【FP監修】遺族年金の仕組みをわかりやすく解説!受取金額のシミュレーションあり
生命保険の新規加入や見直しを検討しているときに参考とする遺族年金。
そもそも遺族年金の仕組みがわからず、困っていませんか?
この記事では「遺族年金の仕組み」と「実際いくら受け取れるのか」をわかりやすく解説しています。
記事監修者
ファイナンシャルプランナー
森野夏美
遺族年金とは
遺族年金とは、国民年金もしくは厚生年金に加入している人が亡くなったとき、遺族が受け取れる年金です。
亡くなった被保険者から養ってもらっていた人が受取対象となり、今後の世帯収入を保障してくれます。
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
上記2つの遺族年金があり、加入している年金の種類に応じて受け取れる年金が変わります。
20歳以上の国民全員が対象となる国民年金のみ加入している人は、遺族基礎年金。
会社員や公務員が対象となる厚生年金に加入している人は、遺族厚生年金が受け取れます。
「受取条件」や「誰が受け取る対象となるのか」などをわかりやすく解説していきます。
1.遺族基礎年金
遺族基礎年金は国民年金に加入している被保険者が亡くなったときに、経済的に養っていた人への保障として遺してあげられる国の年金制度です。
- 自営業
- フリーランス
一例ですが、上記のような人が該当します。
保険料を未納・滞納してしまっていると遺族が年金を受け取れないため、絶対に未納・滞納はしないでください。
支払いができないときは役所で相談しましょう。
【受取要件】
・保険料納付済期間が、加入している間の3分の2以上必要
・特例として死亡日の前々月までに1年間滞納がなければOKというルールあり
【受け取れる人】
・子:18歳の年度末(3月31日)を経過していない未婚の子
・子のある配偶者
原則、亡くなった被保険者に養われていた人が遺族年金を受け取れる対象の人です。
【注意点】
・子どものいない配偶者には支給なし
・ただし寡婦年金もしくは死亡一時金が受け取れる可能性あり
子どもが全員18歳の年度末をすぎると遺族基礎年金はもらえなくなるため、一生涯受け取れる年金ではありません。
【受け取れない人】
・年収が継続して850万円ある人
2. 遺族厚生年金
遺族基礎年金の上乗せ部分として、会社員や公務員の被保険者が亡くなったときに遺族が受け取れる年金です。
【受け取れる人】
亡くなった被保険者より養われていた以下の人が対象になります。
- 妻
- 子、孫
- 55歳以上の夫
- 父母
- 祖父母
優先順位は、配偶者と子→父母→孫→祖父母です。
遺族基礎年金と違って、子どものいない配偶者も受給対象となります。
子がいなくなり遺族基礎年金がもらえなくなった人には「中高齢寡婦加算」というお金が給付されます。
40歳〜64歳の子のいない妻に支給され、受取額は年額585,700円です。
【注意点】
遺族厚生年金は一生涯受給できる年金ですが、配偶者が30歳未満の場合は5年間の有期年金となります。
【受け取れない人】
・年収が継続して850万円ある人は受け取れない
遺族年金は実際いくら受け取れるのか
被保険者に養われていた遺族は、実際いくら受け取れるのか具体的な金額を確認しましょう。
遺族基礎年金のみの受け取りと、遺族厚生年金の受け取りでは受給できる金額が変わってきます。
それぞれの具体的な金額と計算方法を紹介します。
1. 遺族基礎年金を受け取る場合
遺族基礎年金だけの対象となるのは、国民年金のみ加入している自営業やフリーランスなどの被保険者遺族です。
【計算方法】
年額 777,800円+子の加算額(223,800円)
子の加算額:2人目までは223,800円だが、3人目以降は74,600円にて計算
例)子どもが1人いる場合の受取額
- 年額:1,001,600円
- 月額:83,466円
例)子どもが3人いる場合の受取額
- 年額:1,300,000円
- 月額:108,333円
注意すべきは、子がいない配偶者は受け取りできないということです。
子が18歳の年度末(3月31日)になると、遺族基礎年金の受け取りは終了します。
2. 遺族厚生年金を受け取る場合
遺族厚生年金の受取額はいくらになるか計算するのが難しく、概算でのみ考えるしかありません。
おおよその受取額を試算する方法は、以下の計算を使いましょう。
今までの平均年収 ✕ 勤続年数(25年未満なら25年)✕ 0.005481 ✕ 4分の3
計算式で出た遺族厚生年金の概算受取額と、遺族基礎年金を合算した金額が、年額で支給されるお金です。
実際いくらくらいになるのか、以降の遺族年金の受け取りシミュレーションで確認してみましょう。
遺族年金の受け取りシミュレーション
以下の家族例をもとに、夫が亡くなったときに遺族が受け取れる金額をシミュレーションしてみます。
- 夫40歳・妻40歳・子ども2人(10歳と5歳)
- 平均年収500万円
【夫が自営業だった場合】
遺族基礎年金:777,800円 +(子の加算額 223,800円 ✕ 2人分)=年額 1,225,400円
10歳の子どもが18歳の年度末を迎えたあとは、子の加算が1人分のみとなります。
777,800円 + 223,800円=年額 1,001,600円の受給
2人の子どもが18歳の年度末を迎えた後は、妻に支給される遺族基礎年金はなし。
【会社員だった場合】
平均年収 500万円 ✕ 25年 ✕ 0.005481 ✕ 4分の3 = 年額 513843.75円
遺族基礎年金:1,225,400円 + 遺族厚生年金:513843.75円 = 年額 1,739,243.75円
10歳の子どもが18歳の年度末を迎えたあとは 子の加算が1人分のみ
1,001,600円 + 513843.75円= 年額 1,515,443.75円
子どもがふたりとも18歳を超えたとき(妻53歳)~妻が64歳になるまで
遺族厚生年金: 513843.75円 + 中高齢寡婦加算:585,700円 = 年額 1,099,543.75円
遺族厚生年金の受給者は、妻が自分の老齢年金を受け取れるタイミングまで受給できるお金があるため、経済的に安心感が大きいです。
シミュレーションをしてみると、年間で約100万円〜170万円の年金受給があるものの、これだけで生活していくのは難しいでしょう。
遺族年金で妻に一定収入がないと、遺族年金だけでは生活費や教育費に不安が残ります。
遺族年金の受取方法と注意点
遺族年金の受け取りには必ず請求手続きする必要があります。
【必要な書類】
・年金請求書:役所もしくは年金事務所または街角の年金相談センターにてもらう
【全員が必要となる書類】
・基礎年金番号通知書または年金手帳(基礎年金番号がわかる書類)
・戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
・世帯全員の住民票の写し(※)
・死亡者の住民票の除票
・請求者の収入が確認できる書類(※)
・子の収入が確認できる書類(※)
・市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
・受取先金融機関の通帳等(本人名義)
(※)マイナンバーを記入すると添付の省略可能
その他にも状況に応じて書類が必要となるケースがあります。
【提出先】
・遺族基礎年金:住所地の市町村役場窓口
・遺族厚生年金:年金事務所または街角の年金相談センター
注意点は、被保険者が亡くなった日の翌日から5年以内に手続きしなければいけないことです。
5年間手続きせずにいると、時効となってしまい遺族年金の受け取りができなくなります。
遺族年金以外に受け取れるお金の種類
受取条件に合致せず遺族年金が受給できない人は、これから紹介する2つの制度が利用できないか確認してみてください。
寡婦年金:60歳から65歳まで支給される年金
自営業やフリーランスの夫を持ち、子どもがいないもしくは18歳以上の子どもを持つ妻が受け取れます。
支給額は夫が受け取る予定だった老齢基礎年金4分の3です。
死亡一時金:保険料納付期間に応じて12万円~32万円給付される一時金
自営業やフリーランスの第1号被保険者として保険料を納めていた場合、遺族が受け取れるお金です。
寡婦年金と併用して受け取りはできません。
遺族年金より金額は少ないですが、葬儀費用や今後の生活費として利用できます。
忘れずに手続きしましょう。
遺族年金のよくある質問4選
受け取った遺族年金は非課税ですか?確定申告はすべきですか?
遺族基礎年金、遺族厚生年金どちらも非課税のため確定申告をする必要はありません。
離婚したときや別居しているときに配偶者が亡くなったらどうなるの?
原則、離婚をすると夫婦関係は解消され、遺族年金を受け取れる資格がなくなります。
ただし夫婦間の子どもがいれば、遺族年金を受給できる可能性があります。
被保険者から養育費をもらっているなど子どもの生計を維持していることが条件です。
別居中に配偶者が亡くなったときは、別居中でも生計を維持していれば遺族年金を受け取れる可能性があります。
例えば、生活費などの経済的な援助があり、定期的に連絡を取ったり会ったりすることで、別居中でも生計を維持していたことが証明できるでしょう。
無条件に「配偶者だから遺族年金をもらえる」というわけではないため、注意しましょう。
遺族年金があれば生命保険は不要?
遺族年金があれば、生命保険は不要な人もいますし、必要な人もいます。
なぜなら、遺族年金と遺族の収入で生活できるのであれば不要ですし、生活ができなければ生命保険で足りない生活費を補わなければいけないからです。
生命保険が必要かどうかわからない人は、Moneypediaのオンライン保険相談サービスを利用してみましょう。
会社員から自営業となったとき、遺族年金はどうなりますか?
厚生年金を受け取れる可能性があります。
ただし、厚生年金と国民年金の保険料納付期間の合計が25年あることが必要となります。
まとめ:遺族年金の仕組みを知っていざというときに備えておこう
遺族年金には以下の2つの種類があります。
- 遺族基礎年金:自営業やフリーランス
- 遺族厚生年金:会社員や公務員
遺族年金は2階建てになっており、遺族基礎年金が土台となる1階部分、遺族厚生年金が2階部分となります。
自営業やフリーランスの人は1階部分しか受け取りができないため、保障としては遺族厚生年金と比べて手薄です。
「いざというときに遺族年金だけでは生活費や教育費が足りないかもしれない…」
と不安の人は民間の生命保険で一時的に保障を備えましょう。
いくらの保障を保険で備えたらいいかわからない
何の保険に入ればいいかわからない
上記のような不安がある人は、お気軽にMoneypediaのオンライン保険相談サービスを利用してみましょう。
保険やライフプランをはじめとするお金のことをいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談することが出来ます。
まずは一度、ご相談されてみてはいかがでしょうか。