【FP監修】がん保険の実費補償を徹底解説!4つのメリット・デメリットを紹介します

がん保険2023.05.01 公開 | 2023/05/01 更新

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実費補償型のがん保険は損害保険会社が販売しているがん保険です。
多くの保険会社からがん保険が販売されていますが、生命保険会社のがん保険との違いは「かかった治療費の自己負担額を無制限で補償してくれる」ことです。
実費補償型のがん保険について網羅した内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

実費補償型のがん保険の概要

実費補償型がん保険の最大の特徴は、がんの治療にかかった費用を無制限に補償できる点です。

補償内容はとてもシンプルです。

【補償内容】

補償内容 【入院】がんの治療のためにかかった治療費を無制限で補償

【通院】治療目的で通院したときにかかった治療費を補償

がん診断時 診断一時金としてまとまったお金を一括で受取

【保険期間】

定期(5年更新)

【補償開始】

保険会社が定めた日から91日目から補償開始(90日以内にがんの診断があっても支払いはされません)

【補償されない一例】

  • 交通費・宿泊費などの雑費
  • 差額ベッド代
  • テレビカードや入院中にかかった雑費

がんの治療にかかった費用に対し補償される保険内容ですが、入院や通院にかかる費用すべてに対応しているわけではありません。

補償の範囲が各がん保険で変わるため、必ず補償内容を確認するようにしてください。

実費補償型がん保険と通常のがん保険の違い

かんたんに実費補償型のがん保険と一般的ながん保険の違いを表でまとめると以下のとおりです。

実費補償型のがん保険 一般的ながん保険
がんの診断確定 一時金 一時金
治療(手術・放射線治療・抗がん剤治療)をしたとき かかった金額分 契約時に決めた金額を治療ごとに請求
先進医療 かかった費用 かかった費用
自由診療 かかった費用 商品によっては対応なし
保険期間 定期(5年更新) 終身・定期
保険料 更新型のため年齢があがると保険料もアップ 契約時から変更なし(定期プランの場合は更新あり)
請求の仕方 提携病院での治療なら直接保険会社支払い 治療後に保険金請求の手続き
保険料払込免除 なし あり
解約返戻金 なし 商品によってはあり

※自由診療とは:治療として、国の承認を受けるための全段階を満たしておらず、有効性などが公的に確認されていないので『保険診療』として扱われないものです。

引用元:自由診療 | 再生医療ポータル

※先進医療とは:先進医療は、公的医療保険の対象にするかを評価する段階にある治療・手術などです。

引用元:先進医療とは? どれくらい費用がかかる?

一般的ながん保険は一生涯保障の内容が多く、支払う保険料も契約時から変わりません。

ずっと保険料を払いたくない人は、保険料の支払いを60歳や65歳までに終わらせる、など支払いを終わらせて保障を一生涯持つ契約にすることもできます。

一方、実費補償型は定期型のため更新が必要です。

年齢に応じて保険料が上がり、更新できる年齢も決まっているため一生涯持ち続けることは出来ません。

実費補償型のがん保険の4つのメリット

実費補償型のがん保険には一般的ながん保険にはない4つのメリットがあります。

  1. かかった治療費は無制限で補償してもらえる
  2. 通院での治療もしっかりと補償してもらえる
  3. 治療費の立て替え払いをしてもらえる
  4. 若い年齢層は安い保険料で備えられる

一般的ながん保険との違いもかんたんに解説しながらわかりやすく説明します。

1.かかった治療費は無制限で補償してもらえる

  1. 公的保険制度
  2. 先進医療
  3. 自由診療

入院時の治療は、どの治療を受けてもかかった費用を無制限で補償してもらえます。

自由診療は、国から承認を受けていなくても患者の体質や状況に合わせて新たな治療法や薬を試すことが可能です。

治療によっては数百万円の費用がかかることもあります。

先進医療は、厚生労働省が定めている最先端の技術を使った治療です。

例えば、放射線治療の一種である陽子線治療では約250万円の治療費がかかります。

数百万円の治療費を自己負担なく受けられるため、治療の選択肢が広がり効果の高い治療が受けられる可能性があります。

「公的保険制度より高度な治療や効果が見込まれる投薬で、がんがよくなるかもしれないのに、高額な治療費がかかって選べない」

という不安や悩みを解決できるがん保険となっています。

2.通院での治療もしっかりと補償してもらえる

近年は通院しながら抗がん剤治療や放射線治療も多く行われます。

  • 放射線治療:毎日の通院が数週間続く
  • 抗がん剤:週に1回〜月に1回の通院が1年程度続く

参考:ライフネット生命保険 がん経験者への治療実態調査結果を公開

実費補償型のがん保険は、入院前後の通院と、入院せずに通院する治療のどちらも補償される補償内容になっています。

通院での治療は合計1,000万円まで補償となっていますが、交通費などの支払いはないので注意が必要です。

交通費や雑費に対しての補償がなく不安に感じるかもしれませんが、がん診断一時金で補えるため、自己負担を抑えられます。

ただし、がん診断一時金の給付要件は保険会社の商品ごとで異なるので、どんな要件で受け取れるのか必ず確認しましょう。

3.治療費の立て替え払いをしてもらえる

自由診療で治療を受けることになったとき、保険会社の協定病院で入院治療をすると保険会社が立て替えてくれる制度があります。

自由診療は高額な治療費がかかるため、一時的にでも自分で支払うのはかなりの負担がかかるものです。

自由診療を受けると、健康保険が適用される治療の分もすべて自己負担になってしまいます。

よって、3割負担の治療部分も10割負担となりさらに医療費が増えるということです。

まとまったお金で治療費を支払うことに不安や抵抗がある場合は、保険会社から医療機関へ直接払ってもらえるので安心できます。

自由診療は高額な治療費がかかるため、罹患した本人も家族もお金の心配をせずに、治療に専念ができるのは嬉しいポイントです。

4.若い年齢層は安い保険料で備えられる

実費補償型のがん保険は5年ごとに更新をして継続する保険です。

年齢が上がるにつれて保険料が上がるデメリットはあるものの、年齢が若い人ほど保険料が安くなります。

一般的ながん保険は、年齢があがった将来的なリスクも含めて保険料が決まっているため、実費補償型のがん保険に比べると保険料は高めになる場合があります。

実費補償型のがん保険と、一般的ながん保険を同等の保障内容にすることはできないので、単純に保険料の比較はできませんが、実費補償型のがん保険のほうが安く備えられる可能性が高いでしょう。

実費補償型のがん保険の4つのデメリット

  1. 更新型であるため年齢とともに保険料が割増されていく
  2. 差額ベッド代や交通費は負担されない
  3. がん罹患後も保険料の支払いは続く
  4. 罹患後は他のがん保険に加入がしづらい

実費補償型のがん保険を検討するときは、必ずデメリットも確認した上で検討してください。

あとから後悔のないように、理解し納得して加入する必要があるからです。

具体的な事例を出しながらわかりやすく解説します。

1.更新型であるため年齢とともに保険料が割増されていく

実費補償型のがん保険は5年ごとに更新があるので、更新する年齢によって保険料が変わります。

年齢が上がれば上がるほど保険料負担は大きくなり、一生涯の補償として持つことは現実的ではありません。

一般的な終身保障のがん保険は、加入時の保険料から金額が変わりません。

また、契約時に保険料の払込満了日を決めれば、老後までの間に保険料の支払いを終わらせることも可能です。

老後になると年金や貯蓄での生活になるので、年齢が上がるほど保険料の負担が大きくなるのは避けたいと考えられます。

更新のタイミングで、このまま継続していいか見直しをするほうがよいでしょう。

2.差額ベッド代や交通費は負担されない

治療費にかかった費用が無制限に適用されるとされているのは、あくまで治療費にかかる部分です。

差額ベッド代や交通費、入院に伴ってかかる雑費は補償範囲外になります。

個室や人数が少ない部屋を希望する場合は、差額ベッド代がかかるため入院日数が長くなればなるほど費用負担は重くなります。

差額ベッド代の平均額は1日あたり6,527円です。

引用元:住友生命保険 入院にかかる費用「差額ベッド代」って何ですか?

また、がんではありませんが筆者は3度の入院経験があり、雑費や家族の交通費に月2万〜3万円程度かかりました。

私の場合は1人暮らしを始めたばかりで、入院生活で必要な消耗品や遠方から家族が手続きなどするのにお金が必要だったことが原因です。

差額ベッド代や雑費にいくらかかるかは個人差があるため、必ずかかるものではありませんが高額な負担となる可能性があります。

ただし、がんの診断一時金が別途受け取れるため、治療費以外の費用はがん診断一時金を使ってまかないましょう。

3.がん罹患後も保険料の支払いは続く

がんに罹患したあと、保険金を受け取りつつも毎月もしくは毎年のこれまでと同様に保険料を支払い続ける必要があります。

一般的ながん保険は、オプション(保険料払込免除特約)をつけることでがんになったあとの保険料を支払わなくていいようにできます。

がんの罹患後、治療費が増加したり収入が減少したりしている中で保険料の支払いが続くことに負担を感じることも考えられます。

実費補償型のがん保険は5年ごとに更新される保険なので、年齢が上がれば上がるほど保険料が上がります。

例:セコム損害保険のメディコム(2023年4月現在)

年齢 【男性】月額保険料 【女性】月額保険料
30歳 1,430円 1,920円
40歳 1,930円 3,350円
50歳 4,460円 5,460円
60歳 8,310円 6,080円

例のように年齢によって毎月の保険料が大きく変わります。

特に男性は50歳以降、女性は40歳以降にがんのリスクが上がるからです。

保険金の受け取りができたとしても毎月の支払いが続き、年齢が上がるとともに負担が大きくなるのはデメリットと言えるでしょう。

4.罹患後は他のがん保険に加入がしづらい

がんに罹患後、状態によっては新たながん保険への加入ができない、もしくは割高な保険料のがん保険に加入するしか選択肢がなくなってしまいます。

がん保険に限らず、生命保険や医療保険も同様に加入がしづらいです。

保険料が高くなっていくしくみなので保険料負担が重たくなりますが、新たながん保険に加入ができないので解約ができないという状況になります。

実費補償型のがん保険のみだと、将来不安な状況になる可能性があるので、

  • 一般的ながん保険と一緒に加入しておく
  • 医療保険などもあわせて加入しておく

なども考えておくことをおすすめします。

実費補償型のがん保険がおすすめな人4選

実費補償型のメリットとデメリットを理解した上で、どんな人に実費補償型のがん保険がおすすめなのかを紹介します。

以下4つの内容にあてはまる人です。

  • 一時的にがんへの備えを充実したい人
  • がんの治療に選択肢を持ちたい人
  • 治療費の支払いに不安がある人
  • 自営業・フリーランスの人

どれか一つでも当てはまる場合は、実費補償型のがん保険を検討しましょう。

一時的にがんへの備えを充実したい人

実費補償型のがん保険は、治療費にかかる自己負担額を一定期間中に備えたい人におすすめです。

例えば、子どもが生まれたばかりの人や子どもが独立するまでの間だけでも、がんの保障を手厚くしたい人です。

「一般的ながん保険には加入しているけど、収入減少したときは保障が足りないかもしれない」
「若いうちにがんになったら、最先端の治療をしてがんを治したい」
「子どもに迷惑がかからないように保障を手厚くしたい」

上記のような考えを持っている人には実費補償型のがん保険は適しているといえます。

特に若い世代の人は、保険料も割安なのでおすすめです。

がんの治療に選択肢を持ちたい人

先進医療や自由診療は健康保険が使えないので高額な治療費がかかります。

しかし、最先端の治療が受けられたり、厚生労働省が定めていない薬や治療法を試したりできます。

健康保険が適用される治療のみでよいと思っている人も多いかもしれません。

しかし「先進医療や自由診療が受けられれば、がんが治るかもしれない」「副作用が少なく治療ができる可能性がある」と言われたらどうでしょうか。

お金がかかってもいいから、治療の選択肢を持っておきたい人にはおすすめです。

治療費の支払いに不安がある人

万が一がんになったときに、治療費の支払いができるか不安な人や貯蓄額に不安がある人におすすめです。

貯蓄をしていても、

  • 治療費のために貯めているお金ではない
  • 将来的に使いたいお金である

などの場合は、治療のために使える貯蓄が貯まるまではがん保険に加入しておくことをおすすめします。

がんによっては治療がいつまで続くかわかりません。

貯蓄額に不安がある、もしくはたくさん治療費がかかったときに、貯蓄が減っていくことに不安を感じる人は、実費補償型のがん保険は助けになるでしょう。

自営業・フリーランスの人

自営業やフリーランスの人は、会社員の人に比べて、公的保険制度が手薄になります。

高額療養費制度はありますが、働けなくなったときの傷病手当金がないため、働けなくなったら収入が無くなってしまうかもしれません。

傷病手当金とは、社会保険に加入している人(会社員など)が働けない状態になったときに、最長1年6ヶ月の間収入の2/3の給付金を受け取れる制度です。

治療により仕事ができない、収入が途絶えてしまうなどの不安がある人は、実費補償型のがん保険で治療費や収入減に備えましょう。

まとめ:実費補償型のがん保険ならではの特徴を知ることが重要

実費補償型のがん保険には、大きなメリットとデメリットがあります。

若い人は保険料が安く、かかった治療費を支払ってもらえることが大きなメリットです。

先進医療や自由診療にも対応できるため、治療の選択肢を増やせます。

しかし、更新型の保険であることから年齢があがると保険料負担が大きくなるデメリットもあります。

罹患後も保険料を支払い続けなければならないため、解約もできず家計の圧迫に繋がる可能性があるでしょう。

デメリットの部分を見るとリスクのある保険に感じますが、一般的ながん保険にはない大きなメリットもあります。

実費補償型のがん保険を選んでいいか不安な場合や、一般的ながん保険と比較してみたい人はプロに一度相談してみてください。

「まずは気軽にお金のことを相談してみたい!」という方にお勧めなのが、MoneypediaのオンラインFP相談サービスです。

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まずは一度、ご相談されてみてはいかがでしょうか。

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