かんぽ生命は、ゆうちょ銀行と1つになっているので、近くの郵便局で手続きや相談ができて便利です。

学資金の受け取り方は3パターンから選べます。大学入学時にもらえるコースと、小中高大、それぞれの入学直前にもらえるコース、大学在学中の4年間に、毎年もらえるコースです。受け取れる総額に違いはありません。子供の教育プランにあった受け取り時期を、柔軟に決められます。

また、保障期間中は、常に入院給付金と保険料免除があるので、安心感のある保険です。郵便局に足を運んだ際に、確認してみてください。

 

②フコク生命の学資保険

フコク生命の学資保険「みらいのつばさ」は、保険金の受け取り時期と、払込期間を柔軟に選べます。保険金の受け取り方法は、「ステップ型」と「ジャンプ型」の2種類です。「ステップ型」は入園や入学など、子供の節目に合わせて、保険金を受け取れます。「ジャンプ型」は、大学入学時や卒業時に合わせて、保険金を受け取れるようになっています。

また保険料の支払い期間は、子供の年齢が11歳、14歳、17歳までの3種類から選べます。より短い期間の方が返戻率が高まりやすく、長ければ月々の支払いを抑えられます。

「みらいのつばさ」には、兄弟割りという、2人目の子供から保険料が割引になるユニークな特典があります。

 

③ソニー生命の学資保険

ソニー生命の学資保険は、年払い、半年払い、月払いと、家計に合わせた保険料の支払いができるのが特徴です

そして、支払い回数が少なければ少ないほど、返戻率が高くなっていき、受け取れる学資金が多くなっていきます。払い込み期間の長さも選べるので、家計に合った払い方を、組み合わせてみてください。

学資金の受け取り方は、かんぽ生命の「はじめのかんぽ」と似たような形で、3種類から選べます。家計と相談しつつ、柔軟に払い方と受け取り方を選べるのが魅力です。

 

学資保険を使うときの注意点とは

学資保険の特徴や魅力をお伝えしてきました。しかし、子供の教育費のために、学資保険を有利に活用するには注意点があります。以下で紹介する注意点を意識することで、お得に教育費を準備できるようになります。学資保険の活用に、お役立てください。

 

学資保険とは加入時期に注意が必要な保険

学資保険の加入時期は、早ければ早いほど良いです。理由は、2つあります。1つ目は、早い方が保険料の払込期間を長く設定でき、1度に支払う保険料を抑えられるからです。家計への負担を軽減しながら、教育費を準備できます。

2つ目は、加入時期が遅れれば遅れるほど、契約者の年齢が上がり保険料が高くなるためです。学資保険には親の死亡や障害に備えるための保障も含まれています。そのようなリスクは、加齢とともに増していくので保険料も高くなるのです。

以上から、学資保険はなるべく早めに加入することをおすすめします。

 

学資保険とは返戻率の利率もポイントになる保険

学資保険において、必ず把握しておかなければならないのが、返戻率です。改めて返戻率とは、支払う保険料に対して、将来受け取れる金額がいくらかを表した数字です。返戻率は100%を超えていれば、支払った保険料よりも、受け取った学資金の方が多いことになります。

返戻率を高くするには、支払い期間を短くすることと、支払い回数を少なくする必要があります。例えば18年間かけて支払うより、10年間の方が返戻率は高くなります。また、毎月払うよりも、半年払いや年払いの方が高い返戻率を見込めます。

同じような金額を支払っても、返戻率が高い方がお得なので、必ず考慮してみてください。

 

学資保険とは途中解約にも注意したい保険

学資保険を途中解約すると、解約返戻金を受け取ることができます。解約返戻金とは、保険を解約したときに、支払った保険料に対する返済金のことです。そして解約返戻金は、払い込んだ保険料よりも少ない場合がほとんどです

学資保険は、長期間におよぶ保険なので、いつ何が起こるかわかりません。どうしても解約が必要なときは、仕方がありません。つまり、必要に応じてファイナンシャルプランナーのアドバイスを受けて家計を的確に把握しながら、できるだけ続けられるような無理のないプランにするのがおすすめです。

 

学資保険とは払い込み保険料にも注意すべき保険

学資保険の保険料は、無理のない範囲で払い続けられる金額にするのが、おすすめです。払い込みが滞ってしまうと、学資保険の効力を失ってしまいます。さらに先ほどお伝えしたように、途中解約して損をしてしまう恐れもあります。

家計に負担にならなず、続けられる金額を設定してみてください。

 

まとめ

学資保険についてもっと知りたいと感じていただけたなら、専門家に話を聞いてみるのもおすすめです。具体的なプラン設計や無理のない支払い方法を一緒に検討してもらえます。

以下で、本記事の概要をまとめています。スムーズな理解に、お役立てください。

  • 学資保険とは、子供の教育資金を計画的に備えられる保険。
  • 学資保険の役割は、子供の教育資金を蓄えながら、不測の事態から子供の人生と生活を守ること。
  • 特徴は、「万が一の備えがあること」、「受け取るタイミングを決められること」、「所得控除ができること」。
  • メリットは、強制的に貯蓄ができて、資金が増える可能性があること。
  • デメリットは、引き出すことができず、インフレに弱いこと。
  • 代表的な学資保険には、かんぽ生命の学資保険「はじめのかんぽ」、フコク生命の「みらいのつばさ」、ソニー生命の学資保険がある。
  • 学資保険で意識すべき注意点には、加入時期、返戻率、途中解約、保険料などがある。

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