【FP監修】学資保険 VS 終身保険!教育資金の準備はどっちがおすすめ?違いや外貨建て保険も紹介
教育資金を貯める方法で定番なのが学資保険。
でも「終身保険や外貨建て保険も気になる」という方も多いのではないでしょうか?
そこで、この記事では、学資保険と終身保険の違いを基準に、他の貯蓄方法もご紹介していきます。
この記事を読んで効率的な貯蓄方法を見つけてください。
記事監修者
マネーペディア株式会社
白村 明弘
学資保険と終身保険の違い
学資保険に加入しようと思い知り合いや保険会社に相談したら、終身保険を勧められたことがある方も多いでしょう。
終身保険は基本的には死亡保障ですが、使い方によっては貯蓄商品として利用できる一面があるためです。
まずは、学資保険と終身保険の違いを理解していきましょう。
学資保険
- 目的:子供の教育資金準備
- 加入可能年齢:子供は0~6歳、親は60歳以下が原則
- 受取時期:大学入学時を主に選択可能
- 契約者の死亡時:保険料の払い込みが免除
終身保険
- 目的:被保険者の死亡・高度障害保障
- 加入可能年齢:被保険者は80歳以下が主
- 受取時期:好きなタイミングで解約して返戻金を受け取れる
- 契約者の死亡時:死亡保険金が支払われる
尚、加入年齢に関しては保険会社により規定が異なるので、実際には各保険会社の規定を確認する必要があることをご了承ください。
両者は目的が全く違うので、内容も大きく異なります。
それなのになぜ比較されることが多いのでしょうか?それぞれの内容を深堀して確認していきましょう。
学資保険とは
学資保険とは、子供の教育資金を準備するための貯蓄タイプの保険です。
子供が何歳のときまでにいくら準備したいかを設定し、その設定額に基づき、払い込み金額や期間を決めていきます。
学資保険に加入している多くの方は、高校卒業時にまとまった金額を受け取るように設定しています。
これにより、一時的に大きくかかる教育費の負担を軽減することができます。
また、中学校や高校入学時に、お祝い金を受け取れるタイプもあります。
学資保険が他の貯蓄タイプの保険と違う、いちばんの特徴は「保険料払込免除」があるところです。
これは、契約者に万一のことがあったときは、保険料の払込は免除になるが満期保険金やお祝い金はもらえる、という内容の特約です。つまり、貯蓄型でありながら、親の万が一に備えることもできるのです。
契約者は特別の事情がない限り、父親か母親がほとんどです。
経済的に家計をささえている親に万が一のことがあったときでも、学資保険に加入していれば、子供の教育資金に余裕がもてるのです。
また、子供の医療保障や、親に万一のことがあった場合にそれ以降育英年金が受け取れる特約を付加できる学資保険もあります。
この特徴だけを見ても、学資保険は子供がいるご家庭には有効な保険です。
この他にも、返戻率の高さや、税制面でのメリットもあるため、学資保険は高い人気を誇っています。
学資保険のメリット/デメリット
次に、学資保険のメリット・デメリットを確認していきましょう。
学資保険のメリット
- 返戻率によっては、貯蓄よりもお金が貯まる
- 契約者に万一のことがあっても、払込は免除になり、補償は続く
- 子供の医療保障も同時に準備できる
- 生命保険控除が使えるので、税制面で得がある
- 貯蓄が苦手な方でもまとまったお金を貯められる
学資保険のデメリット
- 途中解約すると、元本割れする可能性がある
- 返戻率が100%以下の商品は、貯蓄の方がお金が貯まる
- 契約できる年齢が限られている
- 保険会社が万一破綻した場合、全額が補償されない場合がある
総合すると、早目に加入し途中解約をしない限りはメリットの方が上回っていると言えるでしょう。
学資保険をおすすめするケース
ここまでお伝えした特徴を踏まえて、学資保険をおすすめするケースは下記の場合です。
- 着実に子供の教育資金を貯めたいと考えている
- 自分に万一のことがあっても教育資金は確保してあげたいと思っている
- あらかじめ決められたタイミングで教育資金を受け取りたいと思っている
- お金を増やすことより貯めることを第一の目的に考えている
- 自分の死亡保障と子供の教育資金は別で用意したいと思っている
学資保険は、長期に渡りコツコツと貯蓄をしていくような保険です。
契約すれば自動的に貯蓄をせざるを得ない状況になるため、自分でお金を貯めるのが苦手な方にもおすすめです。
学資保険が不要なケース
反対に、学資保険が不要なケースはどのような場合でしょうか。
- すでに充分な教育資金が準備できている
- 投資などで積極的に資産を増やそうと考えている
現在の学資保険の返戻率は高くても110%を超える商品はほぼありません。
そのため、積極的にお金を増やして教育資金に充てたいと考えている方には不向きと言えるでしょう。
学資保険を選ぶ際のポイント
数ある学資保険の中から、どのようなことを基準に選んだら良いのでしょうか?ポイントは主に3点です。
- 返戻率
- 受取時期
- 特約の内容
1つ目の返戻率は学資保険を選ぶ際に最も重要視されている方が多いポイントです。
返戻率とは、支払う保険料に対していくら受け取れるのかをパーセントで表したものです。
例えば、返戻率105%の学資保険に100万円の保険料を支払った場合、受け取り金額は105万円ということになります。
返戻率の計算式は「満期保険金やお祝い金などの受け取る金額の合計 ÷ 支払う保険料の総額 × 100」で算出され、返戻率が大きい数字ほど受け取る金額も多くなります。返戻率は保険会社によって差があるので、できるだけ返戻率の高い学資保険を選びましょう。
ただし、学資保険にはその他にも返戻率を上げる方法があります。具体的なポイントは下記の3点です。
- 加入時期
- 払込期間
- 払込方法
学資保険は加入時期が早いほど返戻率が上がる仕組みになっています。「いつか」ではなく気になったときに即行動しましょう。
また、払込期間は保険会社により設定が異なりますが、「10年・15年・18歳まで」など複数から選べる保険会社が多いです。
その際、払込期間が短いほど返戻率が上がることを覚えておきましょう。
同様に払込方法も、月払いより年払い、年払いより一括払いの方が返戻率は高くなります。
2つ目の受取時期も保険会社によって設定は様々です。
共通しているのは、高校卒業時にまとまった金額が受け取れることです。
その他には、小・中・高校入学時にお祝い金がでるタイプや、大学入学時から1年後ごとに学資金が受け取れるタイプなどがあるので、希望に合う受取時期がある学資保険を選びましょう。
3つ目の特約の内容ですが、学資保険の特徴である「保険料払込免除特約」の内容はしっかり把握してから加入しましょう。
その他の特約の付加を希望する場合は、内容をしっかり把握し、希望に合う特約がある学資保険を選ぶことをおすすめします。
学資保険の選び方の詳細はこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
終身保険とは
終身保険とは、期間の定めがない死亡保障の保険です。
加入時に保険金の額を設定し、被保険者に万一のことがあったときは保険金が支払われます。
これを聞いて「死亡保障の保険なのになぜ学資保険の代わりになるのだろう?」と感じた方もいるのではないでしょうか。
終身保険が学資保険の代わりになる理由は、一定期間が過ぎると解約返戻金が払込保険料を上回ることにあります。
終身保険の加入時には、保険金・保険料・払込期間を設定しますが、払込期間が過ぎると解約返戻率が100%を超える商品が多いのです。
つまり、終身保険を学資保険代わりに使うには、教育資金を受け取りたい時期に解約することにより、お金を受け取るということになります。
そのため、教育資金を受け取りたい時期から逆算して払込期間を設定することをおすすめします。
特に後ほど説明する低解約返戻金型終身保険は学資保険の代わりにおすすめの商品です。
ただし、契約者に万一のことがあった場合は保険金が支払われて保険契約は消滅してしまいます。
そのため、学資保険のように必ず高校卒業時に受け取れる訳ではないことを忘れないようにしましょう。
低解約返戻金型終身保険の特徴
低解約返戻金型終身保険とは、通常の終身保険より保険料が安く設定されている代わりに、払込期間中の解約返戻金が低いタイプの終身保険です。
払込期間が終わると、解約返戻金が一気に上がるので、学資保険の代わりに終身保険を活用したい方にはおすすめの商品です。
終身保険のメリット/デメリット
次に、終身保険のメリット・デメリットを確認していきましょう。
終身保険のメリット
- 好きなタイミングでお金を受け取れる
- 一部解約を利用すれば、子供の教育資金だけでなく結婚資金などにも使える
- 加入する年齢の制限が少ない
- 親に万一のことがあったときにすぐにお金が受け取れる
- 契約者変更をすれば、そのまま子供にプレゼントできる
- 時間が経過するごとに解約返戻金が増える
終身保険のデメリット
- 教育資金が必要な時期の返戻率は低め
- 学資保険に比べて保険料が高い
学資保険と比べると、教育資金に限らず、家族にまとまったお金が必要になったときの備えとして使える場面が多いです。
終身保険をおすすめするケース
ここまでご紹介した特徴を踏まえた上で、終身保険をおすすめするケースは下記の場合です。
- お金を受け取る時期や金額を自由に選びたい
- 比較的お金に余裕があり、短期解約の心配がない
- 自分の万一のときの補償と貯蓄の両方を同時に準備したい
- 貯蓄するだけでなく、少しでもお金を増やしたい
- 自分の老後資金も貯めたい
終身保険は「今すぐにまとまったお金は必要ないけれど、しっかり貯蓄と補償は持っておきたい」方におすすめです。
教育資金の準備「だけ」には学資保険が適している
学資保険と終身保険、それぞれの特徴を確認してきましたが、結局、教育資金の準備にはどちらが適しているのでしょう。
それぞれの家庭の状況によりますが、「教育資金」という目的だけのためにはやはり学資保険が適していると言えます。
理由は主に2つあり、1つ目は他の用途に使う可能性が低いためです。
学資保険はまとまった教育資金が必要なタイミングで受け取れる設定になっています。
教育資金が必要でないときにまとまったお金を受け取ると、つい他の用途に使ってしまいがちですが、学資保険ならそのようなことを防げます。
2つ目は、親に万一のことがあった場合の対応です。
学資保険はすぐにお金は支払われませんが、その後の保険料の支払いはなくなり、教育資金は予定通り受け取れます。
一方、終身保険はすぐにお金を受け取れますが、そのお金を教育資金が必要なときまで持ち続けなければなりません。
一般的にはお葬式の費用などに使われることが多いため、教育資金のために持ち続けるのは難しいと言えます。
以上のことを考えると、教育資金の準備には学資保険が適しているのです。
必要となる教育資金の相場
ここで、必要となる教育資金の相場を確認しておきましょう。
下記は、文部科学省が調査した、子供1人の1年間の教育に関する経費(給食費や部活動費や学校行事など含む)を表したものです。
公立 | 私立 | |
幼稚園 | 223,467円 | 527,916円 |
小学校 | 321,281円 | 1,598,691円 |
中学校 | 488,397円 | 1,406,433円 |
高等学校 | 457,380円 | 969,911円 |
大学入学費 | 282,000円 | 261,089円 |
大学授業料 | 535,800円 | 864,384円 |
幼稚園から大学まで全て公立にした場合の教育資金の合計は約786万円、高校まで公立で大学のみ私立の場合は約915万円、全て私立の場合は約2200万円必要になるのです。
改めて確認すると、金額の大きさに驚くでしょう。
この金額を一度に準備するのは大変な負担です。そのため、教育資金の足しになるように学資保険や終身保険が必要になってくるのです。
学資保険と終身保険の返戻率を比較
この章では、学資保険の返戻率と終身保険の解約返戻率の比較を見ていきましょう。
学資保険の返戻率を計算シミュレーション
今回は、明治安田生命「つみたて学資」で返戻率を確認していきます。
「契約者30歳男性、子供年齢0歳、受取額300万円、月払い」の場合
- 10歳払込完了→105.7%
- 15歳払込完了→104.1%
18歳から年に1回の計4回(75万円×4回=300万円)学資金を受け取れるプランになります。
終身保険の返戻率を計算シミュレーション
終身保険は、オリックス生命「ライズ」で解約返戻率の確認をしていきます。
「契約者30歳男性、保険金額300万円、月払い」の場合
- 保険料払込期間10年で払込終了直後に解約した場合→97.5%
- 保険料払込期間15年で払込終了直後に解約した場合→100.5%
終身保険の場合、保険料の払込終了後から徐々に解約返戻金が上昇していきます。
そのため、上記の返戻率は年数の経過と共に上がるため、学資保険と全く同じ条件での比較ではないことをご了承ください。
外貨建て終身保険は学資保険の代用になる!
学資保険や終身保険の検討をしていたら、外貨建て終身保険を勧められたことはありませんか?
現在の日本は超低金利の時代にあるため、昨今、外貨建て保険が増えてきました。
では、外貨建て終身保険は学資保険の代わりになるのでしょうか?
答えは「はい」です。
理由をお話する前に、外貨建て終身保険の仕組みを理解していきましょう。
今回は最もメジャーなドルで説明していきます。
外貨建て終身保険のメリット
ドル建て終身保険とは、保険金の設定額をドルで設定している終身保険のことです。
例えば、日本円ですと「保険金3,000,000円」と設定しますが、ドル建て終身保険は「保険金32,000ドル」と設定します。
ただし、毎月支払う保険料は日本円が原則です。
そのため、ドル口座を持っていない方でも利用可能です。もちろん、ドルを保有していればドルでの払込も可能です。
受け取る時も同様に、日本円とドルの両方から選ぶことができます。
為替変動リスクについて
外貨と日本円の交換比率は為替レートで示されていますが、円高とは、外貨に対する円の価値が高くなることを意味します。
ドルと日本円のレートは1ドル100円で表されていますが、例えば1ドル90円など、比較時点より安くなることを「円高」と言い、1ドル120円など比較時より高くなることを「円安」と言います。
海外旅行に行くときに円をドルに換金することを思い出していただけると解りやすいのですが、旅行前1ドル90円で帰国時に1ドル120円だった場合、余ったドルを円に換金するときにお得感を感じませんか?
これと同じ現象が起きる可能性があるのが、外貨建ての終身保険なのです。
もちろん、逆の現象が起きる可能性もあるので、必ず得をするとは言い切れません。
しかし、受取時が円高だった場合に備えて、いろいろな対策は取られています。
受取時に円高だった場合は円安になるのを待つことも可能ですし、ドル用の口座を持っていればドルで受け取ることも可能です。
また、日本より金利が高いドルで運用することにより、返戻率も上がります。
このような外貨建て終身保険の仕組みを理解した上で、メリットを見ていきましょう。
- 高い解約返戻率が期待できる
- 好きなタイミングで受け取れる
メリットはやはり高い返戻率が期待できることです。
円安のときに解約をすれば、本来の解約返戻率にプラスしてレートによる差額も期待できるためです。
外貨建て終身保険は、解約時期を選べるためレートによるリスクを抑えることができます。
そのため、日本円の終身保険を検討している方には、外貨建て終身保険も学資保険の代わりになると言えるでしょう。
学資保険、終身保険以外の教育資金の準備方法
教育資金を貯める方法は学資保険や終身保険だけではありません。下記の表ではタイプ別のおすすめ方法をご紹介しています。
ぜひ、参考にしてみてください。
増えなくていいから、安定的にコツコツ貯めたい!
→預貯金・定期預貯金・財形貯蓄・自動積立定期など
保険料控除も活用してしっかり貯めたい!
→学資保険、外貨建て保険
積極的に増やして貯めたい!
→つみたてNISA
まとめ
今回は、学資保険と終身保険を比較しつつ、教育資金の貯め方について解説してきました。重要なポイントを再確認しておきましょう。
- 子供の成長に合わせて教育資金を受け取りたい方や、親の死亡保障と教育資金は別に準備しておきたい方は、学資保険がおすすめ
- 受取時期や金額を自由に選びたい方や、親の死亡保障と貯蓄を同時に準備したい方は、終身保険がおすすめ
- 金利が低い今、外貨建て商品を視野にいれてみるのも1つの手段
教育資金は、ライフイベントの中でも多額の費用がかかる項目です。
自分の家庭に合った貯蓄方法を見つけたいところですが、たくさんの種類からどれが最適な方法か見つけるのは難しいでしょう。
そのようなときは、一度保険のプロに相談してみてはいかがでしょうか。
現在は、お金を貯めるのは自助努力の時代です。
教育資金だけでなく老後の資金調達の方法など、役に立つアドバイスがもらえるはずです。
「まずは気軽に保険のことを相談してみたい!」という方にお勧めなのが、Moneypediaのオンライン保険相談サービスです。
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