【FP監修】がん保険は本当にいらない?専門家が徹底解説!がん保険が必要な人・不要な人の特徴5選を紹介します
「がん保険はいらない」という意見がネット上には多くありますが、本当に必要ないのか心配に感じる人もいるでしょう。
この記事では、がん保険がいらないといわれる理由を解説し、がん保険が必要な人と不要な人の特徴を紹介します。
自分にはがん保険が必要かどうかがわかるでしょう!
記事監修者
ファイナンシャルプランナー
森野夏美
がん保険がいらないといわれる4つの理由
がん保険がいらないと言われる根拠として以下の3つがあります。
- 公的保険制度と高額療養費
- 医療保険の加入で十分である
- がんにならなければ保険自体が不要
公的保険制度などの内容も理解できますし、自分にとってがん保険が不要かどうかを判断できるポイントです。
1.公的保険制度と高額療養費制度でまかなえるから
日本では国民皆保険制度があるため治療費負担の割合が決まっています。
年齢 | 自己負担 |
---|---|
75歳以上 | 1割負担 |
70~74歳 | 2割負担 |
義務教育就学後~69歳 | 3割負担 |
義務教育就学前 | 2割負担 |
※ただし70~74歳と75歳以上の人で、現役並み所得がある人は3割負担です。
さらに高額療養費制度があるため、治療費にお金がかからない仕組みがとられています。
高額療養費は年齢や所得に応じて、治療費の自己負担上限額が定められている制度です。
3ヶ月以上高額療養費制度を使うと4ヶ月目からは上限額が引き下げられるため、治療費自体に多額のお金は必要ない可能性があります。
つまり治療費に毎月高額な費用がかかるわけではないので、自己負担額が少なくがん保険はいらない理由の1つといえるでしょう。
2.短期入院が増加したから
がんに罹患しても入院日数は短くなっています。
厚生労働省の調査によると2020年のがん罹患者の入院日数は平均で18. 2日でした。
高齢の方でも20日程度の入院となり、通院での治療が主流になっています。
毎日通院して治療する場合や、週に1回〜月に1回ペースで通院しながら放射線治療や抗がん剤治療をするケースが多いでしょう。
仕事をしながら治療もできるため、がんに罹患したことが原因で収入がなくなることや、仕事自体がなくなることは可能性として低いと想定されます。
3.長期治療も社会保険でカバーができる
短期入院になったとはいえ、治療が長期になることも考えられます。
がんの治療期間は半年以内で終えることもありますし、がんの種類によっては数年もしくはそれ以上の治療が必要です。
しかし長期の治療で費用がかかる場合は高額療養費制度があり、長期で仕事を休む場合でも傷病手当金があるので収入が途絶えることもありません。
傷病手当金とは社会保険に加入している会社員や共済保険に加入している公務員などであれば利用できる制度です。
所定の条件のもと、1年半の間、給与の2/3が給付されます。
国民健康保険の自営業・フリーランスは傷病手当金の給付対象に該当しないので注意してください。
4.がんにならなければ保障も保険料も無駄になる
そもそも、がんにならなければがん保険に加入していること自体が無駄になるという理由から、がん保険が不要と言われています。
2人に1人ががんになるといわれているため「がん保険は必要である」という反論意見もあります。
- 女性は30代から徐々にがんの罹患率が高まる
- 男性は50代を境に年齢が上がるほど罹患率が高まる
女性は30代から乳がんのリスクがあるものの、それ以外は年齢に応じて罹患率があがるため、働き世代の罹患する確率は低いのです。
高齢になると公的保険制度や高額療養費制度で自己負担額もさらに減り、将来に向けてしっかりと貯蓄をしていればがん保険がなくても治療は可能です。
がん保険はなんのために必要なのか
保険が必要なのは3つの理由から説明ができます。
- 公的保険制度や高額療養費制度ではカバーができない治療があるから
- 医療保険に加入しているだけでは不足するから
- がんになると治療費以外にも支出が増え収入が減少する
すべての人にあてはまる内容ではありません。
自分が該当する部分だけ目を通してみてください。
1.公的保険制度や高額療養費ではカバーできない部分があるから
公的保険制度や高額療養費制度に該当しない、先進医療や自由診療などの保険適用外の治療があります。
先進医療も自由診療も健康保険が使えないので、月数万円で済むような治療ではありません。
厚生労働省が定めている高度な医療技術を使った治療や、国の認可がおりていない治療方法や薬を使った診療ができます。
最先端の医療技術を使って、
- 治療をすればがんが治せるかもしれない
- 副作用を少なくして治療ができる可能性がある
- 海外では認可されているがんに効果がある薬を使いたい
など、がん治療に選択肢が増える反面、多額の治療費がかかってしまいます。
もっとお金があったら治せるかもしれない
もっとお金があったら体に負担のない治療ができるかもしれない
このような、お金がなくて治療ができない悩みを防いでくれるのががん保険です。
2.医療保険に加入しているだけでは不足するから
医療保険は保険に加入する目的が違うので医療保険ではカバーできない部分があります。
- 医療保険の目的:入院や手術、通院 特定の病気に対しての上乗せ保障
- がん保険の目的:がんと診断されたときの一時金、治療のための3大治療ごとの給付、緩和ケア
医療保険では入院や手術の保障がメインとなるので、通院して抗がん剤治療をしても医療保険では保障ができません。
治療が長期化した場合、いくらがんの治療をしていても入院や手術がなければ医療保険から保険金を受け取れることはありません。
「医療保険にがんに関するオプション(特約)がつけられるので、医療保険でもよい」
と考えることもできます。
しかし医療保険の保険料の安さや保障内容に魅力を感じていても、がんの特約が充実しているとは限りません。
つまり医療保険に加入しているからがんにもカバーできているわけではなく、不足部分を補うためにがん保険は必要と考えられます。
3.治療費以外の出費や収入減が想定されるから
がんになると治療費ばかりに目がいきそうですが、治療費以外にもかかる出費や収入減少も不安な点です。
- 差額ベッド代
- 入院中の食事代
- 交通費
- 仕事ができず収入が減少
- 家族の生活費
差額ベッド代はいわゆる個室代のことで、1日当たり平均6,354円かかります。
食事代も1食につき460円の負担が必要です。
通院で治療することになれば、都度交通費や駐車場代もかかるでしょう。
治療や体調で仕事が思うようにできなければ収入減につながり、自分自身や家族の生活にも大きく影響してきます。
会社員などの傷病手当金や有給休暇など利用できる制度が多い人であれば、収入減少に大きな心配はありませんが、パート・アルバイトや契約社員などで福利厚生が手薄だと心配です。
多方面からがんになったときの生活をイメージすると、必要なお金は治療費だけでないことがわかります。
がん保険が必要な人をタイプ別に紹介
どんな特徴や考えの人にがん保険が必要なのか。それは以下のような人です。
- がんになったときに使える貯蓄がない人
- 自営業・フリーランスの人
- 保険適用外の治療にも備えたい人
今の状況や将来のことも見据えながら、がん保険が必要なのかを考えましょう。
家族がいる人は、自分だけでなく家族の意見も聞いてみるとさらにがん保険が必要なのか不要なのかはっきりしてきます。
1.がんになったときに使える貯蓄がない人
がんと診断されてこれから治療が始まるというとき、貯蓄額に不安がある人はがん保険が必要です。
治療費やその他の支出、収入減に対応できるだけの貯蓄があれば保険を使わずとも支払えるでしょう。
しかしいくら貯蓄があっても、そのお金はがんの治療に使っていいお金なのか確認する必要があります。
例えば、教育費、マイホームの頭金、車の購入費などさまざまな目的があると思います。
貯蓄があったとしてもがんの治療に使えないお金であれば、がん保険が必要です。
2.自営業・フリーランスの人
自営業・フリーランスは会社員と比べて保障が手薄であるため、がん保険が必要といえます。
特に仕事ができなくなったときの収入減に備えるべきでしょう。
会社員には傷病手当金といった、最大1年半の間仕事ができなくても給与の約2/3を受け取れる制度がありますが、自営業・フリーランスにはありません。
自営業・フリーランスは仕事ができなくなれば直結して収入がゼロになる可能性があるため、長期化すればするほどお金の不安が大きくなります。
長期化する治療費や収入減をカバーするためにがん保険は必要といえるでしょう。
3.保険適用外の治療にも備えたい人
先進医療や自由診療などの保険適用外の治療への備えをしたい人は、がん保険で備えることをおすすめします。
例えば先進医療の陽子線治療は約271万円、重粒子線治療は約312万円がかかります。
自分で立て替えるには負担だと感じる費用であれば、保険会社が提携病院に支払いしてくれるサービスもあるので安心して治療できます。
先進医療などの治療はどこの病院でもできるわけではないため、利用できる病院を選ばなければなりません。
自宅から遠ければ交通費やホテルなどの宿泊費もかさむためさらに出費が増えることも考えられます。
最先端の治療で体への負担を減らして治療がしたい、海外で効果が認められている薬を使いたいなどの考えがある人には先進医療や自由診療はあっています。
がん保険がいらない人をタイプ別に紹介
がん保険がいらない人は以下のような特徴や考えを持つ人です。
- 十分な貯蓄がある
- がん保険以外の備えで十分な人
具体的にどれくらいの貯蓄があればいいのか、がん保険以外で備えができる方法もわかります。
本当にがん保険がいらないのか、確認をしておきましょう。
1.十分な貯蓄がある人
がんになったときに治療費やその他の支出、収入減をカバーできるだけの貯蓄があればがん保険は不要です。
実際いくらあれば明確に足りるのかは、家庭の生活費や家族構成にもよるので一概には言えません。
しかし、会社員なら最低でも生活費6ヶ月分、自営業・フリーランスなら生活費1年分を目安にするとよいでしょう。
会社員なら仕事を休んでも傷病手当金もあるので、まったく収入がなくなることはありませんが、自営業・フリーランスは会社員より多めに貯蓄がないと不安です。
よって、目安としては会社員なら生活費6ヶ月分、自営業・フリーランスなら生活費1年分程度の貯蓄を用意しておきましょう。
2.がん保険以外の保険で備えが十分な人
就業不能保険や三大疾病保険などの保険に入っている人は、がん保険が必要ない場合があります。
就業不能保険は、病気やけがで働けなくなったときにお給料のかわりとして受け取れる保険です。
がんの治療や体調が優れず仕事ができない場合に、がん保険ではなく就業不能保険で収入減少をカバーができます。
三大疾病保険はがんを含めた心疾患・脳血管疾患を保障するものです。
所定の状態でまとまったお金を一括で受け取るタイプと、診断や治療ごとに受け取れるタイプがあります。
がんになったら保険金が受け取れるので、治療費や収入減にも使えます。
今加入している保険によってはがん保険が不要となるため、自分の保険内容をしっかりと確認しましょう。
がん保険についてよくある質問
がん保険についてよくある質問や疑問点をまとめました。簡単にまとめているので、知りたい情報が簡単にわかります。
1.がん保険はどんな保障が受けられるのか
がん保険には大きく2つの受け取り方法があり
- 一括受け取り:まとまった額が足りるので自由にお金が使える
- 分割受け取り:治療を受けるごとに受け取りができる
オプション(特約)をつけると、ほかにも入院や通院などに手厚くできます。
2.医療保険の特約とがん保険、どちらがいいのか?
医療保険のがん特約とがん保険の内容はおおむね同じです。
医療保険とひとまとめにしたい人は医療保険の特約でもいいですがデメリットもあるので注意が必要です。
医療保険とまとめるデメリット
- 医療保険の保障内容がよいからといってがん特約の内容が良いとは限らない
- 医療保険を解約するとがんの保障もなくなってしまう
医療保険とがんの保障は分けて考えることがおすすめです。
3.いくらあればがん保険は不要なのか?
家族構成や生活費などで変わるため一概にはいえないですが、会社員は生活費6ヶ月分、自営業・フリーランスは1年分を用意すると安心です。
4.がん保険に加入するメリットとデメリットは?
【メリット】
がんに特化した内容
自分の希望するがん保障にしやすい
【デメリット】
保障が開始された日から90日間は免責期間があるため、加入後すぐにがんになっても保障が受けられないこと
がんに特化しているため、他の病気には使えない
5.がん保険はどうやって選ぶのか?
一時金タイプは、受取要件ががんと診断されることです。
まとまったお金で受け取れるため、必要だと感じる部分にお金が使えます。
ただし、一時金だけで治療費や収入減のすべてに備えられない可能性があるため、特約で不足部分の補填をしましょう。
治療の都度受取タイプは、治療ごとに受け取れるので効率よく保障が用意できます。
しかしデメリットとして、医療技術が進み治療自体に変化がでたらがん保険も見直す必要があり、年齢が上がると保険料アップ、健康な状態によっては加入できない可能性があります。
どちらのタイプもメリット・デメリットがあるので、どちらの考え方があっているか考える必要があるでしょう。
6.がんになったら保険には加入できないのか?
一度がんになると、保険に加入することが難しくなります。
がん保険だけでなくその他の保険も同様に加入できる可能性が低いです。
あとから加入しておけばよかったとならないように、必要性を感じたら健康なうちに加入することをおすすめします。
まとめ:がん保険がいらない理由はすべての人には当てはまらない
がん保険がいらないといわれる理由は以下の4つです。
- 公的保険制度と高額療養費制度でまかなえるため
- 短期入院が増えたため
- 長期治療も社会保険でカバーできるため
- がんにならなければ無駄になってしまうため
がん保険がいらない理由がすべての人に当てはまるわけではなく、必要になる人も必ずいます。
がん保険はいらないと思っているがプロの意見も聞きたい
がん保険は必要だけど選び方のがわからない
などお悩みの方はFPへ相談することをおすすめします。
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