【FP解説】専業主婦(主夫)に医療保険がいらない理由と必要な人の特徴3選を解説

医療保険2023.08.24 公開 | 2023/08/23 更新

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インターネット上には「専業主婦(主夫)に医療保険は不要」という意見が多く見受けられます。
しかし、専業主婦(主夫)でも原則医療保険は必要です。
ただし、十分な貯蓄がある場合や、その時の家族構成によっては不要な場合もあります。
そこで本記事では「専業主婦(主夫)に医療保険が本当にいらないのか」という疑問について徹底解説します。

専業主婦(主夫)に医療保険が不要と言われる2つの理由

医療保険が不要と言われる理由は以下の2点です。

  • 公的保険制度と高額療養費制度
  • 入院の短期化

医療保険がなぜ「いらない」と言われているのかを確認し、自分に不要なのか判断する目安にしてください。

1. 公的保険制度と高額療養費

日本では国民皆保険制度があるため、入院や手術をしても3割負担で済みます。

万が一入院と手術で治療費が100万円かかったとしても、保険適用されれば窓口では30万円の支払いでよいでしょう。

さらに高額療養費制度を利用することで、さらに医療費の負担をおさえ、貯蓄でカバーできると判断できます。

高額療養費制度とは、所得と年齢に応じた自己負担上限のみの支払いにできる制度です。

例えば、給与がおおよそ28〜50万円ある人は、100万円の治療費がかかったとき、以下のように最終的な自己負担額が約9万円となります。

  • 治療費:100万円
  • 3割負担:30万円(公的保険制度適用)
  • 自己負担:約9万円(高額療養費制度適用)

日本の公的保険制度や高額療養費制度によって、入院や手術をしても高額な医療費はかからないため、医療保険は不要だと言われています。

参考:公益財団法人生命保険文化センター「高額療養費制度について知りたい」

2. 入院の短期化

近年は入院自体が短期化されており、手術も日帰りでできるものが多くなりました。

年齢別 平均入院日数
15~34歳 12.2日
35~64歳 24.4日

例えば、がんの入院平均日数は18. 2日です。

うち15歳〜64歳の入院日数は約12日しか入院しません。

平成8年度の調査結果では、がんの入院平均日数は35. 8日でした。

約17日間も入院期間が短縮されており、入院でかかる費用が少なくなると考えられています。

医療技術が進めば、今後入院して治療することも少なくなる可能性があるでしょう。

よって、入院日数が少ない=医療費がかからないと考えられるため医療保険がいらないと言われています。

専業主婦(主夫)に対する医療保険の必要性

専業主婦(主夫)には

「医療保険がいる人もいるし、いらない人もいる」

が答えです。

なぜなら各家庭によって家族構成や貯蓄額が違うため、医療保険がいるかいらないかは全員同じ答えにならないからです。

病気やけがに対して、入院や手術にかかる費用を医療保険でカバーするのか、貯蓄で支払うのか、どちらの考えが自分にあっているか検討する必要があります。

入院や手術にかかる医療費をすべて貯蓄で補える人に医療保険は不要でしょう。

ただし、入院や手術でかかる治療費だけでなく、その他にもかかる出費まで備えられるか確認が必要です。

医療保険が必要な専業主婦(主夫)の特徴や、入院にかかる費用はこのあと詳しく解説します。

今は不要でも将来必要と感じることもあります。

健康状態が悪くなると、医療保険は特に加入しづらくなる傾向にあるため、今後のことを見据えて必要かどうか考えなければいけません。

医療保険が必要な専業主婦(主夫)の3つの特徴

医療保険が必要な専業主婦(主夫)の特徴を3つ紹介します。

  1. 貯蓄額に不安がある
  2. 特定の病気への不安がある
  3. 個室や少人数部屋の利用を希望している

該当するものがあれば、医療保険が必要である可能性が高いです。

詳しく解説していきましょう。

1. 貯蓄額に不安がある

もしも今入院することになったとき、医療費やその他出費に耐えられるだけの貯金がない場合は、医療保険に加入しておくことをおすすめします。

貯蓄がある場合でも、そのお金が入院や手術でかかったときに使ってもよいお金かどうかを確認しましょう。

  • 子どもの教育費
  • 住宅ローンの頭金
  • 車の購入費用

上記の例のように、今後必要になるお金を使わずに、医療費をカバーできるだけのお金を確保できているかチェックします。

必要な貯蓄額は個人ごとで異なり、家族構成などによっても変わります。

「医療費だけ備えられればいいのか」

「子どもが小さいうちは医療費以外の出費にも備えておかなければいけないのか」

現在の貯蓄額を確認し、自分にあった考え方で金額設定しましょう。

2. 特定の病気への不安がある

がんや女性特有の病気に対して不安がある人は、将来の備えとして保障があると安心です。

女性は特に「乳がん」や「子宮系の疾患」など、30代の若い年齢からでも罹患率が高まります。

親族に同系統の病気を患っている人がいる場合や、生活習慣により病気に罹患する不安がある場合は、医療保険で備えておきましょう。

3. 個室や少人数部屋の利用を希望している

入院するときに

「大部屋には入りたくない」「個室や少人数部屋がいい」

と考えている人は、差額ベッド代をカバーできるようにしておく必要があります。

保険適用外の差額ベッド代は、地域や病院によって料金が大きく変わります。

部屋人数 平均費用
全部屋平均 6,527円
1人部屋 8,221円
2人部屋 3,122円
3人部屋 2,851円
4人部屋 2,641円

参考:住友生命 入院にかかる費用「差額ベッド代」って何ですか?

大部屋でよいと思っている場合でも、入院日数によっては個室や少人数部屋にしたくなる可能性があります。

大部屋はカーテン1枚で仕切られただけの空間です。

  • 子どもがお見舞いにくると周りに気を使う
  • 周囲の生活音で気が休まらない
  • よく眠れない

上記のようなストレスがかかってきます。筆者も3か月入院して、他人の生活音が気になったり、気を使って生活したりするのが辛かった経験があります。

「もしかしたら個室や少人数部屋のほうが安心」と考えている人は、差額ベッド代だけ医療保険で備えるのも1つの方法です。

入院したときにかかる費用

入院でかかる費用は、治療費だけではありません。

ここからは医療費とそれ以外の出費にどのようなものがあり、いくらかかるのかを確認します。

「貯蓄で医療費をカバーできると思っていたけれど、それ以外にもかかる費用があることを知らずに出費が痛手だった」

と後悔することがないように、必ずチェックしておきましょう。

1.入院中の保険適用される費用

入院中における治療費のうち、保険適用される部分に関しては公的保険制度と高額療養費制度を利用します。

繰り返しになりますが、おおよその給与が28〜50万円の場合、治療費に100万円かかっても3割負担で30万円、高額療養費制度を使うと治療費の自己負担は約9万円になります。

また、配偶者の扶養に入っている場合、配偶者の所得に応じて自己負担割合が変わります。

例えば、夫の給与が月給51.5万円〜81万円未満の場合、治療費に100万円かかると最終的な自己負担は約17万円です。

配偶者が高所得であれば、専業主婦(主夫)でも自己負担額は増えます。

しかし、加入している健康保険組合によっては、さらに自己負担を軽くするための制度があります。

例えば、NTTの健康保険組合では、給与が28〜50万円あり、100万円の治療費がかかった場合、以下のように最終的な自己負担額は2.5万円になります。

  • 治療費:100万円
  • 3割負担:30万円(公的保険制度適用)
  • 高額療養費制度の自己負担:約9万円
  • 健康保険組合の制度を使った自己負担額:2.5万円(差額の約6.5万円は健康保険組合が負担)

上記のように、高額療養費制度よりも、さらに自己負担額が減らせる制度を付加給付と呼びます。

付加給付が適用される健康保険組合に加入しているかどうか、事前にチェックしておきましょう。

また、実際に高額な医療費がかかったときの手続き方法についても、手順や申請方法が載っているため、目を通しておくことをおすすめします。

2. 入院中にかかる保険適用外の費用

医療費は高額になりにくいと考えられますが、入院中には保険適用外でかかる費用もあります。

費用 金額の目安
差額ベッド代 約6,500円 / 日
食事代 460円✕3食=1,380円 / 日
生活にかかる雑費(例) ・飲み物:数百円/日

・テレビカード:1,000円/1枚

・コインランドリー代:500~1,000円/回

・家族の交通費:数百円~数万円

差額ベッド代はいわゆる個室代です。人数が少なくなればなるほど、金額は上がります。

雑費は大きく変動する金額で、個人差があるでしょう。

一人暮らしの人や、家族が遠方にいる人は、基本的に自分で身の回りのことをしなければいけないため、費用がかさみがちです。

お見舞いで遠方から家族が来る場合は、高額な交通費がかかる可能性もあるでしょう。

一つひとつの項目は高額ではありませんが、合算すると数万円程度の費用がかかるおそれがあります。

3. 医療費以外にかかる費用

専業主婦(主夫)が入院中や療養中で不在にしている間、家事や育児にかかる出費も想定されます。

例えば、家事代行サービスを利用した場合です。

  • 平均利用時間:3時間
  • 1回あたりの費用:約7,000~14,000円
  • 週に3回利用したとき:21,000~42,000円

一時保育などのスポット的に子どもを預けたいときは、預け先によりますが1日2,000~15,000円ほどかかります。

家事代行サービスや一時保育を使わなかったとしても、専業主婦(主夫)が不在の間、配偶者が仕事を休んだり早退や遅刻が多くなったりすれば、収入が下がる可能性もあるでしょう。

以上のことから、治療費以外にも専業主婦(主夫)が入院することで発生する出費があるとわかります。

専業主婦(主夫)の医療保険の加入率と平均保険料

専業主婦(主夫)が医療保険を必要としているのか、以下の参考データを紹介します。

  • 専業主婦(主夫)の保険加入率
  • 専業主婦(主夫)の平均保険料

「医療保険が自分に必要なのか」「どれくらいの保険料で考えればいいか目安が知りたい人」は、自分の医療保険を考える上で判断材料となるデータです。

しっかりチェックしておきましょう。

専業主婦(主夫)の保険加入率

生命保険文化センターが調査した令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、所得がない配偶者の生命保険加入率は79.5%です。

生命保険のなかでも終身保険(死亡保険)についで、医療保険の加入率が高く、加入率は6割を超えています。

入院やがんなどの病気に備えておきたいと考える人が多く「専業主婦(主夫)を理由に医療保険に加入しない」という人は少ないでしょう。

専業主婦(主夫)の平均保険料

生命保険文化センター令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、専業主婦(主夫)の平均保険料は以下のとおりです。

保険料 割合(%)
6万円未満 25.8%
6~12万円未満 27.8%
12〜18万円未満 21.8
18〜24万円未満 6.3

※あくまでも生命保険としての調査結果のため、医療保険に限定していません。

月々にすると5,000円未満~1.5万円の保険料で加入している人が多く、少額で保障している人もいれば、手厚く保障している人もいます。

自分にあった適切な保険料で加入できることがベストです。

専業主婦(主夫)の医療保険の選び方

医療保険が必要だとわかり、いざ検討したい場合は以下の手順で医療保険を探してみましょう。

入院日額を決める

入院日額は5,000〜10,000円で設定することが多く、保険料にも大きく影響する保障です。

どれだけの保障が必要かで日額を設定し、保険料とのバランスをみて調整するとよいでしょう。

必要な特約を選定する

その他にオプションとして特約を付加するか検討します。

がんの保障や通院保障などがあるため、不安に感じる病気などを上乗せして備えることが可能です。

いつまで保障が必要か確認する

多くの医療保険は一生涯保障の終身タイプです。

年齢が上がるほど病気のリスクが高まるため、老後にも備えられます。

貯蓄できる間や子どもが独立するまでの間などの、一定期間だけ保障が必要ならば定期タイプを選びましょう。

各保険会社の商品を比較する

ある程度どんな保険の形になるかイメージができたら、実際さまざまな保険を比較して自分にあった保険会社を決めます。

ただし、医療保険は種類が多くすべての商品を比較検討するのは現実的ではありません。

どうやって決めたらいいかわからない人はFPの無料相談を利用してみましょう。

あなたの考えにあった医療保険を見つける手助けをしてくれるでしょう。

まとめ:専業主婦(主夫)に医療保険は原則必要

結論、専業主婦(主夫)でも医療保険は原則必要です

ただし、貯蓄額や家族構成によっては必要ありません。

入院したときにかかる費用には以下のようなものがあります。

保険適用の医療費 治療したときにかかる治療費
保険適用外の費用 差額ベッド代や食事代など、治療以外でかかるお金
医療費以外の出費 専業主婦(主夫)が入院したことで、家族にかかる出費

高額療養費制度があるため、高額な治療費がかかることはあまりありませんが、その他にもかかる費用があることを知っておきましょう。

医療保険が必要と判断される専業主婦(主夫)の方は、1社だけでなく複数社の商品を比較することをおすすめします。

商品それぞれに特徴や保険料の差があるためです。

ただし複数の商品を自分一人で調べるのは、手間と時間がかかります。

そこで無料で相談できるFPを頼ってみましょう。

家族構成や考え方にあった商品の提案や、FP目線でのアドバイスもできます。

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