【FP監修】生命保険の解約返戻金ってなに?解約時の注意点を含め、FPが分かりやすく解説します
この記事では保険の「解約返戻金」について、仕組みや注意点などプロが分かりやすく解説していきます。
「全ての保険に解約返戻金はあるの?」「支払った保険料は全額返ってくるの?」などの疑問をお持ちの方にぜひ読んでいただきたいです。
参考にしてください!
記事監修者
マネーペディア株式会社
笈田 恩来
解約返戻金とは?
解約返戻金とは、生命保険を解約した際に返ってくるお金のことです。
一般的に「保険は掛け捨てで保障を持つもの」というイメージがあるかもしれません。
しかし保険の中には掛け捨ての保険だけではなく、解約した際に解約返戻金を受け取れる保険も存在します。
解約返戻金は、総支払保険料より少なくなるのが一般的ですが、外貨建て保険や変額保険等、長期保有する事によって払い込んだ保険料より多く返って来ることが見込める商品もあります。
解約返戻金の仕組み
生命保険会社は将来お客様に支払う保険金を準備するため、保険料の一部を責任準備金として積み立てています。
その責任準備金の一部が、保険を解約した場合に解約返戻金として支払われます。
全ての保険に解約返戻金はある?
全ての保険に解約返戻金があるわけではありません。
解約返戻金には
- 従来型
- 低解約返戻金型
- 無解約返戻金型
の3種類に分類されます。
① 従来型
解約返戻金と支払う保険料が同じペースで増えていき、保険料の払込期間が終了する頃に支払った保険料と解約返戻金がほぼ同じ金額になります。
解約返戻金は保険料の払込期間が終了しても、払込期間中と変わらず緩やかに増えていきます。
② 低解約返戻金型
低解約返戻金型は、保険料の払込期間中は解約返戻金が抑えられていますが、払込期間が終了したら大きく増える点が特徴です。
お金が必要になるタイミングが確定している方であれば、払込期間を逆算して設定することで、従来型よりも多くの解約返戻金を受け取ることができます。
③ 無解約返戻金型
無解約返戻金型はいわゆる「掛け捨て型保険」です。
定期保険・収入保障保険・医療保険・がん保険に多く見られます。
解約返戻金は全くありませんが、その分毎月の保険料は他の型に比べて安く抑えられます。
支払った保険料は満額受け取れるの?
「せっかく払った保険料は満額で返ってきてほしい」
と皆さん思うのではないでしょうか。
しかし、支払った保険料を満額受け取れるかは生命保険の種類によって変わってきます。
このような点に関しては加入時にしっかりと確認をすることが重要です。
学資保険とは
学資保険とは、お子様の教育資金を準備するための保険です。
毎月定額の保険料を支払い、お子様の成長に合わせてお祝い金や進学準備金を受け取ることができます。
また、保険期間中に契約者である親に万が一が起きた場合は、残りの保険料の払込が免除されますが、通常通り祝い金や進学準備金を受け取ることができます。
そのため、貯蓄で教育資金を準備するよりも、学資保険や学資保険代わりになる積立型保険で将来の学費に備える方が最近増えているように思います。
養老保険とは
養老保険とは契約期間中に被保険者に万が一(死亡または高度障害)が起きた場合に保険金が支払われます。
逆に、契約期間中に万が一が起きず、無事に契約が満期を迎えた場合、満期保険金を受け取ることができます。
保障を持ちつつ将来への資産形成もできるといった、メリットが多い商品です。
保険料払込期間中の解約はどうなる?
最初は内容に納得して加入した保険でも、環境やライフスタイルの変化によって解約に至ることもあるかと思います。
一般的に、保険料払込期間中に保険を解約してしまうと、それまで支払った保険料よりも解約返戻金が下回ることが多いです。
貯蓄型の保険の場合、返戻率の高い商品でも10年から15年ほど保有しないと、解約返戻金が払込金額を上回りません。
10年から15年ほどの長期で持てるような設計を心がけましょう。
解約時の注意点
一度保険に加入しても、自身のライフステージの変化や世の中の変化の応じて、現在加入している保険からの切り替えを検討されることもあると思います。
ですが、解約する際に注意しなければいけないポイントがあるので、それぞれ解説していきたいと思います。
① 解約返戻金で利益が出ると税金がかかる
解約返戻金がそれまでに支払った保険料よりも上回った場合、一時所得として税金が課されます。
課税所得金額は、一時所得として受け取った金額から、一時所得を受け取るためにかかった経費と特別控除額(最高50万円まで)を引いて、1/2することで求められます。
計算式
(一時所得の金額-経費-特別控除額)×1/2=一時所得の課税所得金額
② 解約すると保障がなくなる
保険を解約すると経過年数によって解約返戻金を受け取ることができますが、もちろんその時点で保障が無くなります。
なので、解約の際には慎重に検討しましょう。
また、積み立て型の保険では部分解約(減額)という方法を使うことができます。
部分解約とは、一部を解約し返戻金を受け取り、一部を保険として残しておく、という仕組みです。
その後の保険料の払い込みが続いている場合、その保険料も解約した割合に応じて減少します。
どうしても解約しなければいけない事態になってしまった場合、この仕組みを検討されてもいいかもしれません。
➂解約時に解約控除がかかる
契約してからの期間が短い場合、解約時に解約控除がかかる場合があります。
保険を解約し解約返戻金を受け取る際に、保険会社から解約控除という形で手数料を引かれてしまいます。
なので、1,2年の短期解約になってしまった場合は、1円も返ってこないケースもありますので注意してください。
契約日から期間が経つにつれて解約控除は少なくなります。
④ 契約者貸付と相殺される
契約者貸付とは、保険会社から解約をせずにお金を借りることができる制度です。
その時積み立てられている解約返戻金の80%~90%を上限に利用できるケースが多いです。
貸付金には、解約返戻金の利率より1%~2%ほど高い貸付金利が付くので、注意が必要です。
そして、契約者貸付を利用している状態で解約した場合、解約返戻金から貸付を受けている金額と利息が引かれます。
貸付を利用している期間が長いと、利息がどんどん大きくなり受け取れる解約返戻金が減ってしまいます。
そのため契約者貸付を利用した場合、なるべく早く返済することをオススメします。
まとめ
上述した通り、解約には注意点がいくつかあるため、保険加入時にその点も踏まえた上で、ご自身が無理なく続けられる保険料で加入することが大切です。
また、解約する際も
「解約返戻金をいくら受け取ることができるのか」
「本当に保障は今後必要ないのか」
ということをよく考えましょう。
一人で考えても分からない場合は、ぜひ担当者に相談してください。
この記事で解約返戻金の仕組みや注意点を知ることで、解約返戻金を賢く利用してもらえると幸いです。
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